せっかく就職するのだから、その職業に就くことでその後の人生を安定したものにしたいと、多くの人は考えます。
新しい業界に入り、2~3年して仕事を覚えたと思ったらまた別の業界に移り、イチから仕事を覚え始め、また移り、なんてことを繰り返したくありません。第一、20代、30代はまだそれができても、40代、50代にもなって迎え入れてくれる会社なんてないのでは、と考えてしまいます。
できれば、最初に入った会社で仕事を覚え、仕事に慣れ、黙っていても昇給していくような生活を送りたいものです。
もし、最初に入った会社の勤務が嫌になっても、同じ業界や、似たような業界の会社に移ったほうが、「イチから仕事を覚える」面倒がなくてタイパが良いと思えます。
そのためには、急に業績が悪化して昇給しなくなったり、リストラで退職者を募ったりすることのない業界で就職したいです。
すなわち、将来性がある業界です。そんな業界の会社なら、どんどん昇給していくでしょうから。
1. 自動運転システムの開発
自動車の自動運転システムの開発が進んでいます。車を人ではなく、AIが運転するというシステムです。トラックへの応用も試されています。
トラックに完璧な自動運転システムが搭載されれば、人間のトラックドライバーは不要になるわけです。そうなると、トラックドライバーは全員失業です。
すなわち、トラックドライバーに将来性は皆無ということになります。
とは言え、道路の走行では安全運転の確保が最も重要な課題となります。機能的にも法的にもこれをクリアできるのは、まだ相当先になるでしょう。
また、それをクリアでき、トラックドライバーが完全に不要になるころには、トラックドライバー以外のほとんどの職業で「人間は不要」になっているかもしれません。
そもそも「地球に人間は不要」と言われたりするかもしれません。
2. 少子高齢化
政治家の失策もあって日本の少子高齢化が止まりません。
トラックドライバーも少子高齢化が進んでいます。すなわち、若いなり手が激減し、その人手不足を補うために定年後再雇用、定年延長を取り入れ、60代、70代のトラックドライバーが増えています。
政治家が日本の少子化対策やトラックドライバーの労働環境の改善に効果的な手を打たない限り、この傾向はまだまだ続くでしょう。
トラックドライバーが高齢者ばかりになると、体力も衰え、長時間勤務は無理になります。長時間勤務ゆえの事故も多発するかもしれません。
自動車メーカーが頑張ってトラックの安全機能を充実させてくれることを願ってやみません。
3. 労働環境改善の遅れ
物流・運送業界は歴史が古く、そのため、多くの古い慣習がそのまま残っていたりします。
その結果、労働環境も昔のままで、いわゆる「働きやすい職場環境」の実現がなかなか進みません。
とは言え、「働きやすい職場環境」の実現は、結局は多くの業界でそんなに進んでいないようにも見えます。
どうなんでしょう?
4. 物価上昇
日本は政治家の失策のせいで、上昇する物価に見合ったようには給料が上がりません。結果、政治家以外の多くの人たちが「貧困」を実感したりしています。
こうなると、トラックドライバーに限ったことではなく、多くの人が多くの職業に対して将来性を感じることができなくなります。
中でもトラックドライバーは以前、物流・運送業界への参入の規制が緩和され、過当競争が激化したおかげでトラックドライバーの人件費が削られ、「給料が仕事に見合っていない」と言われるようになりました。
そして今の給料の低迷と物価上昇です。
誰かがトラックドライバーのなり手を減らそうと画策しているのじゃないかと疑いたくもなります。
トラックドライバーの給料が仕事に見合ったものになるよう、日本全体で給料が上昇し、物価高が抑えられるよう願わずにいられません。
5. ネットショップの普及
近年のネットショップの普及には目覚ましいものがあります。驚くほどいろいろなものが、画面上でポチッとやるだけで、早ければ翌日には手元に届いています。中には「送料無料」なんて書かれているものもあって「ウソお~」と、ため息をもらしてしまいます。そのショップの経営者や従業員がボランティアみたいなサービスとして運送をやっているなら別ですが、どう考えても送料無料なんて不可能じゃないですか。
とにかくそんなわけで、トラックドライバーの仕事量が激増です。個人が買った商品にしろ、工場で製造された製品にしろ、荷を運ぶのはトラックです。飛行機や船舶、鉄道で運ぶこともありますが、空港や港、駅まで荷を運ぶのはトラックですから。
トラックが不要になる輸送手段が開発されない限り、トラック輸送は増えることはあっても減ることはないのかもしれません。
6. 意識改革
トラックドライバーの業界では給料が停滞し、人手が不足し、高齢化が進み、仕事が増え、古い慣習がはびこっていると言えます。
中には給料が劇的に上がり、若いなり手が増え続け、ほどよい量の仕事があり、誰もが働きやすい職場環境が整備されている会社もあるかもしれませんが、そんな会社ばかりではないでしょう。
この状況を打開するには、状況を打開できる人たちの大いなる意識改革が必要になります。真剣に状況を打開しなければいけないという本気の覚悟です。
7. 効率化の促進
古い業界にはびこる古い慣習は、業界の効率化を阻みます。効率化が進まないと、業界はいつまでも同じ状態を維持します。
トラックドライバーの業界では給料が停滞し、人手が不足し、高齢化が進み、仕事が増えて過酷な職場環境が続くわけです。
トラックドライバーの業界では、古い慣習によって、例えばアナログな作業が残っていることもあるようです。デジタル化できるところはデジタル化を進めないと、いつまでも非効率的な作業が残り、業界の生産性を向上することができないのではないでしょうか。
8. 外国人の雇用
日本の少子高齢化は深刻で、いろいろな業界で人手不足が進んでいます。
国も外国人技能実習制度や特定技能といった在留資格で、その場のしのぎの人手確保を行ってきましたが、それも制度の破綻を招くようになってきています。
そもそもトラックドライバーは外国人技能実習制度や特定技能に含まれていません。
トラックドライバーだけではなく、いろいろな業界で外国人に働いてもらわないと、日本人の生活は成り立たなくなっているのではないでしょうか。
9. 行政の政策
トラックドライバーの将来性は、もしかすると行政の政策にかかっているのかもしれません。
トラックドライバーの将来が明るくなるか、暗くなるか、どちらにしても覚悟して備える必要があるようです。
10. 願わくば
今見えている物流・運送業界の将来には、明るい面も暗い面も、どちらの可能性もあります。
願わくば、人間が正しい選択をし、明るい将来に舵を切るよう願わずにはいられません。
最後に
将来を予想することはできます。しかし、思い描く将来像が確定するには、人の決断や覚悟が必要です。トラックドライバーの将来性は行政の政策にかかっているかもしれませんが、行政の政策を左右するのは個人個人の行動です。
「トラックドライバーに将来性はないのか?」と問われれば、「トラックドライバーには明るい将来も暗い将来もあり得るが、それは我々次第」と答えることができます。
もし、個人個人が実力、努力、発想力、運などを尽くして行動すれば、明るい将来を実現できるかもしれません。