
タクシードライバーに限らず、すべての職業人にとって「安全」はとても重要です。「安全」こそ、職業人として仕事を進める上での大前提です。
しかもタクシードライバーは「車の運転」が仕事の大半になるので、安全運転が何よりも大切です。タクシードライバーは安全運転のために最善を尽くさなければなりません。
同時に、運転以外のことでも安全に留意する必要があるのです。
1. 安全運転意識の徹底
とにかく、道路上で車を走らせる者として理屈抜きに何よりも優先しなければいけないのが安全運転です。
安全運転を怠り、交通事故を起こせば、人命を脅かすことにもなります。
安全運転のためには常に周囲を確認し、冷静に状況を判断し、危険を予測してその危険を回避しなければいけません。
タクシードライバーはただ漫然とタクシーを運転しているだけでは、収入をアップさせることはできません。収入をアップさせるためにはできるだけ多くのお客さんを見つけ、乗せなければいけないのです。
タクシーを運転しながら歩行者にも目をやり、タクシーに乗ろうとする人を見つけなければいけませんが、同時に安全運転にも意識を向けなければいけないので大変です。
「車の運転」と「お客さんを探す」という、2つのことを同時に行うので大変ですが、慣れればスムーズにできるようになります。しかし、「慣れ」によって安全運転への意識が薄くなってはいけません。

2. 車両整備の徹底
タクシードライバーが安全運転をしっかり意識していても、ブレーキが不調だったりすると、それによって交通事故が引き起こされるかもしれません。車両点検、車両整備をしっかり行い、車両の状態を万全にしておく必要があります。
精算機など、タクシー特有の機器も、常に万全な状態にしておきましょう。いざというとき、それが不調だと、その機器操作に気を取られて安全への配慮がおろそかになってしまいます。

3. 健康管理の徹底
タクシードライバーが安全運転をしっかり意識し、車両の状態が万全だったとしても、とっさのときに冷静な判断ができなければ、それによって交通事故が引き起こされるかもしれません。
身体機能が不調でも、とっさに車両の操作ができず、危険を回避できないかもしれません。
安全運転を行うためには、心身も車両も、どちらもが万全な状態でなければいけません。
勤務時間の長いタクシードライバーにとって厄介なのは睡魔に襲われることです。睡眠時間もしっかりコントロールしましょう。もちろん、健康のために栄養バランスの取れた食事を心掛けることも忘れずに。

4. 防犯対策の徹底
タクシードライバーにとっての危険は交通事故だけではありません。深夜などはタクシー強盗に遭遇する可能性もあります。強盗まではいかなくとも、タクシードライバーが暴行される事件も起こっています。
そうした事件から身を守るために「防犯カメラ搭載」といったステッカーを貼ったり、実際に防犯カメラを搭載したり、防犯対策をしておきましょう。
肝心なのは、自分の命を守ることです。危険を感じたらとにかく逃げることです。下手に相手と交渉したり、反撃するより、まずは逃げましょう。

5. 感染対策の徹底
新型ウイルスが経済に大打撃を与えたコロナ禍では、交通事故、事件とともにもう1つ気をつけなければならないのが感染対策です。
タクシーはタクシー車内という、それほど広くない密室でドライバーとお客さんがある程度近くで過ごすことになるので、無策では感染リスクも高くなります。そこでタクシー会社によってはビニールシートで運転席と後部座席を完全に仕切るなどの対策を講じています。
それ以外でも、タクシードライバーのマスク着用はもちろんのこと、お客さんにもマスク着用を求め、さらにドライバーとお客さんとの会話も必要最低限度に抑え、精算もスマホのアプリなどを使ったキャッシュレス決済の普及に力を入れたりしています。

6. お客さんの安全確保
タクシードライバーの仕事は「お客さんを安全に、迅速に、快適に目的地へ運ぶこと」です。「安全に」は特に重要なので、安全運転に気をつけなければいけないのです。
また、タクシーは高齢者や身体障がい者の利用も多くなっています。もともと「快適に」のために急ブレーキや急発進、急な加速、急なハンドル操作は避けなければいけませんが、急なタクシー操作がお客さんの「安全」を損ねることもあり得るので、それも踏まえて配慮しなければいけません。
もちろん、お客さんにきちんとシートベルトの着用を促しましょう。

7. お客さんの乗降時の安全確保
お客さんの安全を考えなければいけないのは、お客さんがタクシーに乗っているときだけではありません。
お客さんは街中などでタクシーを見つけると、手を振るなどしてタクシーを停めようとします。このとき、お客さんはついタクシーを停めて乗ることに気持ちを集中し、周囲の安全確認を怠ってしまうことがあります。
それでもタクシードライバーは、周囲の状況をきちんと確認し、他の車の邪魔になったりしないよう、お客さんが安全にタクシーのそばまで来て、安全に乗れるように配慮しなければいけません。お客さんが降りるときも同様です。
お客さんの乗り降りのために自動ドアを操作するときも、タクシーの脇を自転車などが通らないかを確認する必要があります。
また、お客さんの乗降時は交通の流れを妨げることにもなるので、安全に行うとともに迅速に行う必要があります。交通の流れを妨げることは安全運転にとっても悪い影響を与えるからです。

8. お客さんを探すときの安全確保
お客さんはタクシーを利用しようというとき、街中を走るタクシーを探します。同様に、タクシードライバーも収入をアップしようと思ってタクシーを利用したい人を探します。
前述しましたが、タクシーを運転しながら歩行者にも目をやり、タクシーに乗ろうとする人を見つけなければいけませんが、同時に安全運転にも意識を向けなければいけないので大変です。
歩道などを歩く人ばかりに目をやって、道路上の車などへの注意がおろそかになってはいけません。
そして、たとえようやくタクシーを停めようとして手を挙げている人を見つけても、安全にタクシーをその人の近くに停められそうにないと判断したら、その人を乗せることを潔くあきらめ、次の人を探しましょう。そういった気持ちの切り替えが大事です。

9. タクシー車両の特性の把握
タクシーは普段、乗っている自家用車とは違います。車は1台1台、デザインが違えば車の大きさ、死角なども違ってきます。
特にタクシードライバーになりたてのころは、普段、自分が乗っている車のほうが乗り慣れていて、タクシーでは瞬時の状況判断ができないこともあります。焦らず、じっくり感覚を慣らしていくことが大切です。
