人は自由を求めがちです。
しかし、生活するために仕事をしなければなりません。ただ、せめて「自由度の高い仕事がいいな」と考えます。それで今は「雇われない働き方」が注目されたりしています。
政府が「雇われない働き方」を推奨しているフシもあります。
人は誰かに雇われると、どうしてもその雇った人間の指示通りに仕事をしなければいけなくなります。それでは「不自由」を感じてしまいます。「雇われない働き方」では、自分の仕事の進め方も含めて「買ってくれて」いて、成果を出しさえすれば比較的自由に仕事ができます。
ただ、「雇われない」とそれは個人事業主になり、税金や保険などで「雇われ人」であるサラリーマンより不利になってしまう可能性が高いです。
政府が「雇われない働き方」を推奨するのは、労働者ではなく経営者のためではないかという見方もあるので気をつけて!
さて、そんなわけで「雇われ」つつ「自由度の高い仕事」があれば、そりゃもう渡りに船って感じです。そして「雇われ」つつ「自由度の高い仕事」と言えば、その代表がトラック運転手です。
また、タクシードライバーも「自由度の高い仕事」と言われていく久しゅう、です。そこで今回はタクシードライバーが「自由度が高い」と言われるポイントを並べます。逆らい続け、あがき続けて「自由になりたかった~!」という人はご参考に。
ただ、勤務の条件などはタクシー会社によってそれぞれ違いもありますので、あしからず。
1. 勤務時間を選べる
タクシードライバーの勤務は大きく分けて3タイプあり、選ぶことができます。朝から夕方まで働く「昼日勤」、夕方から翌朝までの「夜日勤」、早朝から翌日の朝まで約21時間勤務し、翌1日丸々休む「隔日勤務」の3つです。
タクシードライバーというと「長時間勤務でキツイ」と思われがちですが、実は勤務時間を選択できる自由があるわけです。一律に9時から5時までの勤務を基本としているサラリーマンとは違います。
2. 基本的に1人で仕事
タクシードライバーになると、研修中は運転席の横に教官がいて、その指導を受けながら勤務したりするタクシー会社もあります。しかし、基本的にはタクシーの乗務員はドライバー1人です。お客さんを乗せるまでは、タクシー車内にはたった1人です。
車内には口酸っぱい上司も口さがない同僚もいません。ここは一般的なサラリーマンとは大きく異なります。
もちろん上司や同僚、それに部下がいなくても、しっかり仕事はしなければ収入が上がりません。それでも1人です。こりゃもう気分が違います。
3. どこにお客さんを探しに行くかは自分で決める
タクシードライバーには営業エリアが決められていて、基本的にそのエリア内でお客さんを探さなければいけません。しかし、エリア内であれば、ターミナル駅周辺を流そうと、繁華街を流そうと、それはドライバーの自由裁量なのです。
自分なりにたくさんお客さんを見つけられそうな場所を見つけ、そこを中心にタクシーを走らせ、思い通りに売り上げを伸ばしているタクシードライバーも多いです。タクシーの利用客は時間によって多く出没する場所が変わりますから、そういう情報をつかんでいるタクシードライバーは、時間帯によってタクシーを流す場所を変えて、さらに売り上げを伸ばしているようです。
4. 休日が多い
「隔日勤務」の場合、早朝から翌日の朝まで約21時間勤務し、翌1日丸々休み、毎月12日間くらいを勤務日、残り18日間くらいを休日としています。
週休2日のサラリーマンの休日は毎月8日間とか9日間くらいですから、「隔日勤務」のタクシードライバーはかなり多くの休日があることになります。
仕事中にいくら自由があっても、やはり真に自由を実感できるのは仕事を離れたオフのときです。一般的なサラリーマンにもオフの日はありますが、例えば飲食店など土日が休みではないサービス業を相手にした営業職などは、オフ日も関係なくクライアントから電話がかかってきたりしてオチオチ休日を満喫もできず、思わず携帯電話の発明を呪いたくなります。
タクシードライバーは身も心も休めるオフ日が18日間くらいあるのですから、十分趣味に費やす時間もあります。また、このオフ日に副業でさらに稼いでいるタクシードライバーもいるそうです。
5. 食事のタイミング
一般的なサラリーマンや工場勤務の人は、大体昼食時間は昼12時から1時までと決められています。しかし、基本的に団体行動ではないタクシードライバーは、食事時間も自分で決めることができます。
食べるタイミングだけではありません。食べる場所も、回転寿司でもラーメン店でも牛丼屋でも、選びたい放題です。弁当やサンドイッチを買って、コンビニの駐車場や公園の横にタクシーを停めて食事するドライバーもいます。
いえいえ、もちろん一般的なサラリーマンだって何を食べても自由です。しかし、外回りの営業職でもなければ、外食にしてもテイクアウトにしても、オフィスの近くで店を選ぶしかありません。毎日のことなので、そのうち飽きてくることもなくはないです。
タクシードライバーはその気になれば、いつもと違う場所で店を選ぶこともできます。
6. 休憩のタイミング
「隔日勤務」の場合、約21時間の勤務時間内に3時間の休憩を取ることができます。3時間まとめて取るのも、1時間ずつ刻んで取るのも自由です。いつ休憩するのかというタイミングも自由裁量で決められます。
休憩場所はコンビニの駐車場、公園横、または営業所の仮眠室などから選びます。自宅に戻って休憩するドライバーもいます。自宅だと、本当にしっかりリラックスして休めます。
7. やればやっただけ稼げる
タクシードライバーの給与は歩合制であることが多く、その場合、お客さんを乗せての乗車賃の5~6割がタクシードライバーの収入になります。頑張ってお客さんをたくさん乗せれば、それだけ給与がアップします。すべてはドライバー自身の頑張り次第です。
そのため、タクシードライバーは「いつ、どこに行けば多くのお客さんを乗せられるか」を研究し、情報を集め、仮説を立て、検証し、データを集めて効率的な稼ぎ方を見つけていきます。つまり、工夫するわけです。
工夫の仕方は上司から指示されるものではなく、自分で考え、決めます。効果が出なければ、また工夫し直します。それも強制ではありません。もちろん、ちゃんとした会社なら上司や同僚がアドバイスもしてくれます。
そして、あまり頑張らず、ほどほどに稼ぐというのもドライバー次第です。
8. 接客の仕方
タクシードライバーの仕事は、お客さんが乗るまでは基本的に1人ですが、お客さんが乗ってからは接客業として「いかにお客さんに快適に過ごしてもらうか」を考えなければいけません。
この接客法は、お客さんに快適に過ごしてもらいさえすればいいわけで、具体的にどうするかはドライバー次第です。
巧みな話術でお客さんを楽しませるタクシードライバーもいますが、多くのタクシー利用客は、なるべく静かに過ごしたいと思っているので、多くのタクシードライバーはむやみに話しかけたりせず、静かにタクシーを運転します。
ただ、中には音楽でもてなそうとしたり、おやつを用意してもてなそうとしたり、いわくありげなお客さんの様子を察して悩みを聞いたりするタクシードライバーもいるようです。
また、観光地では、普段から観光名所などについて勉強し、お客さんに観光に関する知識を披露して喜んでもらっているタクシードライバーもいます。
9. 個人タクシーはさらに自由
タクシー会社に勤めるタクシードライバーより、さらに自由度が高いのが個人タクシーのドライバーです。
個人タクシーのドライバーは会社勤めをしているわけではないので、月に何日、何時から何時まで働くか自分で自由に決められます。朝起きて「今日は気分が乗らない」からと、休日にすることもできます。
個人タクシーのドライバーはつまり個人事業主であり「雇われない働き方」の実践者です。売り上げはすべて自分のものにできますが、経費もすべて自分持ちです。
そして、個人タクシーのドライバーも決して孤独ではありません。個人タクシーの協会がつくられていて、貸付金共済事業があったり、交通事故時の支援、タクシーチケットの発行などを行っていて、ほとんどの個人タクシー経営者が加入しています。