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トラックドライバーが恐怖すること

「怖い!」

その日、あるトラックドライバーがいつものように深夜勤務に出ていました。
その時間帯のその道には慣れていたはずですが、なぜかその日に限って腹の底に鉛が沈むような、嫌なものを感じていたそうです。
それでも何とかトラックを走らせていた、そのときです。目の前に急に人影が現れたので、びっくりして反射的にブレーキを踏みました。トラックは停まったものの、確実にその人影にぶつけた距離感でした。
「ひいたかも!」と冷や汗がどっとあふれ、トラックを降りて周囲を見回しましたが、何もありません。何だか安心して運転席に戻ったトラックドライバーは、しかし、またまた冷や汗があふれ出したのです。
トラックドライバーの視線の先、フロントガラスには、手の跡のような汚れがうっすらと付いていた、かどうかは皆さんの想像にお任せします。


1. おあられる

トラックは普通自動車より大きいので「あおられにくい」と思いがちですが、自動車をあおったりする自転車がいる世の中なので、結構多くのトラックドライバーが「あおられた」経験を持つようです。
あおられる行為を恐れるのは「ぶつかったらどうしよう」という心理によります。トラックの場合、「ぶつけられたら荷を破損するかも」とか「ぶつけられたら遅刻するかも」とか、いろいろ考えます。もちろん、間違えばいくら大きなトラックでも、大きな被害を受けるかもしれません。
ただ、その一方で「大きなトラックにあおられた」という経験をした人も結構います。
運転するのがトラックだろうが普通自動車だろうが、または自転車に乗っていようが、とにかく冷静でいることが重要です。あおると、そのときはスッキリ感じるように勘違いしてしまうかもしれませんが、残りの人生に大きな後悔を残す可能性がかなり高いということを忘れずに。

クールに

2. ブレーキが利かない

映画やドラマでよく、突然ブレーキが利かなくなって焦る、なんてシーンがあります。アクション映画かサスペンスドラマで見掛けます。
実際にあんなことになったら、トラックドライバーではなくても怖いです。もちろん、この場合、悪の組織の手下や事件の真犯人の工作によってブレーキが利かなくなるわけではなく、ブレーキの不具合が原因になります。
また、坂道を下るときなどにブレーキペダルを踏み過ぎると、ブレーキが利かなくなるときがあります。坂道を下るときなどはエンジンブレーキを活用するなどして、これを防ぐこともできます。
このときもとにかく、冷静に行動することが大事です。

ブレーキは大事

3. トラックの陰から子どもが現れる

トラックは車体が大きいので死角が多くなっています。
ですから、運転席に座る前にもくどいくらいに周囲の確認が必要です。犬や猫などがトラックの下に入り込んでいないか、近くに子どもがいないかなど、よく注意しましょう。
しっかり確認して運転席に座った後も、ミラーも活用して念入りに周囲を確認する必要があります。バックモニターが付いていれば、それも使って確認です。
そうして確認したはずなのに、もしくはうっかり確認しなかったため、まさにトラックを走らせようとした瞬間、トラックの後ろから子どもが出てきたりする、なんてことも起こり得ます。恐怖のあまり運転席で叫び声を上げてしまうかもしれません。

物陰から子ども

4. 荷台の扉を閉め忘れる

高速道路を走っていて、後ろから来た同業者が何やらパッシングを繰り返してきました。何かを知らせたがっているようです。
幸い、すぐにサービスエリアがあったので、駐車場に停めると、その同業者のトラックも付いてきました。横に並んだそのトラックドライバーのひと言は、恐怖に震え上がらせるには十分でした。その言葉とは「後ろの扉、開いていたよ」というものです。
つまり、荷を積んだあと、扉をしっかり閉めるのを忘れ、「閉めたつもり」でトラックを走らせていたら、走っているうちに扉がブラブラ状態になっていたわけです。
何かの拍子で扉がどこかにぶつかったり、または中の荷がこぼれ落ちたりしたら一大事です。

扉はしっかり閉めよう

5. 踏切を渡り切る前にエンジンが止まる

これもトラックドライバーに限った話ではありませんが、鉄道の踏切を渡り切る前にエンジンが止まり、踏切内に立ち往生しているところに「カンカン」と音が鳴り出し、遮断機が閉まったりしたら、もう青ざめるしかありません。
とにかく、冷静になり、踏切には必ずある、踏切内の非常事態を列車に知らせる装置を探しましょう。

踏切は注意して渡ろう

6. 前方の車の急停止

目の前を走っていた車がいきなり急ブレーキを踏むと、血液が逆流したかと思ってしまうほど驚きます。この場合、肝をつぶすと言うより、肝を冷やすと言ったほうが良いでしょう。
驚かされたからといって、ここでカッカしてはいけません。あくまでも冷静に。
また、もし車間距離がせまかったら、こちらも慌てて急ブレーキを踏むことになります。その場合、荷崩れを起こす危険が出てきます。もしかしたら、ブレーキが間に合わなくて前の車にぶつけてしまうかもしれません。
そうならないため、あらかじめ車間距離は十分取っておきましょう。

車間距離は十分に

7. 運転中に意識不明になる

運転中に意識不明に陥ると、交通事故を起こしかねません。これはかなり怖いです。
もし寝不足のまま運転していたら、睡魔に襲われ、しかもこいつに負けてしまうと意識が飛びます。恐ろしいです。睡眠は十分に取って運転しましょう。または、もし運転中に睡魔に襲われたらトラックを停め、仮眠を取りましょう。
トラックドライバーのような職業ドライバーは、運転席で同じ姿勢でいる時間が長いので、血行不良になって脳疾患になりやすいとも言われています。突然、脳梗塞などを起こして意識不明になるのもものすごく怖いです。日ごろから栄養バランスの取れた食事、適度な運動、規則正しい生活を心掛け、健康管理に努めましょう。

急なめまいにも気をつけて

8. 寝落ちする

運転中、睡魔に負けて意識が飛ぶのはとても怖いですが、駐車場で休憩していて、知らない間に寝落ちするのも、ちょっとビクッとします。
もちろん、停車中に寝てしまっても実害はないでしょう。ただ、寝落ちした次の瞬間に起きると、「運転席で眠ってしまったのか」ということで勝手に「運転中」と勘違いしてビクッとしてしまったりします。

寝落ち

9. 雨降る夜に無灯火の自転車を見る

トラックドライバーにとって何よりも怖い存在が自転車です。
自転車は車道も走りますし、小さいので運転席が高い位置にあるトラックドライバーから見えにくく、しかも体をむき出してにして無防備な上、車輪が細いからかドライバーから見るとえらく不安定に走行しているので、とても怖いです。
これに雨が降っていると、道路が滑りやすくなり、視界も悪くなります。さらに夜であればなおさら周囲の確認が難しくなり、さらに自転車が無灯火だと、発見もしにくくなります。そんな自転車が近づいてきたら、全身の毛が逆立つほどに怖いでしょうね。

夜の自転車

10. 恐怖を予告される

その日、あるトラックドライバーがいつものように深夜勤務に出ていました。
目の前に急に人影が現れたのでトラックを停め、確認したが何もありませんでした。安心して運転席に戻ったトラックドライバーですが、フロントガラスに手の跡のような汚れがうっすらと付いているのを見つけ、息をのみます。
しかし、よく見ると、その手の跡のような汚れは、フロントガラスの外に張り付いていたゴミでした。さらに目を凝らすと、それが破れた新聞紙だったと分かります。
運転席の窓を開け、手を伸ばしてその新聞紙をはがし、何気なく、新聞に目をやると、書かれていた記事が、トラックドライバーを恐怖の底に叩き落しました。
そこに書かれたいたのは、ちょうどこの日のこの時間、一台のトラックが道を踏み外し、崖から転落したという記事だった、かどうかは皆さんの想像にお任せします。

恐怖の底