トラックドライバーという仕事は「やればやっただけ稼げる仕事」だなんてよく言われます。トラックドライバーの多くが歩合制で働いているので、よく言えばそうなります。悪く言えば「やらなきゃやらないだけ稼ぎの下がる仕事」ということになります。
ちなみに、トラックドライバー全体では平均月収が20万円~35万円ほどで、平均年収は300万円~480万円くらいだそうです。これはあくまでも平均ですし、またひと口にトラックドライバーと言ってもさまざまな業種、会社があり、細かくはそれぞれ違います。ドライバーの年齢や経験、持っている資格などによっても違ってきます。
トラックドライバーはここのところ人手不足が続いていて、それを何とかしようと、労働環境の改善なども進められています。トラックドライバーこそ、物流を担うことで経済のみならず社会全体を支えている重要な存在なのですから、本来は政治家並みの高給であるべきなのですが、なぜかそうなっていません。政治の力で、給料をびっくりするくらい高額にすれば、人手不足も少しは解消されるはずなのですが。
1. 長距離トラック
日帰り不可能な遠方に荷を届けるのが長距離トラックドライバーの仕事です。そのため、ドライバーは2~3日、長いと1週間くらい家に帰れないこともあります。
休憩時間はもちろんありますが、拘束時間はかなり長いわけです。仕事の間は車中泊が多いです。
それだけ過酷な仕事と言えるので、トラックドライバーの中でも高給の仕事になっています。
具体的には平均年収480万円くらい、平均月収は40万円くらいです。
フォークリフト運転者の資格を持っていて、荷積み荷下ろしでフォークリフトを使う仕事をしたりすると、収入も増えます。長距離トラックドライバーの中には年収750万円を稼ぐ人もいるようです。
2. 大型トラック
大型トラックを運転して荷を運ぶ仕事をします。
ちなみに、長距離トラックのほとんどが大型トラックですが、中には中型トラックで長距離の仕事をしているところもあります。また、大型トラックでも中距離、近距離の仕事があります。
大型トラックを運転するには大型自動車運転免許が必要で、その取得は中型免許や普通免許より難しいとされていて、その分、大型トラックでの仕事は中型トラックや小型トラックに比べて高給になっています。
具体的には平均年収450万円くらい、平均月収35万円くらいです。
この中には当然、長距離の仕事も含まれています。
3. 中型トラック
中型トラックは4トントラックなどで中距離、近距離に荷を運ぶ仕事をします。運転するには中型自動車運転免許が必要です。ただ、免許を取得した年によっては、普通運転免許でも運転できます。
平均年収は450万円~550万円、平均月収は30万円前後といったところです。
あまり家を空けたくないけど、しっかり稼ぎたいという人の多くが、中型トラックのドライバーとして働いています。
体力があり余っている若いころは長距離の仕事をして、中高年以上になって家庭を大事にしたくなり、体力的に無理をしないようにと考え、中型トラックに転身する人もいます。
4. 軽貨物配送ドライバー
軽貨物車で運送業務を行います。基本的には自分で車両を用意し、陸運局に届け出て黒地に黄色文字の黒ナンバーの交付を受け、業務委託という形で主に運送会社から仕事を請け負います。
運転するのは軽貨物車なので、必要な免許は普通運転免許です。
軽貨物配送ドライバーの募集広告には「月収50万円以上」、中には「月収100万円以上」なんてキャッチコピーが並んでいたりしますが、実際には車の維持費、ガソリン代はすべて自己負担で、事故も自己責任になります。社会保険も年金も、自分の収入から払います。
軽貨物配送ドライバーはいわば個人事業主であり、仕事を請け負う会社との契約によって収入もまちまちです。
5. セールスドライバー
セールスドライバーは配達、集荷、集金、さらには営業も行うドライバーで、よくあるのが「通販で買った商品を配達する宅配ドライバー」です。
ただ配達するだけではなく、通販を行っている店舗や会社と交渉して運送を請け負う契約を取るのも仕事です。
正社員の場合は年収300万円~年収400万円ほどと言われています。勤務先、勤務形態でも異なりますが、荷物をたくさん運ぶだけ、または契約本数を増やすだけ、給料が上がるようです。
6. ルート配送
ルート配送ドライバーの仕事は、毎日決められた場所にトラックで商品を配送することです。コンビニのチェーン店を回って弁当や総菜などの商品を届けていく仕事と言うと、一番分かりやすいでしょう。
正社員なら月収20万円~40万円、ボーナス80万円~120万円と言われています。勤め先の会社によって違いますが、ルート配送ドライバーは、月によって給料が下がることもほぼありません。年収700万円になることはなくとも、毎年年収400万円を維持することはできるでしょう。
7. 引っ越し作業員兼ドライバー
求人では「引越しドライバー」とだけ載っている場合もありますが、必ず引越し作業もしなければなりません。
とは言え、引っ越し作業はもちろん1人で行うのではなく、数人、多ければ10数人で行います。
運転するのは大型、中型、小型など、荷物の量などによってトラックを使い分けることがあります。
1日に1軒から3軒ほどの引っ越しを担当します。北海道から関東までなど、長距離の引越しもあります。
収入は、正社員の場合、月給25万〜50万円くらい、年収448〜512万円くらいだそうです。
8. ユニック車
ユニック車というのは、クレーンの付いたトラックのことです。ユニックというのは商品名で、これが全国に普及し、いつの間にかほかのメーカーの同様のトラックも「ユニック車」と呼ぶようになったそうです。
また、荷台がなく、運転席とは別にクレーンの操縦席がついているのはトラッククレーンと言って、また別です。
ユニック車の運転自体は、最大積載量に応じた中型免許、大型免許などがあればできますが、クレーンの操作も行う場合は、そのための資格も必要です。これも吊り上げ荷重によってどんなものが必要になるかが違ってきます。さらにクレーンに物をかけ外しできる玉かけの資格もあれば言うことありません。
荷の積み下ろしはクレーンを使うので、力仕事はほとんどありません。
収入は、運転するトラックの大きさなどによって違ってきますが、クレーン操作のための資格が必要な仕事ですから、その分、通常の中型トラック、大型トラックのドライバーより高収入になっています。
9. アームロール車
アームロール車とは、一般名称を脱着装置付コンテナ専用車と言い、コンテナを荷台に乗せたり、降ろしたりできるアームを備えたトラックのことです。ちなみに、アームロール車は商品名です。
主に工事現場、建築現場、工場などで出る産業廃棄物を処理場などに運ぶのに使われます。荷、つまりコンテナの積み下ろしは機械であるアームが行うので、力仕事はほぼありません。
アーム操作は運転席からリモコンで行います。運転するには、車自体の車両総重量によって中型か大型の運転免許が必要になります。
収入は、やはり運転する車の大きさによって違ってきます。力仕事がなく、過酷な仕事ではないので、通常のトラックドライバーと大きな差はないようです。
10. バルク車ドライバー
粉粒体の運搬に使用されるトラックのことをバルク車と言います。粉粒体とは粉や粒が集まったもののことで、運ぶのは具体的には石灰などの鉱産物、ポリエチレンなどの樹脂ペレット、グラニュー糖などの食品、または飼料などです。
バルク車は、正式には粉粒体運搬車と言います。一見、タンクローリーにも似ています。
手積み、手下ろしがないのが基本なので、腕力はあまり必要ではありません。運転には、車の大きさによって中型運転免許、大型運転免許が必要です。
収入は会社によって異なりますが、ほかのトラックの運転手と同程度のようです。
11. パッカー車
パッカー車とは主にゴミ収集に使われる、トラックに似た車両のことで、ゴミを自動的に荷箱に押し込み、圧縮する装置を備えている機械式収集車です。一般にはゴミ収集車、業界ではパッカー車、法的には塵芥車と言われています。
求人でゴミ収集車運転手と出ていたら、恐らくこのパッカー車の運転手のことです。パッカー車ドライバーと書かれている場合もあります。
収集物の積み込み法によって回転板式、圧縮版式、荷箱回転式があるので、応募する際は求人内容をよく読みましょう。
基本的には決まったルートを回るので、残業もほとんどなく、日曜、祝日はきちんと休める職場が多いです。
言わばゴミ収集作業員なのですが、平均年収は300万円~500万円程度だと言われています。
12. タンクローリー
タンクローリーは、重油やガソリンといった燃料、液体、LPガスや高圧ガスなどの気体、シロップや小麦粉といった食品類などを運搬するための特種用途自動車です。
多くのタンクローリーは大型車なので、運転には大型運転免許が必要ですが、中型、小型のタンクローリーもあります。また、けん引タイプの車両の場合はけん引免許も必要です。
さらに、運ぶものが劇薬、石油や液化ガスなどの危険物の場合、危険物取扱者の資格取得も必要です。高圧ガスを運搬する場合も、特別な講習を受けるか「高圧ガス製造保安責任者」の資格が必要になります。
収入は、車の大きさ、運ぶものの内容などによっても大きく異なりますが、危険物取扱者などの資格を持っていると、その分、一般的なトラックドライバーよりは高収入になります。
大まかに言うと、年収は350万円~650万円のようです。幅広いです。