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タクシードライバーの休日

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多くの人が「タクシードライバーは労働時間も長く、休日も少ない激務」といった間違った認識を持っているようです。よく考えればそんな過酷な労働環境を厚生労働省が放っておくはずもなく「間違った認識」だと分かりそうなものなんですが、どうもそんな「間違った認識」がいつの間にか広まったみたいです。
公園横の道路に停まったタクシーで、シートを倒して仮眠するタクシードライバーをよく見掛けます。日常でおを飲んだりごを食べたりするくらいの頻度で見るわけです。人はこれを日常茶飯事と呼びます。
また、この光景を見た人は「タクシードライバーってのはよく仕事をサボる人たちなんだなぁ」なんて思います。「仕事をサボる」んだから、タクシードライバーなんてロクなヤツじゃないし、頻繁にサボりたくなるのだから「タクシードライバーの仕事は激務に違いない」と思い込んでしまうわけですね。
しかし、メーカーだろうが商社だろうが、どんな会社でも労働者には「休憩時間」は「当然の権利」として存在しています。タクシードライバーが停車中のタクシー車内で仮眠しているのも、この「当然の権利」を行使しているにすぎません。
ただ、一般企業の労働者があまり休憩している姿を人目にさらさないのに対し、タクシードライバーが休憩している姿は人目につきやすいだけなのです。
そういったわけで、なかなか世間に正しく理解されていないのがタクシードライバーの実態です。
そこで今回は今さらながら「タクシードライバーのお休み」をご紹介します。「ふうん」と思って読んでみてね。


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勤務形態

まず基本的な前提として、タクシードライバーの勤務形態を知っておいてください。タクシードライバーの勤務は大きく分けて3タイプあります。
ちなみにタクシードライバーの給与は歩合制であることが多く、その場合、お客さんを乗せての乗車賃の5~6割がタクシードライバーの収入になります。時間給ではないのです。
まず「昼日勤」です。これは一般的なサラリーマンと同じで、朝から夕方まで働くスタイルです。ほぼ残業がない分、一般的なサラリーマンより気楽かもしれません。
ただ、昼間はバス、電車などの公共交通機関がフル稼働していて、タクシーを利用する人が少ないので、売り上げを上げることが難しくなっています。それでも「少しでも家計の足しに」と考える主婦などが、この勤務を選択することが多いようです。
それから「夜日勤」もあります。夕方から翌朝までの勤務です。終電を逃した人や、アルコールを飲んだ人など、深夜帯はタクシーを利用したい人が増えるので、タクシードライバーにとって稼ぎやすいっちゃー稼ぎやすい勤務です。
ただ、完全に昼夜逆転生活になるので、それがツライ人にとってはツライ勤務となります。若ければ慣れるのも早いかもしれませんが。
そして3つ目が「隔日勤務」。これはタクシードライバー独特の特殊な勤務形態で、これが世間的に「タクシードライバーの仕事は過酷」と見られている一因だと思われます。
「隔日勤務」早朝から翌日の朝まで、約21時間が勤務時間となります。そして、多くのタクシードライバーが選択しているのが、この「隔日勤務」です。
これらはいわゆる正社員としてのタクシードライバーの勤務で、タクシードライバーの働き方にはこの他、バイト・パート勤務があります。

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勤務もいろいろ

休日

昼日勤の場合
一般的なサラリーマンとほぼ同じで、月に22日~24日が勤務日となり、残りが休日です。
ただ、一般的なサラリーマンは土曜と日曜が休日となることが多いですが、タクシー会社は基本的に24時間営業で年中無休になっていて、タクシードライバーの勤務もシフト制です。休める曜日が土曜・日曜とは限りません。

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昼間に働く

夜日勤の場合
休日は昼日勤と同じです。月に22日~24日が勤務日となり、残りが休日です。平日が休みということもよくあることです。

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夜働く

隔日勤務の場合
早朝から翌朝まで約21時間勤務した後は丸1日休みになります。結構特殊な勤務形態です。この約21時間勤務を月に11~13回こなします。残りの約18日間は休日というわけです。1回の勤務時間は長いですが、月に大体18日間休めるので、一般的なサラリーマンよりもかなり多いと言えます。

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これは特殊部隊

休憩

昼日勤の場合
一般的なサラリーマンとほぼ同じで、勤務時間は約8時間ということが多く、その勤務時間内に1時間の休憩を取ることができます。

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ごく一般的なサラリーマンの休憩

夜日勤の場合
これまた昼日勤の時間帯が夜になっただけで、勤務時間約8時間と休憩1時間は同じです。

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これまたごくごく一般的なサラリーマンの休憩

隔日勤務の場合
約21時間の勤務時間内に3時間の休憩を取ることができます。3時間まとめて取るのも、1時間ずつ刻んで取るのも自由です。

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たっぷり休めそう

過ごし方

趣味
休日に趣味を楽しむのは、ごく一般的なことで、タクシードライバーもそんな風に休日を過ごします。そりゃそうです。
ただ、隔日勤務の場合は月に約18日間も休日があるので、一般的なサラリーマン以上に趣味に没頭できます。
とは言え、隔日勤務は特殊な勤務形態なので、タクシードライバーになりたての初心者には結構しんどく、最初のうちは休みはひたすら体を休めるという人も多いようです。しかし、慣れてくれば、休日は遊びたい放題です。

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趣味を満喫できる

健康管理
タクシードライバーのようなプロドライバーにとって何よりも大切なのは安全運転で、そのために健康管理は重要です。
休日も、次の勤務に支障が出ないよう、遊び過ぎず、疲れをためず、健康管理に努める人が多いです。スポーツジムなどに通っている人もいます。
また、勤務日の休憩時間も、隔日勤務の場合は3時間もありますから、自宅に戻ってゆったり体を休める人もいます。

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しっかり鍛えて健康管理

睡眠
勤務中、タクシードライバーにとっての大敵、睡魔に襲われないように、上手に睡眠を取ることはタクシードライバーにとっては最重要課題です。
隔日勤務の場合、休憩をはさむとは言え約21時間の勤務となるので、休日には勤務時に睡眠不足状態になっていないよう、しっかり眠っておくことが大事です。
また、そういったわけで、勤務日の休憩時間も仮眠を取るタクシードライバーが多いのです。そのまま車中で仮眠を取る人が多いのですが、地域によってはタクシードライバー用の休憩施設があるところもありますし、営業所に戻って休憩するドライバーもいます。

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仮眠も大切

最後に

タクシードライバーは「人の命を預かる」仕事なので、休日や休憩時間は法的にしっかり定められています。また、就職先を探すときも、それをしっかり遵守している会社を見つけたほうが良いでしょう。
このように法的に権利が守られているタクシードライバーの平均的な年収はおよそ300万円台だと言われています。一般的なサラリーマンよりは多少低いかもしれません。ただ、タクシードライバーの給与は歩合制であることが多く、中には年収800万円以上というタクシードライバーもいます。
うまく就職して工夫して働けば、なかなか他にはないほどの「おいしい仕事」と言って良いかもしれないような気がしてくる日も近そうです。

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やればやるほど稼げる