トラック運転手に限らず、ハンドルを握る人には常に冷静さが求められます。
どんなときも、怒りや不安、ナマケ心などに惑わされず、感情に流されず、冷静な判断の下で車を運転してほしいと願います。冷静さを失うと事故を起こしかねません。
その一方で、車の運転はその「事故を起こしてはいけない」というプレッシャーからストレスが重くのしかかる行為でもあります。ストレスの重圧からイライラしてしまい、冷静な思考を失ってしまっては元も子もありません。
イライラしている人間の緊張の糸がプチン!と切れて無謀な運転をしてしまうきっかけが、ムカッとくることです。イライラしているときに、何かの拍子でムカッときてしまうと、交通事故を起こす可能性が恐ろしく上がります。注意しましょう。
トラック運転手だってムカつくときはあります。
人がイライラしたり、ムカつくのは、自分の意に沿わないことが目の前で起こったり、自分の身に降りかかるからです。しかし、それはそれ、運転は運転ってことで気持ちを切り替え、あくまでも安全運転を心掛け、どれだけイライラしてムカついても、冷静にハンドルを握れるようになりたいものです。
また、トラック運転手をムカつかせるような原因をつくっているかも、という心当たりがあれば、自分の運転を見直してみてください。トラック運転手のイライラが収まり、日本がもっと平和になるかもしれません。
1. 前の車がモタモタしているとき
トラック運転手はとにかく時間に追われています。1分1秒が惜しいのです。
そのため、交差点で右折する車が道を空けてくれず、なかなか直進できないと思わずムカッとします。ほんの少し、交差点の中央に寄ってくれれば、すんなり進めるのに!と怒りがこみ上げます。それだけ時間の余裕がないのが、トラック運転手の仕事なのです。
前の車がウィンカー出すと同時にブレーキを踏んだり、ウィンカーも出さずにブレーキ踏むのもマジ勘弁です。荷を積んだトラックは急には止まれないので、無茶苦茶ヒヤッとします。
2. 休憩したい場所で駐車スペースがないとき
トラック運転手はとにかく時間に追われています。
ほんの数分の差で、納品先や休憩場所に他のトラックが先に着いてしまい、駐車スペースを取られたり、納品先で待たされるはめになることもあるからです。
3. トラックの前に車が割り込んできたとき
トラックは普通の車より重く、荷を積んでいるとさらに重くなります。そのため、ブレーキを踏んでからの制動距離も長いのです。
また、急ブレーキなどの急な動作は、荷崩れを起こす原因にもなります。
それでトラック運転手は、前の車との車間距離を思い切りたっぷり取ります。前の車が急にブレーキを踏んでも、できるだけ対応できるようにです。
そういう理由で車間距離を空けているのに、そこに他の車が割り込んでくると、そりゃムカッともイラっともカチンともきます。他の車の割り込みで、荷に損傷があった場合、その車の運転手が弁償してくれるとでも言うのでしょうか?
トラックの前に無理矢理割り込むなら「荷の損傷は俺が弁償する!」くらいの気持ちが必要です。それにしても危険なので止めましょう。
4. あおられたとき
あおられたらトラック運転手ではなくてもイラっとします。ムカッとします。
トラックは普通自動車より大きいので、トラックであおられると恐怖心も倍増しますが、そんなトラックもあおられることがあります。
あおり運転をやらかして捕まった人はよく「あっちの車が先にあおったからあおり返しただけだ」だなんて言い訳をしますが、もちろんあおあられたからあおり返していいわけはなく、そこは「お互い様」という気持ちが大切です。
ですから、トラック運転手も前の車がモタモタしていたからと言って、他の車が前に割り込んできたからと言って、あおっていいわけではありませんからね。
5. 無謀運転のバイクが近づいたとき
トラックは普通自動車より大きいので、周囲から見ると圧迫感があります。しかし、そんな大きなトラックを運転するトラック運転手は、実はバイクや自転車をとても恐れています。
バイクや自転車は安定性が低く見え、しかも小回りが利くので、予想外の動きをしそうで怖いのです。
怖いと言ってもトラック運転手自身が死の危険を感じるわけではありません。バイクや自転車の急な動きに対して急なハンドル操作、急ブレーキをやってしまい、荷を傷めたり、事故を起こすことを恐れるのです。
または、自転車がふらふらとトラックのほうに倒れてきて、はねてしまうのではないかという恐怖もあります。
それにバイクや自転車は、渋滞のときなどに車と車の間や、車と歩道の間をすり抜けて行くこともあります。このときは無茶苦茶ヒヤッとするので、かなりムカッときます。
6. ネットでトラック運転手に対する悪口を見たとき
ネットでトラック運転手について検索すると、トラック運転手に対する悪口を見つけることがあります。
一部の乱暴なトラック運転手への悪口や、トラック運転手側の事情を知らないがゆえの悪口が多いです。
いずれにしても、むやみやたらとトラック運転手全体のイメージを一方的に決めつけ、おとしめるような悪口です。
乱暴なトラック運転手も全くいないとは言いませんが、ほとんどのトラック運転手はおだやかでていねいです。性格も真面目な人が多いものです。
とにかく、1部だけを見て全体を決めつけたり、表面だけで誰かを悪く言うのは止めましょう。「それが世の中というものだから仕方ない」なんて、あきらめてはいけません。
7. トラックによる事故
トラックによる物流は経済、人々の生活を支えるものです。それだけに毎日、かなり多くのトラックが走っています。
それだけ走っているので、どうしても交通事故の確率も高くなります。トラックによる交通事故のニュースは目立ちます。
中には、トラック運転手には何の落ち度もない、巻き込まれ事故もあります。
中には、明らかにトラック運転手の不注意による事故もあります。
そうしたトラック運転手の不注意による事故は、トラック運転手のイメージをまたたく間におとしめてしまいます。真面目に無事故無違反でトラック運転手の仕事を続けているトラック運転手は、そんな不注意による事故を起こしたトラック運転手に対して、大きな失望とともに怒りを覚えたりもします。
8. コロナ禍で
2020年はいろいろな業界で不測の事態が起こりました。苦しい状況に追いやられた業界、企業、人々も多くいます。
そんな中、仕事が激減したトラック会社もありますが、多くのトラック運転手は必要な物資、商品、製品を運び続けています。それがトラック運転手だからです。
そのトラック運転手が、県を越えて行き来しているからと言って「コロナを運ぶな」などの暴言を浴びせたり、トラック運転手の家族にまで差別的な行為を行うことがありました。嘆かわしいことです。
多くのトラック運転手が怒る前に悲しくなったことでしょう。
それでも仕事を続けてくれたトラック運転手に対して、感謝しなければいけませんよね。
9. 荷主に
荷主は、いわばトラック運転手の会社いとって「お得意様」です。日本では「お客様は神様」などという間違った思想がはびこり、仕事先の会社に無茶を言う「お得意様」がいます。そりゃ、トラック運転手ではなくてもイラっとし、ムカッとし、ブチ切れたくもなります。
とは言え、ここのところトラック運転手の人手不足による諸問題を何とかするため「ホワイト物流推進運動」が進められ、荷主の無茶ブリを抑えようという試みも始まっています。期待しましょう。