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トラック運転手の労働環境改善策

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トラック運転手の労働環境をホワイトに

トラック運転手の人手不足が続いていて、そのため「引っ越し難民」つまり、引っ越しシーズンに引っ越し業者に引っ越し依頼ができず、困る人たちが続出している問題も起こっています。引っ越し荷物を運ぶのもトラックがほとんどで、運転手がいなければどうしようもないわけです。
そもそもトラック運転手の仕事は「低収入で過酷な仕事」というイメージが広まり、そのせいで人手不足が続いています。
しかし、確かに「過酷」だと言われていただけの原因があるわけです。つまり、この「過酷」を何とかすれば、トラック運転手の人手不足も何とかなると考えられます。
それ以前に、現に「過酷な労働環境」に疲弊している多くのトラック運転手がいるので、この「過酷な労働環境」を何とかしなければなりません。
そこで国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省が連携して始めたのが「ホワイト物流推進運動」です。この運動では、荷主企業、納品先企業、物流事業者、その他の事業者・企業団体、さらにすべての国民への運動への賛同と協力を呼び掛けています。

それはそれとして、ここでは独自にトラック運転手の労働環境を改善できる策を紹介してみます。実現できる立場の人は、ぜひ実現に向けて取り組んでください。トラック運転手の労働環境が改善されれば人手不足に歯止めがかかり、引っ越し難民問題も解消され、引いては国民の便利で快適な生活が約束される、平和な日本になるはずです。

1. 荷待ち時間の解消

トラック運転手の仕事が過酷と言われる原因の1つが「拘束時間が長い」ことです。そしてトラック運転手の拘束時間を長くしている大きな原因が、荷待ち時間の長さです。
トラックで荷を届ける時間は決められています。その時間を厳守して届けても、長々と待たされるわけです。これほど無駄で非効率なことがあるでしょうか。
要するに納品時間をずらせばいいだけの話です。しかし、荷を受け取った後の作業を考え、納品時間を個別に考えなければならず、それって結構大変なので、一律の納品時間でこれまでやって来たようです。
もちろん「ホワイト物流推進運動」でもこれは取り上げられていて、効率的にシステム化することで荷待ち時間の長時間化を解消するよう推奨しています。
こういったことはいち早くIT化して、納品時間を分散させて無駄な荷待ち時間を無くしましょう。

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行列

2. トラック専用道路の建設

トラック運転手の仕事の拘束時間を長くしている原因には「渋滞」もあります。道路を走るのはトラックだけではありませんから、これはある意味仕方ないことです。
いえ、待ってください。「道路を走るのはトラックだけじゃない」から仕方ないなら「トラックだけの道路」があれば、何とかなるかもしれません。
トラック専用の道路をつくりましょう。都市と都市をつなぐ道路はもちろん、街中にも「路線バス専用レーン」みたいに「トラック専用レーン」を設けます。
一般道が渋滞しようがどうしようが、トラックには優先的に目的地へ行っていただきましょう。

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渋滞

3. 運転のIT化

自動車の自動運転システムの開発が進められています。それで「トラック運転手の仕事は将来、ITに奪われる」なんていう人もいますが、ここで言う「運転のIT化」は、あくまでも運転手をサポートするITの進化です。
今も自動ブレーキシステムなど、いろいろな機能が備わった自動車がありますが、もっと多岐に渡って運転手をサポートできるようにします。はっきり言うと、トラックの運転をもっと楽にするのです。大げさに言うと、多少わき見しようが、多少眠気に襲われようが、絶対に事故を起こさず、安全に荷を届けられるレベルにまでにします。
今はまだ、トラック運転手は長時間運転席に座って運転していることでの疲労があったり、血流の悪化などから腰痛になりやすかったり、トラック運転手は体力仕事にもなっています。これを体力的に、世にも楽チンな仕事にします。これぞ労働環境の大改善です。

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自動運転システム

4. 荷役作業の完全機械化

トラックの運転を世にも楽チンな作業にするのですから、その他の作業も楽チンにしなければなりません。
トラック運転手が一番筋力を必要とされるのが荷の積み下ろし、つまり荷役作業です。
そもそもトラック運転手の仕事は本来「トラックを運転すること」であって、荷役作業は荷主業者、納品先企業などの業務のはずなのですが、トラック運転手が行うことが当たり前になってしまっています。
つまり、力仕事なので「誰もやりたがらない」わけですね。
今もフォークリフトを使うなど、機械化は進んでいます。しかし、やはりこれこそロボットにやってもらいましょう。重いものはもちろん、軽い荷物も運んでもらいます。
研究者、および関連メーカーの皆さま、一刻も早い人型荷役用ロボットの開発をお願いします。

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人型ロボット

5. リレー形式の導入

長距離トラックの仕事は、遠方に行くので2~3日、長いと1週間近く家に帰れないと言います。まさに、絵に描いたような「拘束時間が長い」仕事です。
荷台はそのままに、各拠点で運転手は交代していくリレー式で長距離を運ぶようにしましょう。
トレーラーのトラクターを拠点ごとに取り換えていくのも良いですね。
すでに実践しているところもあるかもしれませんが、これを長距離仕事の基本として定番化させましょう。ただし、その実現のためには、それだけの運転手の確保が必要になりますが。
つまり、人手確保のための労働環境改善のために、まず人手を確保しなきゃいけないという、アンビバレントな状況に‥。

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リレー

6. 大型車両用駐車スペースの増加

トラック運転手の労働環境に対する不満の1つに「大型車両の駐車スペースが少なく、なかなか休憩を取れない」というものがあります。
あらゆる飲食店、あらゆるコンビニに必ず大型車両用の駐車スペースを設けるよう、法律で決めてしまいましょう。
SAなどでは確実に大型車両用駐車スペースがありますが、たまに乗用車が停めてあったりしてトラック運転手の気持ちを奈落の底に突き落としたりします。こういう不埒なドライバーを取り締まる法律も必要です。

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大型車両の駐車スペース

7. 各家庭に宅配便受取ボックスを設置

トラック運転手の仕事を過酷にしている要因の1つに、宅配便荷物の大量発生もあります。庶民にとってはありがたい宅配便ですが、運ぶほうは大変です。
しかも、時間指定されていたのでその時間通りに届けてみれば、まさかの不在。作業も二度手間です。
押印の不要な荷物は郵便受けに入れるのも可能ですが、郵便受けに入らないものはやはり再配達になってしまいます。最近は玄関前に置いていく配達も行われるようになりましたが、安全面は危惧されます。
この際、郵便受けを大きくしましょう。それなりの大きな荷物も入るくらいの宅配便荷物受取ボックスみたいなものにするのです。送るほうも受け取るほうも安心で、運ぶ人も楽です。

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宅配ボックスをすべての家に

8. 通販はまとめ買いを基本に

宅配便のトラック運転手にさらに楽をしてもらうために、通販での買い物はなるべくまとめ買いをしましょう。もちろん、1つほしいものがあるだけなのに、まとめるために不要なものまで買うことはありません。しかし、なるべく、ある程度待って、ほしいものがまとまったところで注文するなどの工夫をしましょう。
通販を扱う運送業者も、たとえば地区ごとに配達する曜日を限定したりしましょう。たとえ、ショップから商品が届いていても、配達は地区ごとにまとめて行うのです。
消費者が不便になる? 少しくらい我慢しましょう。

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まとめ買い

9. 作業着をファッショナブルに

意外と見過ごされがちなのが、トラック運転手のファッションです。
トラック運転手は運送会社によっては制服があります。ないところは原則は服装自由ですが、それでも荷役などの作業のために作業着を着る人が多くなっています。
いずれも実用性と清潔感のみ重視されています。
もちろん、実用性と清潔感は重要です。しかし、ここにファッション性も加えてみましょう。
若い人、そして女性が「着てみたい」と思えるようなファッションです。日ごろファッションに興味のない武骨な運転手たちも、それを着ればテンション上がるかもしれません。

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ファッショナブルに

10. 意識改革の推進

労働環境はいろいろな制度の構築、機械化、システム化で改善できます。しかし、それだけでは不十分かもしれません。
下請けには多少無理を言ってもいいとか、労働者にも無理が通ればそれに越したことはないとか、人件費はとにかく抑えたいとか、環境改善より利益追求を優先とか、そういう意識を変えなければ、人手不足問題は解消されません。
経済にそんなキレイごとは通用しないんだよ、なんて言う人もいるでしょう。しかし、今こそキレイごとに立ち向かっていかないと、少子化高齢化、人手不足は止まらない、かもしれませんよ、フフフ。

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変革のとき