トラックマン

トラック専門サイト

トラックドライバーが雨を嫌いな理由

f:id:truck_sa:20200529125222j:plain
恵みの雨

「恵みの雨」なんて言葉もありますから、雨は生命にとって欠かすことのできないものですが、たくさん降り過ぎると災害を起こしかねないので、何とも厄介です。
生命には必要でも、生活者としての感覚では、傘をささなきゃならないし、さしても濡れたりするし、雨の日はちょっと憂鬱に感じてしまいます。もちろん、雨の日が大好きという人もいるでしょうけど。

車を運転していると、ことさら雨を厄介に感じてしまいます。天気が良いと「今日はドライブにでも出掛けてみるか」なんて「でも」付きで考える人も多いでしょうから、逆に雨の日は「本当は車で出掛ける用事があったけど、今日は雨だからよしておこう」なんて考える人もいるかもしれません。
しかし、雨が降ろうがヤリが降ろうが、車を運転しなければならない職業ドライバーはそんなことを言ってはいられません。
そんな職業ドライバーの中で今回は特に、トラックドライバーが雨を嫌いな理由を書き出してみます。「そりゃそうだ」と思うような内容かもしれませんが、とにかくトラックドライバーは街中でも道路を走る数がとても多いので、こういったトラックドライバー側の事情も知っておくのもムダではないでしょう。
また、これらはトラックドライバーに限らず、ほとんどのドライバーが感じていることかもしれません。

1. 視界が悪くなる

普段は大気しかないはずのフロントガラスの前の空間に、雨粒があるのですから、道路状況などを見るにはとても邪魔です。
雨には特別に派手な色が着いているわけではなく、基本的に無色透明なのに、それが粒になって空から大量に落ちてくると、とても視界の邪魔になります。うっとおしいです。
雨粒がフロントガラスに付くと、これまた視界の邪魔です。この視界の邪魔となったフロントガラス上の雨粒を拭おうとワイパーを動かしますが、このワイパーがまたまた邪魔になるので、まさに「視界の邪魔の無限ループ」

f:id:truck_sa:20200622100732j:plain
雨の日は視界が悪くなる

2. 周囲が暗くなる

普通、日中は、うっそうと生い茂った樹木に囲まれた山奥でもなければ、明るく、周囲をとてもよく見渡すことができます。うっそうと生い茂った樹木に囲まれた山奥がなぜ明るくないかと言えば、うっそうと生い茂った樹木が日光を邪魔するからです。
雨の日は雨雲が出ています。ときには晴れているのに雨が降る「天気雨」なんてのもありますが、天気雨はたいていすぐやみます。
雨の日は空を雨雲が覆っていることが多く、当然、日光は遮断され、日中から薄暗くなります。雨雲が厚く、広いと結構暗くなります。
雨の日は周囲が暗くなる上に雨粒に視界を邪魔されるので、ドライバーも周囲を確認しにくくなります。本当に厄介です。

f:id:truck_sa:20200529125428j:plain
日光が遮られると暗い

3. ミラーに水滴がつく

雨粒が邪魔だったり、周囲が暗くなるので厄介だというのは、トラックドライバーに限らず、あらゆるドライバーが感じることです。
さらに厄介なのは、フロントガラスなどの窓ガラスだけではなく、ミラーにも雨粒が付いてしまうことです。ミラーは、ドライバーが直接の視認が難しい場所も見られるように設置されていますが、このミラーによる視認を雨粒が邪魔してしまうのです。
さらにトラックは普通自動車に比べて車体が大きく、死角も多いので、よりミラーでの視認が重要になっています。これを邪魔されるのでたまったものではありません。
ただ、今は水滴防止スプレーなどが市販されていますので、こうしたものでミラーや窓ガラスに付く雨粒を防ぐドライバーが増えています。

f:id:truck_sa:20200529130021j:plain
水滴

4. 滑りやすくなる

雨によって道路状況も変わっています。水分がタイヤと道路の摩擦を少なくするので、滑りやすくなるのです。なかなか危険です。
アスファルトの道路も通常より滑りやすくなりますし、マンホールの蓋や工事用の鉄板などはより滑りやすくなります。
この「滑りやすくなる」のをできるだけ抑えるには、タイヤをきちんと整備しておくことが必要です。タイヤが摩耗していると、晴れの日でも滑りやすくなりますから、雨の日はなおさらです。
もちろん、急ブレーキや急なハンドル操作などでもスリップを起こしやすくなるので気をつけましょう。

f:id:truck_sa:20200529130255j:plain
スリップ注意


5. 周囲も滑りやすくなる

雨の日に視界が悪くなったり、滑りやすくなるのは、周囲の車も皆同じです。
そのため、前方の車が急にスリップしたり、後方のバイクがこちらを確認できずに突っ込んでくる可能性もゼロではありません。
雨の日は、自分の車の運転にも十分注意しなければいけませんが、周囲への注意も怠ることができないのです。

f:id:truck_sa:20200529130642j:plain
やはりスリップには注意

6. 荷を濡らしかねない

トラックドライバーの仕事は荷を安全に運ぶことです。もちろん、濡らしてもいけません。
水分によって傷んだり、品質に変化が生じてしまうかもしれません。
場所によっては、荷を濡らさずに積んだり下ろしたりできますが、できないところもあります。そして、こうした荷積み荷下ろしをしなければならないトラックドライバーが多いので、雨はトラックドライバーにとってとても厄介なのです。
恐らく「トラックドライバー」と限定すると、雨を嫌う理由で一番重いのが、この「荷を濡らしかねない」ことでしょう。
荷を濡らしかねないので、運ぶときに荷の上に防水シートをかけたり、荷をラップなどで包んだり、いろいろな工夫をしなければいけません。

f:id:truck_sa:20200529134301j:plain
濡らしたくない

7. 水しぶきにも注意

雨が長時間降ったり、大量の雨が降ると、道路に水たまりができることがあります。車がこの水たまりを走ると、盛大な水しぶきが起こります。これも注意しなければいけません。
例えば、歩道の歩行者に水しぶきをかけてしまうと、後々クリーニング代を請求されることもあります。それだけではなく、トラックドライバー自身の会社の信用や、荷主の会社の信用を落とし、会社の評判を悪くしてしまうことにもなります。
歩行者ではなくても、周囲の車に水しぶきをかけてしまうのも、ひんしゅくを買ってしまいかねません。水しぶきが突然目の前に上がると、視界の邪魔になりますから。
もちろん、他の車が起こした水しぶきによって、自分の視界が邪魔される可能性もあります。
水しぶきを避けるには、水たまりを避ければいいのですが、これは容易にはできません。水しぶきは水たまりに入る車の勢いが強いほど大きく上がるので、急ブレーキにならない程度に、せめて水たまりが見えたらスピードを落とし、なるべく水しぶきを高く上げないようにしたいものです。

f:id:truck_sa:20200529140740j:plain
水しぶき


8. 制動距離が伸びる

雨が降ると道路が滑りやすくなります。
そのため、車のブレーキを踏んでから実際に停止するまでの距離、すなわち制動距離も伸びます。
車を走らせるときは、前方の車と十分に車間距離を保つことが安全運転では欠かせません。前方の車が急にブレーキを踏んだりしたときの衝突を避けるためです。
雨の日は、いつもよりさらに余計に車間距離をとっておかないと危険だというわけです。
制動距離が伸びるので、晴れの日なら前方の車が急ブレーキを踏んでからこちらがブレーキを踏んでも十分間に合う車間距離があっても、雨の日は衝突してしまう可能性が高くなるのです。

f:id:truck_sa:20191018122241j:plain
車間距離は十分に

9. 周囲からも見えにくくなる

雨の日に視界が悪くなったり、滑りやすくなるのは、周囲の車も皆同じです。
雨の日は、自分の車は周囲から見えにくくなっていると意識しなければいけません。
そのため、雨の日は昼間でもヘッドライトをつけるのが良いでしょう。

f:id:truck_sa:20200529133633j:plain
雨の日は視界が悪くなる

10. ドライバー側の事情を理解してくれないことが多い

雨の日はいろいろとドライバーに不利な条件が重なります。
他の車のドライバーは、自分も「見えにくい」とか「滑りやすい」と分かっているので、まだお互い様という気持ちになれるのですが、歩行者や自転車はなかなか車のドライバーの状況を分かりません。雨の日は歩道を歩くにしても、車からは見えにくくなっているということを意識して歩きましょう。
傘をさしている分、歩行者も周囲を視認しにくくなります。だからこそ、余計に気をつけなければいけません。
自転車も同様です。夜、無灯火で走る自転車がいますが、あれは道路交通法違反です。
今は街中なら夜もかなり明るく「見えるんだから自転車の灯りをつけなくても良い」自分勝手に判断してしまう人もいるかもしれませんが、自転車の灯りは周囲の車や歩行者が自転車の存在に気付くために重要なのです。
雨の日も、自転車もできればライトをつけましょう。

f:id:truck_sa:20200529134954j:plain
いろいろ厄介な雨

最後に

雨もいつかはやみます。

f:id:truck_sa:20200529134027j:plain
雨上がる