トラックドライバーにとって睡魔は大敵です。特に長時間勤務のトラックドライバーは疲労がたまりますから、適宜仮眠を取らなければいけません。
また、長距離の仕事の場合、ほとんどのトラックドライバーはトラック車内で睡眠を取ります。
トラックドライバーの大敵が睡魔だけに、睡眠はとても大切です。本格的な睡眠ではなくても、仮眠も同様に大切です。
トラックドライバーは日ごろから仕事の疲労をためず、十分な睡眠を取って仕事に臨むのが理想です。
とは言え、なかなか理想通りには行きません。それに、きちんと睡眠を取っていても睡魔が容赦なく襲ってくることがあります。そんなときはやはり仮眠が一番です。
ちなみに、トラックドライバーの勤務時間内の休憩時間は法的に決められていて、その休憩時間を利用して仮眠を取ります。
この仮眠の質が高ければ、トラックドライバーは睡魔を撃退できるだけではなく、効果的に体力を回復させることもできます。
もし、仮眠を取っているトラックドライバーを街で見掛けたら、温かい目で見てあげましょう。
1. ハンドルにうっ伏す
手軽に、サッと睡魔を撃退してしまいたいとき、その場でハンドルに手を乗せたまま、その腕に下向き、または横向きに顔を乗せて仮眠します。学生時代、机を使ってやった居眠りと同じ要領です。
座ったままの姿勢なので、あまりしっかりとした睡眠にはならないかもしれません。しかし、運転を続け、うつらうつらとなって事故を起こすことは防げるでしょう。
2. 助手席に半身を投げ出す
長距離の仕事によく使われる大型トラックには、車内に仮眠室が設置されているものもありますが、2トントラックの場合は小さいので、さすがに仮眠室の設置はできません。
それでも、ハンドルにうっ伏して寝るより、もう少しまともに寝たいというときは、助手席に半身を投げ出します。トラックの場合、後部座席がないので、タクシードライバーが仮眠を取るときによくやるように、シートを後ろに倒して仮眠を取ることができません。
そこで運転席の横の助手席に体を投げ出すわけです。ただ、これまた2トントラックの場合、横幅はそれほど長くありませんから、体全体を伸ばすことはできません。
1つの方法は、上半身を助手席のほうに置く方法です。足は運転席側に行きます。とは言え、運転席のドアにつかえますから、足を折り曲げるか、運転席の窓を開けて足先を外に出します。
もう1つは、逆に助手席に足を伸ばす方法です。この場合、上半身は運転席のドアにもたれさせます。つまり、上半身だけ起こしておくわけです。
どちらの場合でも、運転席と助手席の間が離れているので、そのままだと気持ち良く寝ることができません。そこでマットを持ち込み、運転席と助手席に敷いて、隙間をなくします。
3. アイマスクをする
仮眠は睡魔に襲われたりしたときに取ることがあるので、当然、夜とは限りません。日差しの明るい真っ昼間に仮眠を取ることがあります。
また、夜だとしても、街中など、ネオンサインなどが多くて明るい場所で寝ることもあります。
そんなときにあると便利なのがアイマスクです。同時に耳栓をつけると完璧です。
もちろん、個人差もあり、多少、明るかったり、音が聞こえないと不安で眠れないという人もいます。
反対に、一切音も光も感じない状態でないと眠れない人もいます。人それぞれです。
4. カーテンを閉める
アイマスクと耳栓で外の世界を遮断するほどではないけど、やはり暗いほうが寝やすいという人は多いでしょう。
そんな人は、トラックの運転席の窓に車用カーテンを設置します。ほどよく暗くなって寝やすいです。トラック用仮眠カーテンとしていろいろなタイプが発売されているようです。サイズも違うので、自分のトラックに合ったものを選ばないと意味がありません。
値段もいろいろですが、遮光効果など、ちゃんと自分が求める機能がないと、これまた意味がありません。
また、トラックにカーテンレールが付いていない場合は、自分で設置する必要があります。それに、カーテンが開け閉めできるようにするにはカーテンランナーという部品も必要です。
そして、トラック用カーテンを設置する場合に一番気をつけなければいけないのは、停車中以外、カーテンを閉めてはいけないということです。当たり前と言えば当たり前です。
5. 仮眠室を使う
4トントラック以上のトラックの場合、仮眠室が設置してあるものがあります。また、それだけのスペースがあれば後から仮眠室を設置することもできます。
トラックの仮眠室は、大型であれば運転席の後ろに付いているものもあります。運転席の上に付いているタイプもあります。トラックの運転席の上に、前方に向かって傾斜しつつ盛り上がっているものが乗っかっているものがありますが、あの部分の内部が仮眠室になっているわけです。
仮眠室は、人が横になって足を投げ出せるほどのスペースがあります。カプセルホテルや寝台列車の安い寝台くらいの感じです。多少、窮屈には感じるかもしれません。
どちらにしても、そのままでは床が硬くて眠れませんので、トラック用仮眠室用寝具セットをそろえる必要があります。
6. タイマーをセット
トラックドライバーの仕事は時間に厳しいものです。休憩のための仮眠でも、そのまま寝過ぎてしまっては仕事に支障が出ます。
睡魔を撃退するための仮眠の場合も、寝すぎては、本格的な睡眠に突入してしまって、やはり仕事に支障が出ます。
必要なときに必要な時間だけ眠るには、やはりタイマーが欠かせません。
ちなみに、睡魔を撃退する仮眠の場合、短すぎても効果的に睡魔を撃退できません。仮眠時間として推奨されているのは、約20分の仮眠です。
7. 駐車スペースを探す
トラックドライバーが仮眠を取ったり、休憩するときにまずしなければいけないのは、トラックを停めることです。ところが、これが意外と難しいのです。
一番良いのは高速道路のサービスエリアの駐車場です。ここには大型車の駐車スペースもあり、多少長い時間停めていても誰も文句は言いません。
一方、世間には駐車禁止の場所がたくさんあります。そこにトラックを駐車させておくと、違反駐車になります。いくら睡魔を撃退したくても、違反駐車はダメです。
サービスエリアの駐車場以外では、荷の届け先の事業所の駐車場に、事業所の許可を得てトラックを停め、短時間、仮眠を取るトラックドライバーも多いようです。
8. 車内用エアコン
トラック車内で仮眠を取る場合、夏であればやはり冷房が必要です。さもなきゃ熱中症にでもなってしまいます。いえ、その前に暑くてろくに休憩できないでしょう。
そこでエアコンを効かせるわけですが、トラックのエアコンを使うにはエンジンをかけっぱなしにしなければいけません。いわゆるアイドリング、すなわち空ぶかしです。
ですが、環境問題の観点から今はアイドリングストップが推奨されています。その上、エンジンが動いているので、周囲への騒音も気にしなければなりません。騒音やトラックの揺れで、ドライバー自身も眠れないかもしれません。
そこで使ってほしいのが、車内に持ち込んでアイドリングストップの状態でも使える車内用エアコンです。
9. 枕と毛布
暑い夏にはエアコンも必要ですが、頭は冷やしたくてもお腹や下半身が冷えすぎると健康を損ねる可能性もあります。それに冬はやはり毛布が必要です。
心地良い睡眠には寝具がなければいけません。毛布、枕は自分の好みに合ったものを用意しましょう。運転席で寝る場合も、仮眠室を利用する場合も、どちらにしても使います。
10. 仮眠の準備
トラックドライバーの仕事をしていて、どうしてもまぶたを開いていられないから仮眠を取らなければいけないという状況もあったりします。そんなときは、ハンドルに頭を乗せた次の瞬間には眠りに落ちるかもしれません。
一方、今ちょうど休憩を取れるタイミングなので、後のことを考えて仮眠を取っておきたいと思う場面もあります。「さあ寝よう」と思っても、すぐには眠れないかもしれません。そんなときも、目をつぶって体を休めるだけでも、疲れはある程度取れます。
さらに、寝やすいような準備をすると、より質の高い休憩になるでしょう。
まず、仮眠であれば、直前の食事は控えたほうが良いそうです。満腹で寝ると、熟睡してしまうことがあるとか。
また、一度窓を開けて空気を入れ替えると、気分もリフレッシュして寝やすくなります。それからアイマスク、耳栓などを活用すると、寝やすくなるでしょう。
最後に
仮眠は休憩時に取るものなので、当然ではありますが、トラックはしっかり停車させなければいけません。注意しましょう。