一時期、連日のようにテレビのワイドショー番組を騒がせた、あおり運転。冷静に考えれば、全く誰の得にもならない危険な運転を、そのときの一瞬の怒りに任せてやってしまい、悲劇的な結果を生んでしまう、世にも恐ろしい行為です。
ほとんどの人が、悪質なあまりテレビに取り上げられるあおり運転を見知ってしまうので、あおり運転をしてしまうのはとてつもない極悪人だと思い込んでしまいますが、そうではありません。「ついカッとして」は誰にでもあり得るのです。
と、誰もがそんな自戒を込めて日々ハンドルを握れば、あおり運転も少しは減るのじゃあないかと思います。
そこで今回は、あおり運転の被害者にも加害者にもならないために、あおり運転対策法をいくつか紹介します。コレを読んだら、内容を意識下に潜ませ、何かのときに思い出せるようにすると良いかもしれません。
1. 車間距離を十分空ける
まず、あおり運転は道路交通法違反で、言わば犯罪行為だと言っておきます。危険運転致死傷罪や刑法の暴行罪に問われることもあります。
ハンドルを握るからには安全運転を遵守しなければなりません。自動車とはそれほど「危険な乗り物」なのだと意識しましょう。
安全運転のために「車間距離を十分に空けなければいけない」ことは基本中の基本です。
あおり運転の延長とも言える危険運転に、相手の車の前方に出ていきなり減速するという行為があります。こういった場合も、車間距離を十分に取っていれば、最悪なケースを免れる可能性が高くなります。
2. 気持ちにも余裕を持つ
車間距離にも余裕を持ちつつ、気持ちにも余裕を持ちましょう。
時間厳守の仕事をしていて、焦る気持ちも分からないではないですが、それが危険運転に発展して事故でも起こしてしまっては、時間厳守もヘッタクレもありません。
「オレが事故なんか起こすわきゃない」という「オレ様」な気持ちもきっぱり切り捨て、活火山に投げ込んで焼却するか、深海の海底に埋めてしまいましょう。どうしても「オレ様」な気持ちを捨てきれない人は、誰も住んでいない惑星に移住したほうが良いかもしれません。どれだけ運転技術が優れていても、交通事故は運転技術以外の要因があって起こることがあります。
世の中には自分よりも高級車に乗っているから許せない、「前に入れてあげたのにハザードランプの点灯合図がない」などという理由でイラッとする人もいるそうです。よほど日ごろのストレスがたまっているに違いありません。そんな人は「人間関係によるストレスがほとんどない」と言われるトラック運転手への転職をおススメします。
とにかく、世の中、怒りの沸点が低い人ばかりだと覚悟し、日ごろから「思いやり&ゆずりあい」の気持ちを持って運転しましょう。たとえ、のっぴきならない事情があっても「急な割り込み」「頻繁な車線変更」などは控えたほうが、あおり運転の被害者にも加害者にもならない確率が高くなります。
3. 後ろを適宜確認する
気持ちに余裕がないと、ついいろいろな確認を怠ってしまいます。これは運転に限らず、です。
車を運転しているときも、うっかり後方確認を怠っていると、後続車が連なっているのに気づかなかったりします。後続車の中にはイライラがつのり、つい危険運転に手を出してしまう人も出てきてしまうかもしれません。
また、後方不注意で車線変更なんかしたら、それはもう危険運転になってしまいます。
それこそ、のっぴきならない事情があって、どうしても低速運転しなきゃならないのであっても、きちんと周囲の車に合わせた速度で走らせなければいけません。「法定速度を守っているんだから低速でも構わないだろ」と思う人もいるかもしれませんが、安全運転の観点から言えば、それは間違いです。
もし、のっぴきならない事情でどうしても低速運転を続けなければならないなら、後続車が何台も連なった場合、路肩などに車を停めて道を譲りましょう。
また、夜間のハイビームランプがミラーに写ってまぶしいからと、キレる人もいるそうです。対向車がいるときは当然ですが、前を走る車がいるときもすぐにロービームに切り替えましょう。
4. 追い越し車線を走らない
あおり運転で一番多いのが、追い越し車線を走る車をあおることだそうです。
車線が2本以上ある場合、日本では左端が走行車線、右端が追い越し車線になります。追い越し車線は文字通り、追い越しのために使う車線で、追い越したらすみやかに走行車線に戻らなければいけません。戻らないと道路交通法違反になります。
これを知ってか知らずか、追い越し車線を低速で走る車にイライラがつのり、あおってしまう、というのが世にはびこるあおり運転の構図だそうです。
世の中には「あおり運転はあおられるほうにも責任がある」なんて言う人がいますが、もちろん、追い越し車線を低速走行しているからと言って、その車をあおって良い理由にはなりません。追い越し車線を低速走行している車がいるくらいでイライラをつのらせるというのは、よほど日ごろからストレスをためているに違いありません。
あおり運転で逮捕された人が「こっちが先にあおられた」みたいなことを言っていましたが「だから?」です。「やられたからやり返す」という発想は法治国家に住む大人の発想ではありません。あおられたからって、それがあおって良い理由にはなりません。
しかし、追い越し車線を長々と走ることが道路交通法違反であるのも事実です。なるべく追い越し車線は走らないのが得策です。
5. 警察に通報する
あおられたからって、それであおり返して良いわけではありません。あおられたら交番に駆け込んだり、近くの安全な場所に退避し、警察に通報しましょう。
6. あおり運転防止グッズを備える
世の中には、あおり運転の抑止が期待できる「あおり運転防止グッズ」が登場しています。
代表的なのが「ドライブレコーダー搭載」表示ステッカーです。実際にドライブレコーダーを搭載していなくても、他の運転手に「ドライブレコーダーを搭載している」と思わせるわけです。何かにイラっとして「あおってやる」と思いかけた運転手に「ドライブレコーダーを搭載しているのか。警察に通報して証拠として録画データを提出する気満々だな」と思わせるのが最終的な狙いです。
実際にドライブレコーダーを搭載するより安く済みます。念押しで、ダミーのドライブレコーダーを搭載するのも効果的です。これも安価です。
7. ドライブレコーダーを搭載する
「ドライブレコーダー搭載」表示ステッカーはあおり運転の抑止にはなりますが、実際にあおり運転に遭遇してしまったときには、やはり本物のドライブレコーダーがあると有利です。便利です。
ドライブレコーダーがなくても、せめてスマホであおり運転の証拠となる動画を録画しておきましょう。
もちろん、本物のドライブレコーダーを搭載する場合も「ドライブレコーダー搭載」表示ステッカーを貼るのは忘れずに。
8. せまいニッポン、そんなに急いでどこへ行く
車の運転は楽しいものです。車という機械を自在に操る醍醐味があり、しかもスピードを上げると心地良い疾走感を味わうことができます。
ただ、楽しいあまり「オレ様の楽しい運転を邪魔するヤツは許せない」といった思い上がりが沸き起こってしまうこともあります。
「運転は仕事。決して楽しみで運転しているわけじゃない」という職業ドライバーも、納品時間に追われるあまり、気持ちに余裕がなくなり「オレ様の仕事を邪魔するヤツは許さない」と思ってしまうかもしれません。
「せまいニッポン、そんなに急いでどこへ行く」は、古い古い交通安全標語ですが、仕事で車を運転する人も、プライベートで運転する人も「少しくらい遅れても事故を起こしたり、警察に捕まったり、人命を危険にさらすよりマシ」と考え、あおったりあおられたりしない、交通安全に留意した運転を心掛けましょう。
最後に
誰もが「何様」でもないんです。