このところ、トラックドライバーを募集する運送・物流業界の会社は、求人への応募条件が「年齢不問」となっていることが多いそうです。
トラックドライバーの仕事は体力仕事でもあり、体力仕事は若い人材を欲しがることが多く、他の業界では「中途採用」でも求人への応募条件を「35歳まで」としていたりします。それがなぜ「年齢不問」で、いわば35歳以上もウエルカムなのでしょうか。
さらに、例えばタクシードライバーやバス運転手のような職業ドライバー経験者ではなく「未経験OK」となっているので、営業や企画などに携わってきた、いわゆる元「ビジネスマン」もウエルカムです。
なぜなん?
1. 人手不足だから
ご存じの通り、ネットショップの増加もあって物流業界は大忙しです。ネットショップでポチった商品やら、スーパー、コンビニに並べる商品、さらに工業製品だのその部品だの、あらゆる荷を運ぶトラックドライバーの仕事は激増しています。
それだけ仕事が増えているのに、トラックドライバーになって日本の物流を根底から支えてやろうという志士は増えず、その結果、運送・物流業界は重度の人手不足になっています。もはや「経験者優遇」「年齢は35歳まで」なんてことは言っていられないわけです。
2. 35歳以上は働き盛りと知ってるから
トラックドライバーは体力仕事です。確かに20歳前後の若者のほうが身体能力の衰えは微塵もなく、体力仕事向きかもしれません。
しかし、35歳以上は働き盛り。トラックドライバーの経験はなくても、ビジネスマンとして培った豊富な社会経験があります。
トラックドライバーになっても作業の効率化を考え、若さと経験を融合した発想で素晴らしい企画力を発揮してくれることも期待できます。トラックドライバーの仕事を非効率なものにしてきた、業界の古い慣習を打ち破り、業績向上に貢献してくれるかもしれません。
3. 高齢化が進んでいるから
ご存じの通り、政治家の失策のせいで日本は少子高齢化が進み、若者の人口が減っているので運送会社にもなかなか若い新人が入らず、ベテランドライバーがその経験年数を重ねています。
そりゃ、トラックドライバーも心身ともに健康で若いほうが良いです。
しかし実際は、トラックドライバーも50代以上が当たり前になっています。そのため、感覚的には35歳以上でも十分若手というわけです。
4. 何よりもやる気を重視しているから
トラックドライバーに必要なのは1に運転免許、2に安全運転と荷を守る責任感、3、4がなくて5に仕事を続けるやる気です。
中でも「やる気」を重視しているわけです。物流業界は仕事が激増していますから、トラックドライバーには辞めてほしくないためです。年齢はあまり重視しません。
5. 意欲的な若い人が少ないから
今の若い人は横並びでいたがる傾向があり、あまり目立とうとしないそうです。
トラックドライバーの仕事は、1人で大きなトラックを自在に操る、カッコいい仕事ですから目立ちます。給料は歩合制になっていて、やればやっただけ稼げる、なんてことまで言われます。いくらたくさん稼げても、目立ちたくない若者は、つい二の足を踏んでしまいます。
しかし、酸いも甘いも嚙み分ける35歳以上の分別盛りなら、たくさん稼げるなら目立とうがどうしようが構わないというタフガイが多く、物流・運送業界の会社も、そんな35歳以上に積極的に入社してほしいと願っている、のかもしれません。
6. 定年延長している会社が多いから
前述したように、トラックドライバーは人手不足が続いている上、高齢化も進んでいます。トラックドライバーとして経験を積んできたベテランたちを、運送会社はそう簡単に手放したりはしません。
そのため、社会全体がそういう方向に向かっているように、運送会社でも定年後再雇用や定年延長などの制度を導入。今や60代、70代のトラックドライバーも珍しくなくなっています。
35歳なんてまだ子どもです。
7. 風土的な理由から
多くのビジネスマンは、仕事のジャンルでは営業職で働く人が圧倒的な割合を占めています。
営業職ではノルマを課せられ、ノルマ達成のストレスから疲弊するビジネスマンも多くなっているようです。
そして営業成績が伸びないビジネスマンは、あっさりクビを切られたり、閑職に追いやられたり、ビジネスマンが最も価値観を置く「昇進」と程遠い社会人生活を送ることになります。欧米であれば、1つの会社で評価されなければ、より高く評価してくれてたくさんの給料を払う会社にさっさと移りますが、いまだに「転職は良くないこと」というのが日本の風土というわけです。
一方、トラックドライバーの会社では、トラックドライバーも年齢によって仕事の種類を変えるために会社を移ってキャリアアップを図っていくのも、1つのやり方として普及してきました。人手不足によって求人がいつも多いという状況が、逆にそうした風土を育てたと言っても良いかもしれません。
そんなわけで、物流・運送業界では未経験の35歳以上を採用することにも、大きな抵抗がないのではないでしょうか。
8. 年齢と仕事の優劣は関係ないと知っているから
トラックドライバーの仕事は高い技能を必要とする専門職ですから、できれば経験者を優遇したくなります。
大事なのは経験であり、年齢ではないわけです。
さらに、前述したような事情で、今は求人でも「未経験者OK」になってきました。未経験者でも、トラックドライバーの仕事に適性を見い出し、やる気と責任感を持って仕事をしてくれれば、年齢は関係ないわけです。
9. 縁次第だから
トラックドライバーに限らず、結局、採用は「縁」じゃないでしょうか。
たとえ50歳の未経験者でも、これまでたまたまトラックドライバーの仕事に就いてこなかっただけで、いざやってみると、これがうまいことスッポリハマるかもしれないのです。
10. 35歳以上のビジネスマンは仕事の楽しさを知っているから
35歳以上ともなれば働き盛りです。働き盛りと言うのは、仕事の大変さ、社会の厳しさも何となく身に染みて分かるようになり、20代のころのような「ガムシャラにただ頑張る」状態から肩の力も抜け、仕事の面白みが分かり、仕事に楽しさも見い出せるようになる年代です。
そんな年代なら、トラックドライバーの仕事にも同様に「楽しさ」を見い出し、頑張って仕事を続けてくれるだろうと、大いに期待できるわけです。
最後に
運送業界の大企業は、35歳以上の転職者を積極的に採用することが功を奏し、自社の営業利益がものすごいスピードで上昇しています。このような実態がありますから、35歳のビジネスマンは迷いを捨て、運送業界の大企業に転職することをお勧めします。
転職して求人票拾う者なし、です。