トラック運転手の仕事は、特に長距離のトラック運転手は「拘束時間が長い」と言われています。事実です。
3~4日、長いと1週間くらい自宅に帰れないこともあります。
もちろん、休憩ははさみますが、長時間運転します。はさむ休憩も、喫茶店でゆったり過ごすということは少なく、たいていはコンビニの駐車場に停車したトラックの運転席で、コンビニで買った缶コーヒーを飲みながら、ということになりがちです。
かなりの時間をトラックの運転席で過ごすのがトラック運転手です。特に長距離の。
もちろん、運転中は安全運転に意識を集中します。事故なんか起こした日には、最悪自分の人生も狂わせてしまいます。誰だってそんな事態は避けたいものです。
ただ、長時間、運転席に座っているので、肉体的、精神的に疲労がたまりやすいんです。それでストレス解消、疲労蓄積の回避のため、気持ちのリフレッシュに努めます。
その手段として手っ取り早いのが「空想」です。荷役の待ち時間なら、きっちりトラックを停めているので、スマホでゲームしたり、読書したり、動画を見たり、音楽を聞いたりできるのですが、運転中はハンドルから手を離すわけにはいかないので、その代わりに空想にふけったりします。
もちろん、運転から意識が離れないようにしなければいけませんが。
人生の成功者は皆ヴィジョンを持っていました。ヴィジョンとは将来を想像することです。空想は想像から生まれます。現実のしがらみを忘れ、思い切り想像の翼を広げて空想してみましょう。将来のヴィジョンが見えてきたり、見えてこなかったりするかもしれません。
今回は運転中におススメの「空想」を紹介します。
1. ドラマの続き
連続ドラマで、現在まで見ているエピソードのその後の展開を考えてみます。
主人公が誰と結ばれるか、主人公の思惑は成功するか、主人公の敵は生き残るか? これまで見てきたドラマなら、キャラクターたちの性格は分かっているはずです。あのキャラクターなら、次にこんなことが起こればあんな行動に出るはず、と想像してみましょう。
または、こんな風に展開してほしいという願望でも構いません。
ドラマではなく、読みかけのコミックでも同じ空想ができますよ。
2. コミックの実写化
最近の日本映画、ドラマはほとんどコミックの実写化です。
でも、原作だとクセのある風貌なのに、実写化されると原作のキャラクターとはあまり似てないイケメン俳優が演じたりします。「イケメン俳優を起用しないと女性客が見に来てくれないんだもん!」というプロデューサーの悲痛な叫び声が聞こえてきそうです。
だからと言って、原作で慣れ親しんだ子どものキャラクターをいきなり成人男性に演じられても、いくら情報番組で「原作のイメージのまんま」だなんて言われたって、安直に「ウン、納得」だなんて喜ぶ気にはなれません。
そこで、自分なりなキャスティングを空想します。空想なので予算も関係なしにキャスティングできます。高額なギャラのハリウッド俳優だってキャスティングしちゃいましょう。
3. ゲームのクリア
ドラマの続きを考えるのと同様に、今やりかけのゲームを、せめて空想上で進めましょう。
スポーツで言う「イメージトレーニング」のようなものです。ゲームをクリアする様子をイメージしていけば、現実でも案外楽にクリアできるかもしれません。
4. 美人とデート
せっかくハンドルを握って車を運転しているのだから、今、ドライブデートをしているんだと空想してみましょう。
実際には1人で大型トラックの運転席にいるのですが、そのシチュエーションを生かした空想をするわけです。ですが、「運転席でハンドルを握っている」という状況はリアルなので、これは空想というより妄想です。
5. 宇宙探検
これも「ハンドルを握って車を運転している」状況を生かした空想です。
今、トラックを運転して県道を走っているのではなく、宇宙探査船を操縦して未知の惑星の探査に向かっていると想像してみます。
宇宙でなくても構いません。大型ジープで未開のジャングルや荒れ地を進んでいるでも可。
とにかく、冒険心を思い切り爆発させましょう。
6. カーチェイス
これまた「ハンドルを握って車を運転している」状況を生かした空想です。
言ってみればアドベンチャーの主人公になりきるのではなく、サスペンスの主役になりきるわけです。
もちろん、安全運転は厳守ですから、カーチェイスと言ってもスピードは法定速度遵守です。つまり「チェイス」と言うより「つける」「尾行する」ニュアンスです。
刑事や探偵のつもりで、犯人、容疑者の車を追います。相手に悟られない、つまり迷惑をかけないようにすることが肝心です。ましてや、あおったりしないように。
7. 歌手デビュー
トラック運転手は仕事中、横には陰気な表情の上司も能天気に笑う同僚もいません。1人です。トラック運転手は1人気ままな仕事だと言えます。
多くのトラック運転手が仕事中、音楽を聞いて楽しみます。
ロックでも演歌でもクラシック音楽でも聞き放題です。中にはカラオケで歌ったり、なんならアカペラで歌ったりする人もいるとかいないとか。
どうせ歌うなら、歌手になりきって熱唱しましょう。通り過ぎる対向車にはどうせ聞こえません。
8. 社会情勢の分析
物流業界に限らず、あらゆる業種で人手不足が大きな課題になっています。
それだけではありません。中小・零細企業では事業承継も深刻な問題です。また、年金制度の崩壊、北方領土の返還、高齢者の交通事故、児童虐待、セクハラ、パワハラ、マタハラ、待機児童、いじめと、世の中は「問題」「課題」「難題」があふれています。
ここはひとつ、その分析、原因の解明、解決法の追求を考えてみましょう。きっと、あっという間に時間が過ぎていきます。
9. 科学的考察
なぜ、エンジンはガソリンで動くのでしょうか? そもそも火はなぜ熱いのか? 火って何? 地球はどうやって生まれたのでしょう? 宇宙が誕生する前は、この世の中はどうなっていたのでしょうか?
そういう、とりとめのない疑問を考えてみましょう。答えが出なくてもチコちゃんに叱られることはありません。
10. 哲学的考察
人はなぜ働くのでしょうか? やりがいって何なのでしょう? 愛って?
深く考えれば、きっと自分なりの答えが見つかります。答えが見つかると、少し賢くなったような気がします。
しばらく時間が経って考え直すと、また違う答えが出てきます。考えれば考えるほどドツボにはまるかもしれません。
しかし、いずれ答えは出てきます。運転中に考え始めた問題でも、考えるのをやめて荷役作業をしているときとか、ふとしたきっかけで答えが浮かぶかもしれません。
終わりに
くどいようですが、安全運転の邪魔にならないよう、空想に集中し過ぎないように注意を。