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2024年問題解決!トラックドライバーの労働制限対抗策

2024年

2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が月間45時間、年間960時間に制限されることで起こるいろいろな問題のことです。
時間外労働とは、1日8時間1週40時間という法定労働時間を超える労働時間のことです。
つまり、2024年4月からトラックドライバーは今までのような長時間労働をしてはいけない、というわけです。
何だか良さそうは話にも聞こえます。トラックドライバーと言えば「長時間労働で仕事がキツイ」という悪いイメージが付きものですが、長時間労働が制限されれば「キツイ仕事」じゃなくなるわけですから。
ところが、そう単純でもないようです。
トラックドライバーには長距離輸送の仕事があります。青森から大阪まで荷を運ぶとしたら、どうしても長時間かかります。それだけ運転しっ放しということはありませんが、その往復の時間は勤務時間なので、労働時間と見なされます。
2024年4月からは、長距離のトラックドライバーも従来通りの仕事のやり方ができなくなります。労働時間を短くしなければいけません。
そうすると、どんな問題が起こるでしょう。
トラックドライバーの給料は歩合制になっていることが多いので、労働時間が減れば、当然収入が減ります。ただでさえ物価高が調子づいている昨今、収入が減れば生活は苦しくなります。
運送会社も、長距離の仕事を多くは受けられなくなります。トラックドライバーは不足気味なので、長距離の仕事を多く受けつつ、1人のトラックドライバーの労働時間が長時間にならないようにするというのは難しいからです。
長距離の仕事を多く受けられなくなった運送会社は売り上げが減ります。
運送会社に荷を運んでもらおうとする荷主も困ります。運送会社が荷の輸送を受けてくれなければ、自社の商品を物流させることができなくなります。
同じ理屈で工場に部品が届かなければ、工場の生産はストップします。
こうして荷を発送できず、荷を受け取ることもできなくなれば、一般庶民も困ってしまいます。
これは大問題です。




1. デジタル化を導入

トラックドライバーが長時間働けなくなったわけですから、仕事の効率化を図るしかありません。生産性を上げるのです。
これまで長時間かかっていた作業を短時間で終わるようにします。同じ仕事をしても短時間で終われば、時間外労働も年間960時間を超えないでしょう。
まずは、これまで紙を使っていた伝票などもすべてデジタル化します。トラックドライバーの運行管理などもデジタル化して効率化します。
例えば、これまでトラックドライバーの勤務時間が長かった原因の1つに「荷待ち時間」がありました。荷を届け先に届けても、すぐに下ろすことができず、前に着いたトラックの荷下ろしなどが終わるまで待っていなきゃいけなかったのです。ただ待っているだけで勤務時間が長くなっていたなんて、考えなくてもムダです。
細かいムダを1つ1つなくしていけば、トラックドライバーの勤務時間も結構短くなるかもしれません。

デジタル

2. パレットを活用

作業の効率化の手段はデジタル化だけではありません。
トラックに荷を積んだり、下ろしたりする際、1つ1つ手作業で行うより、いくつかまとめてパレットに乗せ、そのままフォークリフトなどで積んだり下ろしたほうが効率的です。
もし、トラックドライバーが荷の積み下ろしをしなくてはいけないときでも、トラックドライバーの足腰への負担が減って一石二鳥です。

パレット

3. 中継輸送を導入

中継輸送とは、1つの行程を1人のトラックドライバーが輸送するのではなく、1つの行程を複数人のドライバーで分担する輸送方法です。集荷エリアと納品エリアの中間地点に中継拠点を置き、輸送を分担します。
1人のトラックドライバーの輸送距離が減るので、1人のトラックドライバーの勤務時間を短縮できます。
トラックドライバーの給料が減る問題は解決できないかもしれませんが、会社の売り上げを減らすことはなくなりそうです、が、会社ではより多くのトラックドライバーを雇用しなければならなくなり、その分、人件費がかかり、やはり会社としての利益も減る可能性が高いです。
困ったことです。

複数で分担

4. 他社との連携

中継輸送実現のネックとなるのが人材の確保です。
しかし、多くの国民、というか多くの政治家が薄々気付いてはいますが、問題として先送りしがちで、忘れたいとさえ思っている少子化によって日本の労働人口が減っている昨今、もちろんトラックドライバーも不足がちです。そんなわけで、運送会社としても気軽に中継輸送なんてできません。
そこで考えなければいけないのが他社との連携です。
つまり、1社で1行程を複数のドライバーに分担させようとすると、何人もトラックドライバーが必要になりますが、納品エリア周辺に拠点を持つ別会社のトラックドライバーと輸送を分担すれば、トラックドライバーを増やす必要がなくなるわけです。
もちろん、その場合は、その別会社と運送費を折半しなければいけません。その代わり、別会社が請け負う他の輸送も分担すれば、うまく売り上げを減らさずに済むでしょう。
また、従来は運ぶ荷が少ない場合、小さいトラックで対応していたかもしれませんが、今後は他社と連携し、大型トラックに複数の荷主の荷を積めば、人件費も燃料費も効率化できるはずです。

他社と連携

5. 労働環境の改善

会社としていくら作業の効率化を図っても、トラックドライバーが減っては1人のトラックドライバーの負担は増すばかりです。たとえトラックドライバーの数が減らなくても、今は物流量、すなわち仕事量がどんどん増加の傾向にありますから、トラックドライバーの長時間勤務もやむなしの状況に大きな変化はないかもしれません。
何だかんだ言って、遅かれ早かれトラックドライバーには増えてほしいものです。
そのためにも労働環境の改善が必要です。デジタル化などの効率化を進めるとともに、育児支援や有給休暇の整備、福利厚生の充実など労働環境の改善を図り、人材を確保して育成・定着を図っていかなければいけません。

育休

6. モーダルシフトを導入

モーダルシフトは、トラックによる輸送を船舶輸送鉄道輸送に切り替えることです。つまり、港や駅までトラックで運び、そこから荷の届け先近くの港や駅まで船、鉄道で運び、港や駅からまたトラックで運ぶわけです。
「他社との連携」と同じですが、連携するのは同業他社ではなく、船舶輸送の会社や鉄道会社です。
モーダルシフトはもともと、船や鉄道より二酸化炭素を多く排出するトラックの使用を減らすことで、二酸化炭素排出を削減することが大きな目的でもあるそうです。トラックドライバーの長時間労働を減らすと同時に、環境問題への対策にもなるわけです。

貨物船

7. 瞬間移動装置を発明

作業の効率化、中継輸送、モーダルシフトの導入ままならないなら、もう瞬間移動装置を発明するしかありません。大型のどこでもドアみたいなものです。トラックもトラックドライバーも必要ありませんし、荷の移動に関わる従業員の勤務時間も長時間にならずに済むはずです。
作業の効率化、中継輸送、モーダルシフトの導入ができないなら、頑張って発明してください。
ただ、人の瞬間移動は簡単に試してはいけません。装置にハエでもまぎれ込んでいたら大変なことになりますよ。

瞬間移動装置?

8. 消費者が我慢

2024年4月からトラックドライバーの長時間労働が不可能になります。運送会社や荷主が何も対策を講じないと、当日配送やら翌日配送といった便利なサービスも不可能になるでしょう。
消費者も我慢を覚えるしかありません。
それがイヤなら、いっそ自分がトラックドライバーになってしまいましょう。何かの足しにはなるかもしれません。

我慢

最後に

2024年4月はもうそこまで迫っています。上記のような対策は、すでに関係各所が講じているはずですが、さてさていかなるさまにあいなりますか。それは次回の講釈で。

これは公爵