タクシー運転手が、乗せたお客の挙動がおかしかったことで警察に通報し、そのお客が実はオレオレ詐欺グループの1人だったと判明し、犯行を防止できた、なんてニュースがありました。
日ごろから社会貢献度の高い仕事をしているのに「底辺職」「他の仕事をできなかった者が仕方なく就く仕事」などとディスられることの多いのがタクシー運転手です。
トラック運転手も同様です。
一般論として、世の中には確かにタチの良くない人はいます。他人を故意に傷つけて優越感に浸るような人間です。普段は穏やかな人柄に見えても、ストレスがたまっているのか、何かあるとキレて乱暴者に激変してしまう人もいます。
ですが、それがすべて「底辺職」などとディスられるタクシー運転手、トラック運転手だというわけではありません。有名大学を卒業し、誰もがうらやむ大企業に就職して海外出張なんかもしちゃう“ビジネスマン”にだって、驚くほど破廉恥な人はいます。ほら、あなたの後ろにも…。
実際はほとんどのタクシー運転手、トラック運転手が地道に、真面目にルールやマナーを守って仕事しています。特にトラック運転手がイメージ通りの「荒くれ者」ばかりだったら、今ごろ日本の物流はマヒして経済は大混乱です。あなたが通販で注文した北海道名産の松前漬けだって届きゃしませんがな。
もちろん、トラック運転手の中にもマナーを守らない、プロドライバーとは呼べない最悪な人もいます。しかし、それは一部のトラック運転手です。ただ、人は「一部で全体を判断してしまう」哀しい生き物なんですね。
すべての政治家はワイロを受け取り放題ですし、すべての教師は暴力振るうかセクハラしているし、すべての芸能人がヤクをやっているか不倫していると、すべての人が信じているわけです。
閑話休題。トラック運転手の実態はイメージとは違います。今回は、トラック運転手ってのはこんなに紳士なんだと分かるエピソードを紹介します。「一部で全体を判断しちゃいけない」「人は見かけによらない」「仏の顔も三度まで」なのです。
1. エンストのバイクを救った
ネットで見たのですが、高速道路でエンストしたのか、立ち往生していたバイクを、後続のトラックが助けていました。バイクとトラックがいたのは結構真ん中の車線だったのですが、トラックがゆっくり右に車線変更していき、バイクを安全な路肩に移動させていたんです。カッコ良かったです。 (30代 女性)
2. 女性ドライバーの男前な運転
思い切りの良いハンドル操作と思い切りの良い加速で、ぐんぐんトラックを走らせる運転手と遭遇。かと言って決して急ハンドル、急ブレーキ、急発進ではなく、他の車に譲るところはちゃんと譲ってあげる男前な運転だった。車が並んだときにふと見上げてみたら、運転していたのは女性。惚れた。 (50代 男性)
3. 通勤にママチャリで来る大型の運転手
ある運送会社に勤めて5年ほどのトラック運転手です。30代ですけど、僕が一番の若手です。先輩たちは皆ベテランドライバーで、そろってマッチョです。なかなかゴツイです。そんな皆さんが大型トラックを運転するのだから、そりゃ世間が「トラック運転手は荒くれ者に違いない」と思ってしまうのも「仕方ないかなあ」と思ってしまいます。
しかし、そんなゴツイ男たちですが、通勤にママチャリとかスクーターを使っている人が多くて、何か可愛らしいです。 (30代 男性)
4. いかつい見た目とのギャップに萌え
交差点で信号待ちしていたときのことです。向かいの道には左折してきたトラックが停まっていて、その前の横断歩道を高齢な女性が歩いていました。足が悪いのか、かなりゆっくり歩いていたので、トラックの運転手は相当イライラしているんじゃないかと思っていました。
すると、渡り終わる前にその女性は転んでしまいました。それを見たトラックの運転手は運転席から飛び出してきて、その女性を助け起こし、歩道まで運んでいました。見ると、坊主頭で筋骨隆々そうな、いかにもいかつい感じの運転手。でも、飛び切りの優しい笑顔で女性を助けていました。 (20代 女性)
5. 運転が慎重
私の旦那はトラック運転手です。結婚当初は広告代理店で営業をしていたのですが、ストレスから体を壊し、回復してトラック運転手の仕事に就きました。
トラック運転手になってしばらくすると、マイカーの運転が変わってきました。以前は結構乱暴なところもある運転だったのですが、急ブレーキ、急発進などはせず、アイドリングストップを心掛け、助手席に座っていても以前より快適に感じるようになりました。
それを本人に伝えると、会社からエコドライブってのを教えられ、それを身に着けたから、運転が穏やかになったそうです。エコドライブは燃料消費を減らすので、環境に優しいだけじゃなく、家計にも優しい運転だと言ってました。ホレ直しそう。 (30代 女性)
6. 細い曲り道をこすらず通る
ウチの近くにかなり細い曲り道がある。軽自動車はあまり苦労しないで通るが、大きな車は何度も何度もハンドルを切ってようやく通っていく。トラックはなおさら手こずっている。
その曲り道を、ゆっくりではあるけど、すっきり通っていった大型トラックがあった。実にカッコ良かった。 (40代 男性)
7. ヒッチハイカーを乗せてくれる
学生のころ、関東から九州までヒッチハイクして行ったことがある。乗せてくれる車は、停まってくれないときはとことん停まってくれない。逆に、探し始めたとたんに停まってくれる車と出会えるときもある。
ただ、振り返ってみて停まってくれることが一番多かったのは、長距離のトラック運転手だった。トラック運転手は長時間、1人で運転するのが仕事なので、孤独だったからなのか、単に親切な人が多いからなのか。その中に「よく遠くまで来たのお」と感心してくれて、缶ジュースやらみかんやらくれた人もいた。何だか甘酸っぱい青春の思い出だ。 (40代 男性)
8. トレーラーの運転手は理屈なくカッコいい
トレーラーは車部分と荷台が分かれていて、門外漢にも「運転が難しそう」と分かります。バックすると連結部分が折れてしまうので、慎重にも慎重を重ねてハンドルを操作しなければいけません。
そんなトレーラーで、バックしながらカーブを曲がるところを目撃したことがあります。ゆっくりではありましたが、一発で決めていました。神ワザだと思いました。 (30代 男性)
9. 真夏の宅配便ドライバー
真夏に汗びっしょりになって荷物を届けてくれる宅配便のドライバーは偉いと思います。汗びっしょりなのに、荷物を受け取ろうとドアを開けると、苦虫を噛みつぶしたような顔ではなく、さわやかな笑顔を見せてくれると、キュンとなります。
トラック運転手は体力仕事だと聞きますが、本当に大変そうです。思わず「ごくろうさま」と言って冷たいウーロン茶の缶を渡しました。 (40代 女性)
10. 悪口を言わない
「底辺職」だなんだと、トラック運転手は世間から悪く言われることがある。
しかし、トラック運転手は愚痴を言うことはあっても、他の職業のことを「底辺職」だとか「クズ」だとか悪く言ったりはしない。 (50代 男性)