
トラックドライバーの社会的地位は低いようです。
「私、トラックドライバー」と言うと、あからさまに見下す人が世の中にはいるみたいです。
そもそも誰かを見下すなんて行為はいささかどうかと言えますが、それも人間のサガというヤツかもしれません。それにしても、その人の「人となり」ではなく、職業で見下すなんて…。
1. 社会的地位が高い仕事とは?
社会的地位が高い職業ってのを調べてみると裁判官、医師、大学教授、政治家などが挙がってきます。
イメージとしては「周囲から尊敬される職業」でしょうか。
政治家なんかはアヤシイところですが、まあたいていの人がうわべだけは政治家に対して「尊敬している」フリはしますからね。

2. 名誉と社会貢献度
尊敬される職業と言うと、つまり名誉があり、社会貢献度が高い仕事ということになるのでしょうか。
「名誉がある」というと抽象的ですが、「名誉」とは「能力や行為が高く評価される」ことなので、やはり「周囲からチヤホヤされる職業」かもしれません。
トラックドライバーは本来、高い技能を必要とされる専門職ですし、トラックドライバーの仕事を務めることは「能力を高く評価」されても良いことのはずです。同時にトラックドライバーが荷を運ぶことで人々の生活や企業の経済活動が成り立っている、動かしがたい事実からすると、トラックドライバーは十二分に「社会的地位が高い仕事」と言って、誰はばかることはないでしょう。
今さらトラックドライバーの社会的地位を「上げる」必要はないわけです。

3. 意識の低さ?
それでもトラックドライバーは「社会的地位の低い仕事」と見られがちです。
どうも、公共マナーや交通ルールを守らないトラックドライバーがごく一部にはいるらしく、そういう「悪質トラックドライバー」がちょっとでも目撃されると、悪評がまたたく間に広められてしまうからのようです。
悪質トラックドライバーを目撃した人は鬼の首を取ったように、すべてのトラックドライバーが公共マナーも交通ルールも守らない「荒くれ者」だと書き込んだりするのでしょう。困ったものです。
ただ、公共マナーや交通ルールを守らないトラックドライバーが「ごく一部」とは言え実在するのもゆるぎない事実なので、そうしたトラックドライバーの「意識の低さ」が自ら招いてしまっている現状なのかもしれません。

4. 給料の低さ?
人はどうやら「給料が低い人」を見下す傾向が強いようです。これまた困ったことです。
「給料が低い」のは「怠け者だから」「能力が低いから」「知力が低いから」と決めつけてのかもしれません。しかし、世の中には怠け者で能力も知力も低くても大金を稼いでいる人がいる、かもしれないのです。ホラ、あなたの後ろの暗闇に…。
それはともかく「怠け者だから」「能力が低いから」「知力が低いから」と言って誰かを見下して良い理由は1つもありません。
それに、トラックドライバーの給料は年収約300万円~約700万円とも言われています。年収約700万円なら、そこそこたくさん稼いでいると言えなくもなくないのではないでしょうか。
年収約700万円で、生活に困ることはなく、家族で旅行に行くこともでき、将来のための貯金もでき、趣味で高額な買い物もできるぞと、大威張りする人だっているはずです。

5. 誰でもできると思われている?
「トラックドライバーは本来、高い技能を必要とされる専門職だって? トラックドライバーなんて誰だってできらあ」と思っている人がいるかもしれません。
トラックドライバーの仕事の大半はトラックの運転、つまり車の運転です。車の運転は多くの人が普段からやっています。それも特に難しさを感じることもなく、やっています。そのため、トラックドライバーは「トラックの運転という、簡単な、誰でもできることを仕事している」と思われているわけです。
それで「俺は車の運転以外に仕事をしている。だから俺のほうが偉い」と考えてしまうんでしょうか。困ったことです。
ただ、仕事には「合う」「合わない」があるのも動かしがたい事実です。簡単そうに見えても、「合わない」人にとってはチョー難しい仕事となり得ます。

6. 肉体より頭脳
トラックドライバーの仕事は体力仕事でもあります。トラックの運転そのものではそれほど多くのカロリーは消費しませんが、イメージとしては肉体労働の1つと思われているかもしれません。
確かに実際に社会的地位が高いと言われる裁判官、医師、大学教授、政治家などは頭脳労働です。体力も必要ですが。
つまり、人は筋肉より頭脳を使うほうが「地位が高い」と思われるわけです。すなわち、筋肉より頭脳のほうが価値が高いということのようです。
そして肉体労働より頭脳労働のほうが、就職するにも狭き門ということです。その職業に就くのが相当難しいからこそ、社会的地位が高いと認められるのかもしれません。

7. 社会的地位って?
そもそも社会的地位って何でしょう。
裁判官、医師、大学教授、政治家などが「社会的地位が高い仕事」と言われがちで、「名誉があり、社会貢献度が高く、ゆえに周囲から尊敬される職業」と言うこともできます。
ただ、多分、普段から自分の仕事の社会的地位が高いかどうか、多くの人はあまり気にしないで過ごしているはずです。時々、例えば同窓会などで自分が今トラックドライバーの仕事をしていると話したときの、周囲の反応から「ひょっとしてトラックドライバーは社会的地位が低く、周囲に見下される仕事なの?」と考えてしまうのではないでしょうか。
普段から気にしていないということは、人生においてそれほど重要でもないですし、同窓会でようやく出会う人とはその後もあまり頻繁に会うことはないので、社会的地位が低いかどうかなんて、実はたいした問題ではないのかもしれませんね。

8. 安全教育の徹底が必要
それでも、どうしてもトラックドライバーの社会的地位を上げるのであれば、周囲から尊敬されればこそ、「荒くれ者」だなんて思われないよう、すべてのトラックドライバーが公共マナーや交通ルールを守るよう、安全教育を徹底させると良いかもしれません。
公共マナーや交通ルールを守らないと言っても「ごく一部」なのだからと、黙認するようではいけません。
とは言え、裁判官、医師、大学教授、政治家にもマナーやルールを守らない人はいるのでしょうけど。

9. 給料を上げる
社会的地位が高いと見られるためには、やはり高給取りでないといけないようです。
トラックドライバーの給料も上げましょう。
トラックドライバーはこのところ人手不足に陥っていて、そのために労働環境の改善なんかも進められているようですが、多くの若い人に集まってもらうには、やはり高い給料にする必要があります。
トラックドライバーの給料をドカンと上げましょう。もちろん送料も上がりますので、庶民はまた嘆き悲しむでしょうが、物流がストップするよりは良いでしょう。
そのついでに、トラックドライバーの社会的地位も上がります。
あくまでも物流をストップさせないための給料アップです。そのついでにトラックドライバーの社会的地位が上がっても、誰からも文句を言われるものではないはずです。

10. 就職のハードルを上げる
社会的地位が高いと言われる裁判官、医師、大学教授、政治家と言えば、就職のハードルが高い職業として有名です。
トラックドライバーの社会的地位を上げてそれらと肩を並ばせるためには、トラックドライバーへの就職のハードルも上げましょう。
もともとトラックドライバーは「経験者優遇」の、就職のハードルが高い仕事でした。その「昔」に戻すだけです。

最後に
そもそもトラックドライバーの人手不足がきっかけで、「経験不問」「学歴不問」「年齢不問」の求人が増えました。しかし、トラックドライバーの就職のハードルを上げ、簡単にはなれない職業にして社会的地位を上げると、その社会的地位に惹かれて多くの人がトラックドライバーの求人に殺到するかもしれませんよ。ふふふ。
