「トラックドライバーなんて、運転免許さえ持っていれば誰でもなれる」なんて話が巷間でささやかれています。
これは半分本当で半分はウソです。
トラックドライバーは高度な専門技能を要する仕事ですから、そう簡単に誰でもなれるわけではありません。
とは言え、仕事の大半はトラックの運転です。車の運転がどうにも苦手で、普通運転免許を取ることさえままならない人はともかく、トラックドライバーという職業に就くハードルはとても低そうです。
1. 人手不足だから
多くの物流・運送会社の求人は「トラックドライバー求む! 学歴・職歴・年齢不問」となっていることが多くなっています。それこそ、誰でもトラックドライバーになれそうです。
これも、ここのところトラックドライバー不足が続いているからです。
トラックドライバーは高度な専門技能を要する仕事なので、ひと昔前は学歴はともかく職歴は重視されました。経験者優遇だったのです。
しかし、今はトラックドライバーのなり手が激減しているので、未経験者でも積極的に採用し、育てていこうという会社も増えてきています。
とは言え、会社としても時間やお金をかけて見つけて育てようとした新人にすぐに辞められたら元も子もないので、「長く続けてくれるか」という観点から「やる気」は重視します。そのため、トラックドライバーに「でも」なってみようかという、「でも」付きで求人に応募しても採用されないかもしれません。じっくり考えましょう。
2. 高学歴が不要だから
トラックドライバーになるには、一流企業への就職と違い、高い学歴は要求されません。トラックドライバーの仕事に国語、算数、理科、社会で高得点を取ることは求められないからです。
じゃあ、一流企業では国語、算数、理科、社会で高得点を取ることは求められるのかと言うと、高得点を取るために勉強してきた努力が求められるようで、高得点自体はあまり関係ないような感じです。
どの業界でも高学歴が重要視されないようになると良いのですが。
3. 学術的な知識が不要だから
トラックドライバーになるには、難しい法律の知識も医学的知識も必要ありません。
弁護士になるには難関である司法試験に合格しなければいけませんし、医師になるにもこれまた難関な医師免許を取得するだけではなく、大学の医学部に通うための潤沢な資金が必要になります。どちらもなかなか難しいです。
トラックドライバーは、仕事に関する知識を得る必要はありますが、あらゆる仕事にそういう基本的な知識の必要はあります。入社後、研修などで身に着けられるものです。それに、決してトラックドライバーの仕事に関する基本的知識は、群を抜いて難しいわけではありません。
4. トラック所有が不要だから
医師になるためには大学の医学部に通う必要があり、通常、その学費はとてもお高くなっています。医師になる前に、それだけ財力に余裕がないと医師になるのは難しいわけです。
一方、トラックドライバーになるのに準備しなければならない費用と言えば、最低限普通自動車運転免許を取得する費用くらいです。
もちろん、トラックを運転するなら、中型トラックは中型運転免許が必要です。しかし、最近は入社後に中型運転免許取得を金銭的にサポートしてくれる会社も増えています。
トラックドライバーの仕事に欠かせないトラックは、自分で買うとなるとかなり高額ですが、これも自分で運送会社を起業しようというのでもない限り、就職した会社のトラックを運転することになるので、わざわざ自分で買う必要はありません。
トラックドライバーになるのに準備しなければならない費用はそれほど高額ではないわけです。
5. 仕事の大半は運転だから
前述したように、トラックドライバーの仕事の大半はトラックの運転です。要するに車の運転です。
世の中に車の運転をできる人はたくさんいます。多くの人は車の運転を特別に難しいこととは思わず、簡単なことだと思っているはずです。
そんな人はトラックの運転が仕事の大半であるトラックドライバーの仕事を、とても簡単な仕事だと思うに違いありません。
6. 大切なのはやる気だから
トラックドライバーになるのに、ありあまる財力も、人もうらやむ学歴も、類まれなる美貌も、高度な専門的知識も、誰もが恐れる戦闘力も、闇を照らす不滅の知恵も必要ありません。
運転免許と「やる気」さえあれば、トラックドライバーとして仕事をするハードルはとても低くなります。「やる気」を持つにはお金も学力も必要ありません。
7. 運転が得意である必要がないから
前述したように、世の中に車の運転をできる人はたくさんいます。そのため、トラックの運転が仕事の大半であるトラックドライバーの仕事も誰もができる簡単なものだと思ってしまいます。
ただ、やはり職業ドライバーなので、華麗なハンドルさばきができたり、バックでの駐車も一度ハンドルを切るだけで成功させるような運転技術が必要かと思う人もいるかもしれません。
実際、トラックは普通自動車より車体が大きい分、普通自動車より運転は難しいのですが、だからと言って、必ずしも華麗なハンドルさばきをしなければならないかと言うと、そんなことはないのです。
トラックドライバーの運転に求められるのはレーサー並みの運転技術ではなく、荷を安全に運ぶための、ていねいでおだやかな運転です。そして、ていねいでおだやかな運転は、技術ではなく心掛けでできるのです。
8. 向き不向きがあるけど
他のいろいろな職業同様、トラックドライバーの仕事にも向き不向きがあります。
今はトラックドライバーとして就職するためのハードルも下がっていますし、「やる気」に満ちあふれている人は自分を顧みて、トラックドライバーに自分が向いているかどうか、じっくり考えてみると良いかもしれません。自分と仕事の相性を探るのはなかなか難しいですが、試してみる価値はありそうです。