タイパは大切です。
仕事、特に会社勤務は、アナログからデジタルに大きく変容を遂げた現代社会においても、先輩たちが長年積み上げてきた古い慣習がまかり通り、とにかくタイパが悪いのです。
新入社員の歓迎会だの新年会、忘年会、打ち上げなどがその典型です。一緒に飲んでも楽しくない人たちと同じ空間で時間を過ごすなんて、時間の無駄以外の何ものでもありません。「仕事」という、好きでもないことに時間を費やす職場には、1秒も長くいたくないのに、その職場の人たちと仕事が終わってまで付き合わなければいけないなんて、無駄を通り過ぎて拷問のようなものです。早く帰宅して自分の楽しみに時間を使いたいのです。
トラックドライバーは職業としての歴史も古く、まさに悪しき慣習がさまざまに残っています。とてもタイパが良さそうな仕事には見えませんが、どうなのでしょう。
1. 荷待ちは最悪
トラックドライバーの仕事の中でも、非効率の典型が「荷待ち」かもしれません。
「荷待ち」というのは、トラックドライバーが荷を運び、その届け先に着いたのにも関わらず、荷を下ろしたり積んだりしている前のトラックの作業が終わるのをただボーッと待っていることです。
他に何の作業もせずに待っているだけなんて、これ以上に非効率なことはありません。トラックを駐車スペースにでも停めて、順番が回ってくるまでどこかに遊びにでも行ければまだマシかもしれませんが、トラックを離れてはいけないのですから最悪です。
2. 荷の積み下ろしは無駄
そもそも荷の積み下ろしに時間を掛けすぎではないでしょうか。
荷の積み下ろしをしている間、トラックは停まっているのですから無駄です。
とにかくトラックが着いたら、そこの担当者が素早く荷を下ろし始めれば良いわけです。1人でやるのではなく複数でやれば短時間で終わるじゃないですか。
もちろん、荷はあらかじめまとめてパレットに乗せておきましょう。数台のフォークリフトなどで順番に降ろしていけば、あっと言う間に終わる気がしてなりません。
3. 赤信号は邪魔
荷の積み下ろし場所だけではなく、道路上でもトラックドライバーは無駄を強いられます。
何と言っても信号が邪魔です。信号で止められなければ、もっと短時間で届け先に着きます。多分「トラックドライバーは長時間勤務」なんて言われなくて済みます。
もちろん信号は、交通安全のために重要です。ですが、トラックドライバーのためにトラックだけが通行する専用道路を造ってしまえば、信号もいらないのではないでしょうか。
交差点は一切なしです。
もちろん、一方通行です。
復路は復路用の専門道路を造ります。
4. 渋滞はストレス
道路での通行を最も非効率にしているのが渋滞です。イライラもするので、健康にも良くありません。
渋滞をなくすためにも、やはりトラック専用道路が必要です。
5. 遠回りは笑止千万
トラックドライバーの仕事にもいろいろな種類があります。毎日同じルートを走るルート配送の仕事もありますし、毎日違う道を走る仕事もあります。
中には、見知らぬ土地、地理に詳しくない土地に行く仕事もあります。そんなときも、前もってルートを念入りに確認するのがトラックドライバーです。トラックを運転しながら目的地を探すのはタイパが悪いですし、迷ったりしたら遠回りになって時間が余計にかかってしまいます。
これだけは改善策がありません。
6. 点呼は余計
一般の会社は事務所や生産現場が従業員の主な職場になることが多いです。コロナ禍でリモートワーク、自宅勤務を試す会社が多くありましたが、今はまた職場に皆が集まって仕事をするスタイルに戻ったところも多いようです。
一方、トラックドライバーの職場はトラックの運転席です。しかし、トラックは会社に駐車していますし、どこに何を運ぶかという作業の指示書を受け取るためにも会社に集まらなければいけません。
逆に言えば、トラックを停める場所さえ自宅近くにあれば、通勤する必要はないわけです。荷を積む場所や下ろす場所に直行、直帰で構わないはずです。作業の指示はパソコン、スマホで受け取るようにできますから。
ただ、それに加えてトラックドライバーは出勤して点呼を受けなければいけません。アルコールチェックや健康診断も受けます。
この点呼が自己申告でOKになれば、わざわざ出勤する無駄がなくなるのに、もったいない話です。それとも、スマホでアルコールチェックや健康診断できるシステムが開発されると良いのですが。
7. 休憩時間は不要
トラックドライバーは勤務中に休憩を取らなければいけないと法で決められています。考えてみれば、これって無駄です。
休憩時間は休憩しなければいけないので、トラックは1ミリも進みません。もし、この休憩がなければ仕事ももっと早く終わり、早く帰れるかもしれません。
しかし現実は、休憩時間と言えばトラックの運転席で昼寝をするか、スマホをいじるくらいです。それより早く帰って、自分の時間を自分なりに楽しんだほうが、どれだけ良いか分かりません。
8. 物流こそ諸悪の根源
トラックドライバーの仕事はいろいろタイパが悪いようです。
そもそも、時間をかけて荷を運ぶというトラックドライバーの仕事は、タイパを考えると無駄しかないようにも思えます。
例えば、5キロ離れた場所に荷を運ぶのも、10キロ離れた場所に運ぶのも、荷を運ぶという作業そのものに違いはありません。1メートル荷を運ぶ作業があったとしても「荷を運ぶ」という事実には何の違いもありません。
それなのに、10キロ荷を運ぶ場合は1メートル運ぶのに比べると、とてもたくさんの時間がかかるのです。その間、トラックドライバーはトラックを運転しているだけです。最初の1時間は運転だけど、次の1時間はパソコン操作、また次の1時間は誰かと打ち合わせといった変化はありません。
トラックの運転をひたすら何時間も続けるのです。1時間運転すれば、日本中どこへでも行けるようにはならないものでしょうか。
トラックで地道に1ミリずつ前進し、その積み重ねでようやく10キロ進むなんて、効率が悪すぎます。
9. つまり
そもそもトラックドライバーはタイパがとても悪い仕事のようです。
タイパは重要です。
ですから、タイパの悪いトラックドライバーの仕事は人手不足にもなっていて、このところ大急ぎで労働環境改善の取り組みが進められています。同時に効率化も進められているようですが、効果のほどはいかがなものなのでしょうか。
10. しかし
タイパは重要です。
「仕事」という、好きでもないことに時間を費やす職場には、1秒も長くいたくはありません。
好きでもない仕事?
「仕事」が、好きな場合はどうでしょう? 何時間でも楽しめるかもしれません。休憩時間に、好きなトラックの運転席でボーッと過ごすのも全く苦にならないかもしれません。
赤信号や渋滞などの課題を乗り越え、迅速に荷を運び終える技量が身に付くと、何だかうれしくなったりする可能性も捨てきれません。
経験を積み、技能を高め、非効率にしかできなかった作業を効率的にできるようになれば、自分の成長を実感できて、思わず1人でほほ笑んでしまうのではないでしょうか。
それとも、そんなことは単なる世迷言なのでしょうか。
最後に
伝票や勤務の報告書など、デジタル化できるところは自分から会社に働きかけてデジタル化しましょう。仕事が早く終わり、早く帰れるようになるかも、です。