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タクシードライバーが悲しくなる瞬間(とき)

ひと粒の水滴に

人生、楽ありゃ苦もあります。苦がないと楽を実感できません。
大金持ちの家に生まれ、小さいころから欲しいものは何でも買ってもらっていたら、欲しいものを手にしたときの喜びはあまり感じないでしょう。「欲しいものは手に入る」が「当たり前」なのですから、人は「当たり前」のできごとにはそれほど感情が動きません。
とは言え、大金持ちの家に生まれ、小さいころから何不自由なく暮らしてきた人だって、悲しいことはあるはずです。世の中、お金があれば、たいがいのことはどうにかなりますが、お金があってもどうにもならないことだってあります。

そんなわけで、タクシードライバーにももちろん「思わず泣きたくなるような」悲しいときがあります。タクシードライバーじゃない人が聞いても「ふうん」かもしれませんが、ときにはタクシードライバーに優しいまなざしを向けてみましょう。タクシードライバーも、あなたに優しいまなざしを返してくれるかもしれませんよ、うふふふ。


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1. 乗客が見つからないとき

多くのタクシードライバーは給与が歩合制になっていて、お客さんを乗せれば乗せただけ収入がアップしますが、乗せなければ乗せないだけ収入が下がります。
「なまけたい」と思ってタクシードライバーになった人は別ですが、「できるだけ稼ぎたい」と思ってタクシードライバーになった人は、できるだけ多くのお客さんをタクシーに乗せようと、いろいろ工夫し、努力します。それでもなかなかお客さんが見つからず、「今日は売り上げがさっぱりだ」なんて日は本当に悲しい気分に打ちひしがれるってもんです。

誰もいない‥

2. 遠距離かなと期待した乗客の行き先が思いのほかすぐそこだったとき

多くのタクシードライバーの給与は、タクシー料金の5~6割を自分の収入にできる歩合制になっています。多くのタクシー料金を得られると、とてもうれしく思います。
そして、遠くの場所まで乗ってくれると、それだけ料金も上がり、タクシードライバーの取り分も上がるので、そりゃもう大騒ぎさ、です。
タクシードライバーでもベテランになってくると、遠距離を行くお客さんを見つけやすい場所が分かってくるそうです。そんな芸当は新人にはなかなか難しいでしょう。
タクシードライバーになって数年経つと、そろそろいろいろな経験で、新人時代には分からなかったことが見えてきます。自分なりに効率良くお客さんを見つけられるルートもつかめてきます。
「ここは遠距離のお客さんが多いんだよな」なんて当たりをつけていた場所で、自分の経験から「遠距離に違いない」と確信して乗せたお客さんが、案外近い場所へ行ってほしいと言ってきたりすると、ガクッとします。
「俺もまだまだか」なんて自覚にもつながると、悲しくなったりするかも。

まだまだか‥

3. 道に迷ったとき

タクシードライバーとしてやっちゃいけないのがコレです。道に迷うのは最悪です。
「お金はかかるけど、自分で運転しなくても行きたいところまですぐに行けちゃうから便利」と言ってタクシーを利用する人は多いはずです。「すぐに行けて便利」なはずが、「いつまでも着かない」となると「金返せ!」と暴れたくもなります。
そんな風にお客さんをイラつかせ、激怒させれば、タクシードライバーだって楽しいはずがありません。プロとしての誇りがあればなおさらです。思わず心の中で自分に向かって「バカ! バカ!」と連呼するでしょう。
ベテランのタクシードライバーはまずこんなことにはならないでしょうが、まだまだ緊張が取れない新人ドライバーは、やってしまうかもしれないので気をつけて。

ああ、もおバカ!

4. 道が分からないとき

「道に迷った」と似ていて、微妙に違うのがコレ。「道に迷う」のは「自分がどこを走っているか分からない」わけですが、こちらは「目的地にどう行けば分からない」状態です。
今はカーナビなんかもあって「目的地までのルートが分からなくなる」なんてことも滅多にありませんが、全くないわけではありません。お客さんの言う場所がカーナビで見つけられなかったり、そもそもお客さんも行き先の情報をしっかり持っていなかったりすると、タクシードライバーもお手上げです。

迷った‥

5. お釣りがないとき

タクシー利用客のタクシードライバーへの不満として多く上がるのがコレ。乗車賃に1万円札を出したらドライバーに嫌な顔をされたとか、ひどいのになるとコンビニに連れて行かれ、小銭に崩してきてくれと言われたとか。
プロとしては、もちろんどんな札に対してもお釣りを用意しておくものです。とは言え、なかなか万全とはいかないときもあります。
お客さんの利用がひっきりなしに続き、まあそれはタクシードライバーとしてはうれしいのですが、なぜか万札での支払いが続いたらお釣りのために用意した小銭もすぐになくなります。
こんなときはタクシードライバー自身がコンビニに行って、自分のお金で缶コーヒーでも買って小銭を用意すべきですが、それでも「お客さんを待たせている」と思うと、やはり申し訳なく思ってしまいます。

いろいろなお金を用意しておこう

6. 酔客が吐いたとき

タクシードライバーの稼ぎどき、稼ぎどころと言えば、深夜の繁華街です。お酒を飲んで終電を逃した多くの人がタクシーを利用してくれます。
ほろ酔い気分で上機嫌になり、チップでも弾んでくれるお客さんはかなりうれしいのですが、中には酔って絡んできたり、タクシードライバーに暴言を吐いてくる、厄介な酔客もいます。
しかし、それもまだマシで、一番厄介なのは酔客の嘔吐です。お客さんを降ろした後、汚物をきれいに掃除し、臭いも残らないようにするのはタクシードライバーの仕事です。すえた臭いが鼻腔を刺激し、情けない気持ちにもなります。

掃除が大変

7. ネットでタクシードライバーの悪口を見たとき

世の中にはタクシードライバーを「底辺職」だなんて言う人がいます。平気でネットにそんな書き込みをする人もいます。小学生なら「バカって言うヤツがバカなんだよ」と叫んで泣きながら母親の胸に飛び込むところです。
実際は、タクシードライバーの仕事は人々の生活を便利にする、社会貢献度の高い、とても尊い仕事です。日本のおもてなし精神を体現しようと、高い志を胸に秘めてハンドルを握っているタクシードライバーもいます。
それだけに、そんな心の狭い書き込みを見ると悲しくなります。

ストレスがたまると、ついネットに誰かの悪口を書き込みたくなります

8. 事故ったとき

タクシードライバーの仕事はお客さんを早く、快適に、安全に目的地まで運ぶことです。
「快適」「安全」のために、ていねいに、おだやかにタクシーを運転します。急な発進だの急ブレーキ、頻繁な車線変更などはもってのほかです。
しかし、交通事故は自分のミスや不注意だけで起きるとは限りません。暴走する他の車にぶつけられる、なんてこともあります。今はドライブレコーダーを搭載しているタクシーも多いので、タクシードライバー側に過失がないと分かれば、弁償などもしなくて済むかもしれません。
それでもお客さんには迷惑をかけてしまいます。プロとしては悲しいことです。

事故は怖い

9. メーターを倒し忘れたとき

タクシードライバーは、運転以外にもいろいろな作業をしなければいけません。
まず、タクシーを運転しながら歩道などを歩く人が手を上げてタクシーを停めようとするのを見つけなければならず、その上で、安全でお客さんが乗りやすい場所にタクシーを寄せてお客さんを乗せ、安全に後部座席のドアを操作します。
交通の流れをなるべく停滞させないように気をつけながらなので、慣れないうちは大変です。緊張が取れない新人ならなおさらです。
ちょっと後ろの車の邪魔になってしまい、クラクションでも鳴らされたりしたら、もうパニクってしまうでしょう。思わずメーターを倒し忘れてしまうかもしれません。
精算するときになってメーターの倒し忘れに気付くと、落ち込みます。お客さんによっては「いつもこの距離走るとこれくらいだから」と、お金を払ってくれる人もいるかもしれません。単なるタダ働きになるかもしれません。

パニック!

10. タクシーがらみの事故・事件のニュースを知ったとき

ネットで「タクシー」を検索すると、毎日のように事故のニュースが出てきます。事故を起こしたり、事故に巻き込まれたりです。
時折、事件に巻き込まれたというニュースもあります。事件を起こすタクシードライバーもたまにいます。
タクシードライバーも日々を平穏に過ごしたいと思っています。しかし、交通事故は一つ間違えば人命に関わります。タクシーが密室なのをいいことに、タクシー車内で犯罪行為に及ぶ人もいます。
人間のはかなさ、危なさ、愚かさを知って悲しくなります。
同時に「明日は我が身」となる可能性も考え、心を引き締めます。

毎日、無事に日が暮れますように