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トラックドライバー不足解決の切り札とは

切り札

とっておきの、最も優れた手段のことを「切り札」と言います。
さて、運送・物流業界の今の大きな課題を解決するための「切り札」なんて、本当にあるのでしょうかねえ。

1. 女性・高齢者の雇用

トラックドライバーはもともと「男の仕事」でした。いや、昭和の昔は「ほとんどの職業」「男の仕事」だったわけで、トラックドライバーのその1つでした。
ただ、その中でもトラックドライバーに女性は今でもごくわずかなので、男性のトラックドライバーが少なくなってきたのなら、今度は女性に活躍してもらおうじゃないか、ということでトラックドライバーへの女性の積極採用が始まりました。
行政の旗振りもあって業界全体としてこれに取り組み、女性も働きやすい職場環境を整えて積極的な女性採用に動き出した会社もあります。女性採用を行っている会社からは、女性トラックドライバーが働くことでの多くのメリットも聞かれています。
ただ、まだまだトラックドライバー不足を解決するまでにはなっていません。今後も地道な努力が続けられることでしょう。
同時に、高齢者の積極的な採用も始まっています。定年を延長したり、定年後再雇用制度を導入した会社もあります。これもトラックドライバー不足を解決するまでにはなっていませんが。

男ばかり

2. 隊列走行

隊列走行は、複数のトラックが隊列を組んで走り、各トラックの走行状況を通信によってリアルタイムで共有し、自動で適切な車間距離を保って走行する技術です。
今行われている隊列走行の実験では、各トラックにそれぞれドライバーが乗り込んで運転しています。「それでどうしてドライバー不足解消になるの?」と思うでしょう。
けど「燃費向上」「渋滞緩和」「安全性の向上」などのメリットがあり、それによってトラックの運転による負荷が減るそうです。つまり、トラックドライバーの仕事が少しになるわけです。になれば、トラックドライバーになろうという人も増えるかもしれません。
さらに、ゆくゆくは先頭のトラックにはドライバーが乗るものの、後続のトラックは無人で走らせるようにもするらしいです。そうなれば、1人のトラックドライバーで、今まで以上の荷を運ぶことができるわけで、これはドライバー不足解消に大いに貢献するでしょう。
そのさらに先の未来では、先頭のトラックも無人で、完全に無人トラックの隊列走行の実現を目指すようです。
トラックドライバーが不足しているなら、トラックドライバーを増やそうというのではなく、トラックドライバーの仕事量を減らそうという発想なわけです。

隊列をつくる

3. 共同配送

共同配送は、複数企業の商品を同じトラックなどで輸送することです。
作業の効率化コストダウンのために考えられた手段です。つまり、従来はそれぞれの荷をそれぞれトラックで運んでいたところ、同じ届け先への輸送を一括して1台のトラックで運ぶので、少ないトラックドライバーで増加する仕事に対応できるようにしているわけです。

荷を一括して運ぶ

4. 作業の効率化

隊列走行や共同配送は、トラックドライバーの作業の効率化を図り、少ないトラックドライバーでも増加する物流の仕事に対応できるようにする取り組みになっています。
そもそも物流・運送業界は、なかなか作業の効率化が進んでいない業界でもあったようです。事務処理なども今はほとんどの業界でデジタル化、ペーパーレス化が進んでいますが、物流・運送業界は零細・中小企業が多く、デジタル化もなかなか進んでいません。
非効率な作業がトラックドライバーの仕事を大変なものにしているという側面もあります。作業の効率化を進めることで、トラックドライバーの仕事が多少はになれば、少ないトラックドライバーで大量の仕事をこなせるようになります。それだけではなく、若い人にもトラックドライバーの仕事に興味を持ってもらいやすくなるかもしれません。

アナログだと書類もたまる一方

5. 自動運転システム

トラックの隊列走行も、ゆくゆくは無人トラックの導入を目指していますが、そもそも1台で走るトラックも自動運転システムで無人走行が可能になれば、トラックドライバーが不足していても荷の輸送ができるわけです。
無人走行までできなくても、人の運転をサポートする形での自動運転システムの導入でも、トラックドライバーの働き方をかなり大きく変えることになり、これによってもトラックドライバーの仕事の魅力アップが期待できるはずです。

無人走行

6. 給料アップ

トラックドライバー不足を何とかするには、やはりトラックドライバーを増やす方法を考えるのが、一番真っ当ではないでしょうか。
トラックドライバーを増やすために一番効果的なのは、多分トラックドライバーの給料アップに違いありません。現在、トラックドライバーの平均年収は約300万円~700万円と言われています。これを思い切って3倍にしましょう。
しかし、今も運送会社などは特に資金があり余っているわけではありません。売り上げだけで給料をアップするのは清水の舞台から飛び降りるよりも難しそうです。
さて、そこで登場してほしいのが「税金の投入」です。首相に無理矢理「閣議決定」してもらえば、強引に実現できますから。「国会を無視するとは何事だ」と怒る人もいるでしょうけど、トラックドライバーがいなくなれば社会や人々の暮らしを止めてしまうのですから、無理矢理決行しても致し方なしと、国民も納得します。
その他のいろいろな説明不足での強行より、よほどこの「運送会社支援」のほうが国民も納得しやすいでしょう。

給料

7. 少子化の抑止

さらに行政に頑張ってもらわにゃならんのが、少子化の抑止です。少子化対策担当の大臣は2007年に誕生していますから、もう15年以上前から政府として少子化抑止の取り組みを続けているわけですが、少子化は止まっていません。
そりゃ、何かしらの成果は上げているかもしれません。少子化対策担当の大臣がいなければ、今よりもっと少子化が進んでいた、のかもしれません。しかし、結果として「少子化が止まっていない」のは事実。やはり政治家というのは、大臣や議員になってしまえば、あとはその高給と地位を守ることだけにすべてをつぎ込み、政治そのものは二の次になってしまうという、世間もっぱらの評判は真実だったのでしょうか。だから、少子化も止まらないのでしょうか。
少子化が止まり、若い人が増えれば労働人口が増えるということで、トラックドライバーという職業に関心を持つ層の幅も広がるはずなのですが。

「先生、ひとつお願いします」

8. M&A

M&Aとは、企業の合併買収のことです。事業継承でよく使われる手段でもあります。つまり、後継者がいなくて困っている企業が、大企業と合併することで事業を継続していくという、近ごろよく聞くアレです。
物流・運送業界でのM&Aでは、トラックドライバーが少なくて困っている零細・中小企業が大企業と合併することで、そのグループ全体での採用活動で人材を確保できるようになります。グループ内企業との連携で共同配送も可能になるかもしれません。

大企業

9. 地道な努力

もしかしたら、トラックドライバー不足を解消する、形勢逆転の特効薬はないかもしれません。
トラックドライバーの労働環境改善を進め、誰もが思わず働きたくなるような、トラックドライバーの仕事の魅力を地道にアピールし続けることも、やはり肝心です。

地道な積み重ね