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一人親方というトラック運転手としての働き方

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この業界ではありません

一人親方、と言っても力士がいなくなって、親方1人だけになってしまった相撲部屋のことではありません。
労働者を雇わずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことで、建設業に多い「働き方」です。言ってみれば個人事業主のことなんですが、一般的に建設業、林業の個人事業主を昔から一人親方と言ってきたようです。今では建設業、林業の他に、職業ドライバー、漁業従事者、医薬品の配置販売業、廃棄物処理業、船員の個人事業主が一人親方に含まれています。
職業ドライバーと言えば、個人タクシーの運転手も一人親方に含まれるわけです。
そしてトラック運転手にも、一人親方という働き方があります
一人親方は、いわゆる起業家です。たとえば、運送会社と契約し、トラック持ち込みの運転手として働いたり、荷主と直接契約して働くわけです。実際はダンプカーの運転手に一人親方が多いそうです。
もちろん契約相手、つまり顧客が求めるような仕事をしなければいけませんが、従業員のように会社に拘束されることはありません。
「雇われない働き方」が注目される昨今、一人親方はまさにその潮流に乗った働き方です。

自営業者

一人親方とはつまり個人事業主です。いわゆる自営業者です。さらに違う言い方をするとフリーランスの専門職とも言えます。
会社組織に属さず、専門的な仕事、ここでは荷の運搬を行う個人です。
個人なので、契約相手から得られる報酬はすべて自分のものにできます。
とは言え、全く1人で仕事する場合に限っているわけではありません。妻や親、子どもなどの家族とともに仕事をする一人親方もいます。この場合、報酬は家族で分配することになるでしょう。
他人を雇っているものの法人化せず、個人事業主として仕事をする一人親方もいます。この場合、報酬から賃金を払わなければいけません。

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経営者

出費も多い

一人親方でも誰かを雇用する場合、賃金を払わなければいけません。
それにガソリン代、車両保険、維持費などの経費も報酬からの出費になります。これが結構バカになりません。
ただ、大型車より中型車、中型車より小型車のほうが経費を低く抑えることができます。
そのため、小型車で事業を始める一人親方が多いそうです。

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ガ~ン!

自前のトラック

一人親方として事業を始めるには、当然開業資金が必要です。
まず、トラックを購入しなければなりません。
大型トラックを新車で購入しようとすると2千万円くらいします。中古の場合でもン百万はします。
いずれにしてもハードルは低くはありません。そういったこともあり、小型車で事業を始める一人親方が多いようです。

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ハードルがある

労災保険

仕事中や通勤中に事故・災害にあって、ケガをしたり、病気になったり、体に障害が残ったり、死亡した場合などに保障を行うのが労災保険です。原則として、従業員を雇用している事業所は必ず、雇用している従業員が労災保険を受けられるようにしなければいけません。
従業員が5人未満の個人経営の農業・水産業は労災保険が適用されないのですが、運送業のトラック運転手は一人親方でも従業員を使っているなら労災保険の適用事業者となります。
そして労災保険の保険料は事業主が全額負担しなければいけません。
さて、それはそれとして、一人親方自身が仕事中や通勤中にケガしたりすると、どうなるのでしょう。
実は事業主自身には労災保険は適用されません。
「そんなのあんまりだ~」と嘆く一人親方のために、労災特別加入という制度があります。
労働局や厚生労働大臣などの承認を受けた団体が、一人親方が労災に特別加入できるようにしています。
たとえば、運送業一人親方共済会という組織があります。ダンプの運転手には建交労全国ダンプ部会があります。

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労働災害

従業員からスタート

個人タクシーの運転手になるには、タクシー運転手としての勤続年数などが資格要件になります。
トラック運転手として一人親方になる場合、そうした必要条件はありません。
しかし、一人親方のトラック運転手として長く仕事を続ける、つまり生活していくには開業資金とともにやはり業界知識が必要です。
そのため、実際に一人親方として活躍するほとんどのトラック運転手が、まずは従業員として運送会社などで経験を積み、資金も貯めて独立します。
まずはトラック運転手としてどこかに就職しましょう。経験を積みながら、開業するのに大切なコネをつくることもできます。それに、独立起業を目指す気持ちが仕事のモチベーションにもなって、きっとバリバリ稼げるはずです。

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バリバリ働く

ゆくゆくは会社に

最初は一人親方として出発しても、顧客からの信頼が厚くなり、仕事が増えて従業員を雇い始め、多くの仕事をこなせるようになってさらに従業員を増やせれば、法人化するのも良いかもしれません。
実際、今は中小企業のトラック会社の経営者に収まっている人の中でも、かつては一人親方として働いていた人が結構います。
一人親方として働くには、経費のやり繰りなど、事業をいかに回していくか、つまり経営を考えなければいけません。これはそのまま、会社の経営者となるための修業にもなるのです。

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ゆくゆくはこんな感じ

ナンバープレートは?

運送業のように、事業に車両を使う場合、車両のナンバープレートは緑ナンバーを使わなければいけません。
緑ナンバーは、運賃をもらってトラックを走らせるのに必要なナンバープレートです。つまり、運賃が発生しない荷をトラックで運ぶ場合は、一般車両が付ける白ナンバーで構わないのです。
しかし、緑ナンバーの取得を運輸局に申請するには、駐車場の確保などはもちろんのこと、車両台数が5台以上ないとできません。つまり、トラック1台で一人親方としてトラック運転手の仕事を始めるのは不可能なのです。
ただ、たとえば電器店が冷蔵庫やテレビなどをお客さんに届ける場合、トラック運転手がその店と契約し、契約社員となってそれらの荷を運べば「自社の契約社員が運んでいる」ことになり、白ナンバーで働くことができるわけです。

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ナンバープレートもいろいろ

最後に

トラック運転手にもいろいろな働き方があります。しかし、まずは経験を積みましょう。

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コツコツと