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「だろう運転」と「かもしれない運転」の恐怖

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すべてのドライバーに厳守していただきたいのが安全運転です。
特にトラック運転手の交通事故の原因で多いのが、居眠り運転、わき見運転、だろう運転だと言います。
居眠り運転は睡眠不足や疲労などから引き起こされます。そのため、安全運転には万全の体調管理、健康管理が欠かせないのです。
わき見運転は主にドライバーの不注意が原因となります。普段から自分を過信して注意を怠っている人は言語道断ですが、普段は注意深く運転している人もやはり体調不良や疲労などで不注意に陥ってしまうかもしれません。気をつけましょう。
「だろう運転」は、たぶん危険なことや悪いことは起きない「だろう」と、楽観的な予測をして運転し、思わぬ事故を起こしてしまうことです。これと対になるのが「かもしれない運転」です。こちらは、危険なことや悪いことが起きる「かもしれない」と、悪いほうの予測をして慎重に運転することです。
もともと「だろう」も「かもしれない」も先のことを予測する表現であり、良いも悪いもありません。つまり「危険なことが起きるだろう」とか「危険なことはおきないかもしれない」とも使えます。ま、便宜的にこの表現を使っているということでしょう。

それはともかく、全国の交通事故を少しでも減らすために「だろう運転」「かもしれない運転」を、具体例を挙げて紹介します。

交差点で

「だろう運転」
交差点で右折しようとするときです。直進してくる対向車が続くので、なかなか右折できません。もたもたしていると信号が変わり、もしかして渡れないかもしれないので内心で焦ってきます。
そんなとき、直進車が一瞬途絶えます。とは言え、前方から直進車は迫ってきています。
ここで「たぶん、あの直進車が交差点に入ってくるより先に右折できるだろう」と考えて車を発進させると、意外と直進車のスピードが速くてびっくり。この場合、ぶつかって事故となってしまう危険があります。
また、対向車が「お先にどうぞ」のパッシングをしてくれたんで「スムーズに右折できるだろう」と安心して車を発進させたら、パッシングしてくれた対向車の後ろからバイクが飛び出してきてぶつかってしまう、なんてこともあるかもしれません。

「かもしれない運転」
「少し遠くに見える直進車もスピードを上げて交差点に入ってくるかもしれない」「対向車の陰から他の車両が急に出てくるかもしれない」と考え、慎重に。

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車が行きかう交差点

住宅街で

「だろう運転」
高齢者が道路を渡ろうとしています。「たぶん、あの高齢者はこちらの車が見えているだろうから、危険を察知して渡らないだろう」と判断してそのままスピードを落とさずに進みます。すると、高齢者は急に道路を渡り始め、ブレーキが間に合わずに接触事故を起こしてしまう危険があります。危険です。
また、住宅の塀が並ぶ中を通る道路を走っているとき、「住民にも車のエンジン音が聞こえているはずだし、急に道路に飛び出すのは危ないと分かっているはずだから、スピードを落とさなくても大丈夫だろう」と運転していると、角から急に子どもや自転車が飛び出してくることは十分にあり得ます。ものすごく危険です。

「かもしれない運転」
住宅街では徐行運転が基本ですし、角に近づいたらスピードは落としましょう。常に「人が道路を渡るかもしれない」「誰かが飛び出してくるかもしれない」という意識を忘れてはいけません。

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住宅街には必ず歩行者がいます

車間距離を

「だろう運転」
前方の車に対して「急にはスピードを落とさないだろう」と思い、車間距離を十分に開けていないと、その車が不意に減速して追突してしまうことがあります。前方の車が、こちらからは見えない危険を察知して急な減速の必要に迫られることは十分あります。

「かもしれない運転」
安全運転の基本として、車間距離は十分に取りましょう。あまり車間距離が十分でないと「あおり運転」とも思われかねません。「こんなに前の車に近づき過ぎるとあおり運転と思われるし、前の車は急に減速するかもしれない」と思わなければいけません。
ちなみに一般的には、時速50kmで走っている場合、車間距離は32メートルくらいが望ましいそうです。ただし、雨天や夜など、そのときの状況によっては、もう少し長くしたほうが良いのでお気をつけください。

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車間距離は十分に

追い越しで

「だろう運転」
前の車を追い越すときには、対向車の確認を十分にしなければいけません。このとき「たぶん対向車は来ないだろう」とスピードを上げて対向車線に出たとたんに前方に対向車が見え、しかし、「このままスピードを上げればぶつからずに元の車線に戻れるだろう」と考えてしまい、そのまま走って対向車とぶつかってしまう、なんてことも起こり得ます。
特にカーブのような、前方確認が難しいところでは「たぶん対向車は来ないだろう」は禁物です。

「かもしれない運転」
車を追い越すときは「対向車が来るかもしれない」「遠くに見える対向車はすぐに目の前にくるかもしれない」と考え、前方確認をしっかり行うのはもちろんのこと、対向車が見えたら絶対に追い越しは控えなければいけません。

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追い越しは慎重に

深夜に

「だろう運転」
深夜は人通りが少なくなります。思わず「こんな夜中に外を歩いている人なんていないだろう」と、横断歩道があっても注意や確認を怠ってしまいます。しかし、深夜に出歩く人もゼロではありません。思わぬところから歩行者が現れれば、対人事故を起こしてしまうことも十分あります。

「かもしれない運転」
「こんな夜中でも歩行者がいるかもしれない」と考え、昼間と同じように確認や注意を怠らずに運転しましょう。

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深夜は視界も悪くなります

へき地で

「だろう運転」
都心に比べて田舎町、へき地は人口も少なく、その分、車を走らせていても人影をあまり見ません。そのせいで思わず「こんなへき地じゃ誰も歩いていないだろう」と、歩行者に対する注意や確認を怠ってしまいます。しかし、どんな場所でも人はゼロではありません。思わぬところから歩行者が現れ、対人事故を起こしてしまうことも十分あります。

「かもしれない運転」
「人口の少ない地域でも歩行者がいるかもしれない」と考え、普段通りの確認や注意を怠らずに運転しましょう。

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どんな地域でも人はいます

おまけ「自転車で」

自転車はエコで健康促進に良い乗り物として利用が推奨されがちですが、無謀な運転による事故も後を絶たず、大きな問題となっています。自動車も運転するけど自転車にも乗るという人は、自動車の運転手の視点も持ち合わせ、交通ルールも分かっていますが、自動車を全く運転しない人が自転車に乗る場合が、特に危険だと言われています。
自転車に乗る場合も「あの角からは人が飛び出してこないだろう」ではなく「あの角から人が飛び出してくるかもしれない」と、自動車の運転と同じように「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」を心掛けましょう。
また、自動車から見て、近くを走る自転車がいかに危ないかも意識しましょう。

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自転車も交通ルールを守って乗りましょう

最後に

とは言え、車を運転するときのすべての未来を予測をすることは不可能ですし、すべての予測ができても、不測の事態も常に起こり得ます。
それでも「最悪を予測して最善を尽くす」が安全運転には常に必要だと、肝に銘じてハンドルを握りましょう。お願いします。

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事故の危険は常に考えましょう