トラックドライバーの仕事は過酷だとよく言われます。
例えば長距離トラックの仕事では、一度会社を出発すると2~3日、長いと1週間くらいは戻れません。ドライバーは家に帰れず、その間は車中泊となることが多いようです。いくらスマホがあっていつでも誰かとつながることができると言っても、もちろん運転中のスマホ操作は厳禁ですし、また直接会いたい人と会えないことには変わりありません。
そんな孤立感があり、自分の布団でゆっくり寝ることができず、食事の時間も不規則になるので、そういう生活に向いていない人にとってはかなり過酷かもしれません。もちろん休憩はできますが、それでも拘束時間はかなり長時間です。
一方、同じ長距離輸送でも深夜走行の長距離バスは、運転手が2人体制で交代しつつ勤務するそうです。
もし、この2人体制が長距離トラックの仕事に導入されたら、長距離トラックドライバーの過酷さも少しは減るのではないでしょうか。
1. 人手不足が進む
少子高齢化もあってトラックドライバーの人手不足が続いています。仕事があってもトラックを運転するドライバーがいなくて仕事を受けられないといった事態も、規模の小さな会社では起こっているそうです。トラックがあってもドライバーがいなければ、荷は運べません。
1台に1人のドライバーも足りていない状況なので、1台に2人のドライバーとなれば、当然、さらに足りなくなります。会社ごとにドライバーの奪い合いになるのは必定です。
これは「もしも」話ですが、現実にはトラックドライバーの2人体制は不可能だということです。
2. 仕事が楽になる
現実には無理でも、もし仮にトラックドライバーの仕事が2人体制になったら、仕事が随分楽になるでしょう。
トラックの運転は大きくカロリーを消費するものではありませんが、それでもかなりの疲労を伴います。安全運転に意識を集中する精神力が必要で、しかも筋肉なども多少は緊張し続けるからかもしれません。
交代制になれば、1人はその緊張から解放され、リラックスしていられるわけです。しかも、その間もトラックは相棒が運転しているので、トラックは目的地に向かって進んでいきます。仕事が進んでいるわけです。
トラックドライバー1人の負担が減るので、仕事そのものが楽になるはずです。
3. 孤立感がなくなる
従来、トラックドライバーは1人で仕事をするのが基本です。そのために孤立感もあるはずです。
2人体制になれば、相棒と一緒に仕事をすることになるので孤立感はなくなるでしょう。交代制と言っても、必ずしも1人が運転している間はもう1人は寝ているわけではないでしょうから、世間話なんかもでき、その世間話を楽しい時間にすることもできます。
4. 切磋琢磨できる
交代制と言っても、必ずしも1人が運転している間はもう1人は寝ているわけではないでしょうから、相棒である同僚の運転技能をはじめとした仕事振りを間近に見ることができます。
相棒は仕事仲間でもありますが、ライバルと考えることもできます。良い仕事振りを見て刺激を受けたり、ミスをフォローし合ったり、お互いに切磋琢磨できる関係になると、とても素晴らしいのではないでしょうか。
5. 人間関係のストレスが生じる
従来、トラックドライバーは1人で仕事をするのが基本でした。そのために孤立感もありますが、一方ではわずらわしい人間関係によるストレスがありませんでした。
ところがトラックドライバーの仕事が2人体制になると、いつも運転席の横には同僚がいるようになります。相性が良ければ、孤立感がなくなった分、勤務が楽しいものになりますが、同乗する相棒と相性が悪かったら最悪です。切磋琢磨するような余裕はなく、ストレスばかりがたまるでしょう。長距離トラックの仕事は長時間拘束され、その長時間、同僚がそばにいるので、ストレスはかなり大きな負担となる可能性があります。
もしかしたら、たとえ相性が良い相手でも、やはりしょっちゅう一緒に過ごすとなったらストレスになっていくこともあります。人の感情には波がありますから。
相手が仮眠してくれると、心の底からホッとするに違いありません。
6. 心強い
とは言え、やはり誰かがそばにいてくれるのは心強いものです。
トラックドライバーの仕事にも想定外のトラブルが起こったり、ミスをしてしまうこともあります。1人が基本の仕事では、どんなトラブルやミスも、上司にスマホなどで相談したり、報告することはできますが、やはり「一緒に対処してくれる」相棒がそばにいてくれると、ありがたいものです。
7. 身だしなみに気をつけるようになるかも
長距離トラックの仕事では、会社を出ると目的地に着くまでは仕事上の関係者とはほぼ誰とも会いません。
もちろん、運転に支障のあるような服装、身だしなみはNGですし、会社によっては厳しく服装や身だしなみに関する規定が設定されているところはありますが、規模の小さい会社では比較的自由です。ですから、多少だらしない人は、1人で仕事するときは多少身だしなみに対する気持ちもゆるむでしょう。
しかし、そんな人でも横に同僚がいるとなったら、身だしなみに対して少しは気をつけるようになる、かもしれません。
8. 整理整頓に気をつけるようになるかも
身だしなみと同様に、だらしない人は身の回りの整理整頓にも気が回らないものです。
もちろん、足元に空き缶が転がっていて、それがブレーキ操作などの支障になるほど、運転席周辺が散らかっていてはいけません。
ただ、そういう支障がない範囲で、運転席の隣に未整理の書類が出しっぱなしだったり、食べかけの弁当が置きっぱなしだったりするようなことはあるかもしれません。
ところが、運転席の隣に同僚がいれば、まさか書類や食べかけの弁当を置きっぱなしにはできません。日ごろから整理整頓に気をつけるようになる、かもしれませんね。
9. 絆が生まれて会社愛が強くなるかも
トラックドライバーの仕事が2人体制になり、長距離トラックの仕事は2人じゃなきゃできないというところまで2人体制が馴染めば、この2人はお互いが相棒として切っても切れない間柄になったと言えます。刑事映画や刑事ドラマの相棒、バディと同じようなものです。
バディに必要なのは絆です。トラックドライバーたち1人1人に相棒に対する絆ができれば、そんなトラックドライバーたちの集合である会社への思いも強くなるでしょう。トラックドライバーたちの会社愛が強くなれば、仕事にもそれまで以上に熱が入り、技能が向上し、ミスも少なくなるに違いありません。
10. 給与が高くなる
とは言え、現状ではトラックドライバーの人手不足が進み、トラックドライバーの2人体制は現実的にはかなり難しいです。
逆に言うと、トラックドライバーの人手不足が解消されれば、トラックドライバーの2人体制が実現し、トラックドライバーの技能が向上してミスが減ることで、会社の営業力がアップするわけです。
トラックドライバーの人手不足を解消するためにかなり有効な手段と言えば、トラックドライバーの報酬をアップすることです。高収入が保証されれば、多くの人がトラックドライバーになりたがるはすです。
トラックドライバーの2人体制を実現するには、現状の倍近くのトラックドライバーは必要になります。それだけ大勢の人手を集めるためには、とにかくトラックドライバーの報酬を上げるしかありません。