地球温暖化の影響なのか、年々、起こる危険度が上がっているような気がする熱中症。最悪、命にも関わるので、大いに注意しなければいけません。
イメージとしては、鋼が溶けるような暑い日、太陽が降り注ぐ野外で長く過ごすとかかるように思いがちですが、家の中でかかってしまうから本当に油断できません。家の中でかかるということは、車内でもかかるということです。
トラックドライバーは真夏の暑い日でも、炎天下で長時間トラックを運転して仕事をします。もちろん、エアコンはかけるでしょうけど、やはり熱中症のリスクはあります。
そこで今回は、トラックドライバーの熱中症リスクとその対策をご紹介します。
1. 車内でもかかる
家の中にいても熱中症にかかるくらいなので、車内でももちろんリスクがあります。
エアコンをつけていれば、確かに快適ですが、トラックの運転席は広いフロントガラスから容赦なく日光が差し込むので、エアコンが切れれば、あっという間に車内温度が上がります。
近年はアイドリングストップが推奨されているので、トラックドライバーもエアコンをずっとかけっぱなしというわけにはいきません。
さらに、仕事によってはこまめに荷の積み下ろしを行うため、トラックから降りては乗ってを繰り返すこともあります。この場合、かなりの温度差を何度も体験するので、ドライバーの体に負荷がかかることもあります。
2. 荷役作業も要注意
トラックドライバーの仕事はトラックの運転だけではありません。荷の積み下ろしもあり、それも仕事によっては手作業になります。
しかも、荷の積み下ろし作業は、容赦なく太陽が降り注ぐ屋外で行うことが多いのです。
中には軽い荷もありますが、重い荷もあります。どちらにしても、多くの荷の積み下ろし作業を行うと、体温は上がり、大量の汗をかきます。汗をかくと、脱水状態になります。熱中症予防という観点からすると、とても危険な状態です。
3. こまめな水分補給
トラックドライバーの仕事には欠かせない荷の積み下ろしで汗をかき、エアコンの効いた運転席に戻ると、とても快適に感じます。
ここで忘れてはいけないのが水分補給です。汗で体から大量の水分を放出していますし、エアコンによって車内は乾燥気味ですから。
ただ、何を飲むかも大切です。ただの水だと、汗によって体外に出た塩分を補給することはできません。ですから、汗をかいた後は、いわゆるスポーツ飲料、それもナトリウム、つまり塩分の入ったスポーツ飲料を飲みましょう。
荷の積み下ろしの後ではなく、つまり、あまり汗をかいていないときも、水を飲んでこまめに水分補給しましょう。ジュースなどでも良いっちゃ良いのですが、カロリーが高めなので、あまりたくさん飲むことはおススメはしません。
4. 利尿作用のある飲食は避ける
長時間、トラックを運転するトラックドライバーは、なるべくトイレに行きたくならないようにしようとして、水分補給を控えがちです。しかし、そのために脱水症状を起こすリスクが高まります。
スイカ、キュウリ、メロンなどの瓜は涼し気で、暑いときには特に食べたくなるものですが、利尿作用があるので、食べ過ぎるとやはり脱水状態を招きやすくなります。
カフェインを多く含んだコーヒー、お茶や、アルコールも利尿作用が強いと言われています。アルコールは運転では絶対に飲んではいけないので問題外ですが、眠気を抑えるためのコーヒー、お茶も飲み過ぎないようにしましょう。
5. 適度な休憩も必要
家の中で熱中症になってしまう人は、どこか自分の健康を過信してエアコンの利用を控えていたとも考えられます。
トラックドライバーは基本的に体力仕事で、長年続けてきた人は特に体力にも自信があるかもしれません。しかし、無理は禁物です。毎年、「今年の暑さは昨年までとは違う」と考えましょう。
地球の環境は変化しています。また、ドライバー自身も当然ですが、毎年歳を取ります。基本的には体力は年々衰えています。
トラックドライバーの仕事は体力仕事なので、普通に仕事をしていても疲れがたまっていきます。この疲れを過度にためないよう、こまめに休憩を取りましょう。
6. 日ごろの健康管理
暑さにやられないためには、日ごろの健康管理も大切です。
トラックドライバーは毎朝、会社で健康チェックを行いますが、ドライバー自身で何かの不調を少しでも感じたら、その日は仕事を休んだほうが良いかもしれません。
運転中に熱中症の症状でめまいなどが起こると、運転に支障をきたし、交通事故を起こす危険もあります。そうなってしまってから後悔するよりは、その日の給与がなくなるほうがマシということもあります。
とにかく。決して無理はしないことです。
熱帯夜で眠れないと、睡眠不足のままで仕事することになり、これも危険です。毎日、十分な睡眠を取り、深酒は避け、栄養バランスの取れた朝食を取るという、健康的な生活習慣を身に着けることが、理想的な熱中症対策なので、できるだけそれを目指しましょう。
7. 熱のこもらない服装
トラックドライバーには荷の積み下ろし作業を行う仕事があります。
荷の積み下ろしを行うときは、安全面などを考えて作業着を着ます。この作業着は、やはり安全面から厚手の丈夫な素材が使われていることがありますが、そのため、昔の作業着は結構熱がこもりやすかったようです。
今は、各所に熱を逃がす工夫がされている作業着が一般的なので、夏場は特にそういうものを選びましょう。
通気性の高い作業着や、ファンによって外気を取り入れることのできる作業服などが登場しています。
8. 熱中症指数測定器の活用
熱中症指数とは、環境省で「暑さ指数」と呼んでいるもので、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。WBGT(湿球黒球温度)とも言います。
この熱中症指数を測定するグッズが販売されています。具体的には温度、湿度などを測定し、熱中症の危険を知らせてくれるものです。
とは言え、あくまでも目安として使用しましょう。機器が危険を告げていないくても体調の不良を感じたら涼しい場所に行くなどの暑さ対策をしたり、医師の診察を受けるべきです。
9. 熱中症対策グッズの活用
冷却スプレーや冷却シートなどの熱中症対策グッズがいろいろ販売されています。暑い夏はエアコンだけではなく、こういうものをドンドン活用しましょう。
特別なグッズではなくても、保冷剤、水枕、冷水で冷やしたタオルなども便利です。温度が上がることが考えられるトラックの運転席に用意しておくために、保冷庫を準備しておくのも良いでしょう。
10. 変だなと感じたら
くどいようですが、体力に自信があっても無理は禁物です。自信がない人はなおさらです。
少しでも体調に異変、不調を感じたら、休むなり、医師に相談するなりしましょう。
熱中症は軽度だとめまい、失神、筋肉痛、大量の汗などがあり、症状が重くなるにつれて頭痛、不快感、吐き気、倦怠感、意識障害などが起こっていくそうです。
この軽症だと言われるめまいでも、運転には危険なので、熱中症にはとことん気をつけなければいけません。