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事実に反してタクシードライバーが「底辺職」と言われてしまう理由

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タクシードライバーは、ホワイトカラー系の仕事に就けない人が就く「底辺職」と言われています。ちゃんちゃらおかしい話です。ホワイトカラー系にはブルーカラー系という対義語がありますが、そもそも仕事の種類に頂点やら底辺やらという概念があるのが変な話なのです。
なんてことを言うと「そんなのはキレイごとさ」と、知ったようなことを言う人もいますが、もちろん「仕事」にも「頂点」やら「底辺」はあります。ただ、それは個人の価値観の中だけの話で、誰かが他人の職業をぶしつけに「高い」「低い」だの言うべきではありません。

とは言え、タクシードライバーが「底辺職」だなんて言われがちなのは、それなりの理由があります。物事には何でも理由があるものです。
そこで今回は、あなたの目はあなたの体を離れ、タクシードライバーが世間から「底辺職」と言われがちな理由を探る、この不思議な時間の中に入っていくのです。

1. 不埒なタクシードライバーのせい

多くのタクシードライバーが日々真面目に仕事をしています。安全運転を厳守し、乗客を快適に目的地まで運ぶことに尽力しています。
ですが、中には、ごく一部ですが、運転が乱暴で、無愛想で、おまけに道にも詳しくない、不埒なタクシードライバーがいます。ほとんどの人は、普通に真面目に仕事をしているタクシードライバーを「当たり前」と思っていますから、たまにそんな不埒なタクシードライバーと遭遇すると、強烈な印象となってその存在を心に刻み込みます。
あまりにも強烈なので「タクシードライバーなんて皆不埒な連中だ」と思い込んでしまいます。人の記憶なんてそんな無責任なものです。
せっかく多くのタクシードライバーが真面目に仕事に取り組んでいるのに、ほんの一部の不埒なタクシードライバーのせいでタクシードライバー全体が「底辺職」と思われるわけです。
政治家は皆ワイロをもらっていると思っているし、芸能人は皆ヤクをやっているか、反社と付き合っていると思っているし、教師は皆パワハラしていると思っています。
実際は「タクシードライバーが不埒」なのではなく「その人が不埒」なのですけどね。

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政治家のイメージ

2. 接客業だから

タクシードライバーの仕事は接客業でもあります。
乗客を安全に、迅速に、快適に目的地まで運ぶのが仕事です。
乗客には常にへりくだって接します。そして多くの人が、へりくだって接してくる相手は見下していいという勘違いをしています。
それで、へりくだって接してくるタクシードライバーのことを見下していいと勘違いしてしまうのです。ここでも相手を「人」ではなく「職業」としてしか見てないわけですね。そしてタクシードライバーという「職業」を見下すわけです。
飲食店の店員、コンビニの店員、スーパーの店員も見下されやすい職業ですが、相手がていねいだからって傲慢な態度で接していい理由にはなりません。下請け業者に威張り散らしていいわけでもないのです。

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花屋の店員も接客業

3. 特殊な勤務形態のせい

タクシードライバーには、20時間近く勤務して翌丸1日を休み、月間で12日間勤務して18日間くらいを休む隔日勤務という、特殊な働き方があります。タクシードライバーの給料は歩合制であることが多いため、多くのタクシードライバーがこの隔日勤務で働き、ガッツリ稼いでいます。
実際は、勤務の翌日は丸1日休めるし、月に18日間くらいの休みになるのですが、この「約20時間勤務する」ばかりが強く印象に残るので、多くの人が「タクシードライバーは勤務時間が長くて過酷な仕事」と思ってしまいます。
そして、そんな「過酷な働き方」をしなきゃならない「底辺職」だと考えてしまうわけです。

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過酷な働き方

4. 学歴不問でなれるから

タクシー業界は今、未曽有の人手不足状態が続いています。そのため、いつでも求人広告が出ています。タクシードライバーになるハードルはとても低いとも言えます。
タクシードライバーとして働くには第二種運転免許が必要ですが、取得を入社後に支援してくれるという会社もあります。学歴も不問という会社が多いです。
世の中にはまだまだ低学歴の人を見下す因習が残っていて、そんな因習にとらわれた人は「タクシードライバーは学歴不問でなれるから、きっとどのタクシードライバーも低学歴に違いない。そして我々高学歴者は低学歴者を見下してもいいのだ」なんて思い込んでいるようです。

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大学卒業してタクシードライバーになる人もいます

5. 中高年でもなれるから

タクシー業界は今、未曽有の人手不足状態が続いています。そのため、いつでも求人広告が出ています。タクシードライバーになるハードルはとても低いとも言えます。以上「4」のコピペ。
タクシードライバーの求人に「年齢不問。シニア世代も元気に働いています!」なんて載せているタクシー会社も多くなっています。
そんなわけで50代、60代でタクシードライバーとして再就職する人も珍しくはありません。
すると、多くの人があまり深く考えることもなく「50代でタクシードライバーに転職するってことは、きっと前職で何かやらかしたか、その歳になるまで何をやってもうまくいかなかったような、できない人に違いない」なんて思い込みます。思い込みって怖いですね。

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高齢者ドライバー

6. 未経験者でもなれるから

タクシー業界は今、未曽有の人手不足状態が続いています。そのため‥(以下同文)。
タクシードライバーの求人では「未経験者OK」と謳うことが多くなっています。もちろん、タクシードライバーは第二種運転免許が必要だったり、安全運転や接客に対する高い意識が必要な専門職なので、積極的に経験者を採用したいのですが、くどくどと表現しているように、タクシー業界は未曽有の人手不足状態が続いています。
それで未経験者でも「やる気」「熱意」「ガッツ」のある人を積極的に採用し、第二種運転免許の取得も支援し、一人前のタクシードライバーに育てていこうというタクシー会社が増えています。
皆さん、タクシードライバーになるなら今ですよ。「いつなるの? 今でしょ」です(あえての古さ)。
学歴不問でも中高年でも未経験でもなれるってことは「誰でもなれる」ということです。そんなハードルの低さから、多くの人がタクシードライバーをついつい見下してしまうんですな。人間ってのは弱いものです。
しかし、タクシードライバーは、安全運転や接客に対する高い意識がないと務まらないことを忘れないでください。

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若葉

7. ドライバーだから

多くの人が車を運転します。つまり、誰もが「車の運転」を「俺にもできること」と思っています。
そして多くの人が「車の運転」以外のことを仕事としています。そのため、多くの人が「車の運転は誰でもできるけど、俺はさらに車の運転ではない特別な仕事をしている。そんな俺って偉い」と思い込んでいます。
しかし、賢い人なら「タクシードライバーの仕事はタクシーの運転だけではない」ことに気付いています。タクシードライバーとして収入をアップさせたいときは、さらに創意工夫、努力を重ねなければならないことも知っているはずです。
タクシードライバーは、ただ漫然とタクシーを運転しているだけではないのです。
しかし、それも深く考えずに決めつけてしまう人には分かりません。そういう人は「誰でもできる車の運転を仕事にしている人たち」をひとくくりに見下してしまいます。

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漫然として過ごしている人

8. 自由度が高いから

一般的なサラリーマンは、職場に行くと上司や同僚がいます。
一方、タクシードライバーは基本的に1人で仕事をします。タクシーの運転席の横にも後ろにも、上司や同僚はいません。そのため、比較的に自由度の高い仕事になっています。
日ごろ、上司や同僚に囲まれ、組織の歯車として働くことになれている多くの人たちは、あらゆる自由度の高い職業の人たちを野蛮人を見るように見ています。人間関係に縛られることを文明化された生活だと勘違いしているわけです。

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歯車

9. 差別意識が蔓延しているから

差別意識は誰の心の中にもあります。それを理性でコントロールするのが人間ですが、やはり難しいものです。
人はむやみやたらと職業、性別、人種、外見、趣味嗜好などから他人を差別しがちです。悪意と言うか、差別しているという意識がない場合も多く、かなり厄介です。
とにかく、そんなわけで人は職業も差別の対象にします。もはやそこに明確な理由はなく、ただ単に「自分以外」の者を差別しているに過ぎないのです。

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人を色眼鏡で見てしまう

10. やっかみ

ここのところ人手不足が続いているタクシードライバーですが、月に12日間しか勤務日のない隔日勤務という働き方があったり、それにも関わらず平均年収は300万円台で、中には年収1000万円以上を得ている人もいる「やればやっただけ稼げる仕事」です。
「底辺職」などと言われがちで、世間のイメージは低いタクシードライバーですが、実は世にも「おいしい仕事」なのです。
休みがなく、朝早くから夜遅くまで働き、しかも残業手当を削られ、休みの日だって仕事の電話がかかり、人間関係によるストレスをためまくっている人たちからすると、タクシードライバーはとても「楽で素敵な仕事」です。ですから、難癖つけて悪口を言いたくなるのが人情というもの。
要するに「やっかみ」からタクシードライバーの仕事を「底辺職」だなんて言っているわけです。

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やればやっただけ稼げる

最後に

「タクシードライバーなんて底辺職」という説には科学的に明確な根拠はありません。

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科学的根拠