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トラック運転手が繊細な理由

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繊細さが必要な作業

トラック運転手は「荒くれ者」というイメージで見られがちです。
これはいささか大げさと言うか、誇張されたイメージだと考えなければいけません。
確かにトラック運転手にはマッチョなタイプの人は多いかもしれません。車の運転はそれほど筋力を使うものではありませんが、何だかんだ言ってトラック運転手の仕事は体力仕事です。そのため、自ら日ごろから体を鍛えている人もいるでしょう。もちろん、普通の体型の人もいますし、か弱い女性もトラック運転手の仕事に就いています。
しかし、外見がどうあれ、中身は繊細だったりします。マッチョと繊細さはもちろん両立します。

レイモンド・チャンドラーという作家がハードボイルド小説の中で主人公に「男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」なんてカッチョいいセリフを言わせています。タフに生きるなら、ときには非情にもならなくてはいけませんが、それでも優しさを失ってはいけないわけです。

そしてトラック運転手も、マッチョでありながら繊細でもないと、仕事はできないのではないでしょうか。

1. 荷物を安全に運ぶから

トラック運転手の仕事は、荷を安全に運ぶことです。運送中に荷を傷つけたり、壊したりしてはいけません。荷に負担をかけないよう、細心の注意を払わなければいけません。
それは荷を積むことから始まります。途中で荷崩れしないよう、神経を使って積み上げて固定します。
運転中も、極力荷を揺らさないよう、急ブレーキ、急発進、急なハンドル操作をしないように気を配ってハンドルを握ります。
トラック運転手は、こうした繊細さがなければできない仕事です。

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荷を運ぶのが仕事

2. 交通安全を懸命に守るから

トラック運転手が必ず守らなければいけないのは「荷の安全輸送」と、それからもう1つが「交通安全」です。
「荷の安全」という観点からは、荷を積んでいないときは、積んでいるときほど揺れなどを気にしなくてもよくなるわけですが、交通安全は荷を積んでいようが積んでいなかろうが、絶対に守らなければいけません。
そして、交通安全を守るときに必要なのが、慎重でおだやかでていねいな運転なのです。
トラックが大ききれば大きいほど、つまり荷が多くて重いほど、そしてスピードがあればあるほど、ブレーキを踏んでも停まるまでの距離、いわゆる制動距離が伸びます。
それだけにトラックは車間距離も「取り過ぎ」なくらいに余裕を持って保ち、慎重でおだやかでていねいに運転しなければいけないのです。

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交通安全は大切

3. 高難度なトラック運転技術を身に着けているから

トラックは普通自動車より運転が難しいとされています。
普通自動車の運転に慣れていると、車体が大きい分、その感覚が分かりにくく、また死角が多くなるからです。
そのため、会社の敷地などから道路に出たり、縦列駐車をしたり、細い路地を曲がったりするだけでも、細かい神経を使ってハンドル操作を行わなければいけません。荷を積んでいなくても、交通事故につながるようなスピードを出していなくても、どこかにぶつけてトラックを傷つけてしまいかねないからです。
また、スピードがそれほど出ていなくても、不注意によって事故を起こすことはあります。
普通自動車より運転が難しいのに、一般のビジネスマンが普通自動車を運転するよりも長い時間トラックを運転し、しかも荷の安全、交通安全に神経を使うのですから、そりゃトラック運転手は体力を消耗します。

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大型トラック

4. 内輪差に気をつけて左折するから

車体が大きくなればなるほど、特に注意を要するのが内輪差です。
例えば、交差点でトラックが左折するとき、左側の前輪と後輪が通る軌道に差が出ます。後輪は前輪よりも内側を通るのです。そのため、運転席から見えにくいトラックの横の後方に自転車、バイク、歩行者などがいた場合、前輪はかすらなくても後輪及びトラックの後部がその自転車、バイク、歩行者などと接触してしまう危険があるわけです。
自転車、バイク、歩行者がいなくても、トラックの後輪が歩道などの縁に乗り上げてしまう可能性もあります。
右折するときは、もちろん右側の車輪に内輪差が発生します。
ちなみに内輪差は普通自動車でも発生します。ただ、車体が長いほど内輪差も大きくなるので、車体が長いトラック運転手は右折時も左折時も、常に後輪の軌道を考え、確認しつつハンドルを切らなければいけないのです。これは神経を使います。

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内輪差

5. トラックの整備に気を使うから

くどいようですが、トラック運転手は絶対に守らなければいけないのが安全運転です。交通事故は避けなければいけません。
そのために大切なのが、トラックの整備です。エンジン、ブレーキ、ハンドルなどに不具合があれば、それで事故を起こしかねません。トラック運転手本人に過失がなくても、他の車が起こした事故をうまく避けるためにも、トラックが完全に正しく機能することが求められます。
毎回、隅々まできちんとトラックの整備に注意を払う繊細さが、トラック運転手には必要なのです。

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整備は大事

6. 自己の健康管理に気をつけているから

トラック運転手が交通事故を避けるために必要なことには、運転手自身の健康管理も含まれます。
特に拘束時間が長い仕事のトラック運転手は、疲れもたまりやすく、それによって安全運転に必要な集中力などが衰えると危険です。
健康管理には、栄養バランスの取れた規則的な食事、適度な運動、十分な休息が大切です。そうした日常からの健康管理をこまめにできる繊細さが、トラック運転手に求められています。

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十分な睡眠

7. 「会社の顔」として社外の人と接するから

トラック運転手は基本的に1人で仕事をします。運転席の隣には嫌味な上司も勇み足の同僚もいません。
そのため、人間関係のストレスが少ない職業となっていて、人見知りな人、コミュニケーションに自信がない人に人気となっています。
とは言え、トラック運転手に全くコミュニケーション能力が必要ないとか、他人と接する機会がない、というわけではありません。
荷を積む場所、荷の届け先ではそこの担当者と接しますし、宅配便を運ぶトラック運転手も届け先の家の人と接する可能性はあります。
そうした場合でも、社会人としてのマナーをもって明るくきちんとあいさつをしたり、仕事上必要なやり取りをしなければいけません。「荒くれ者」ではいけないのです。

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きちんとしたあいさつ

8. 納品時間を守らなければいけないから

トラック運転手が仕事の上で絶対に守らなければいけないのは、荷を届ける時間です。
遅くてもいけませんし、だからと言って早過ぎてもいけません。
道の混み具合などから、なるべく時間通りに到着するよう時間配分し、トラックを走らせます。無計画な仕事が通用しないのが、トラック運転手なのです。

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計画性が求められる

9. 大変な仕事を長く続けているから

というわけで、トラック運転手は細心の注意を払って慎重に行動しなければいけないことが、結構たくさんあります。それだけいろいろなことに細心の注意を払うことができるのですから、こりゃやはりトラック運転手は繊細さがなければできない仕事なのかもしれません。

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長距離走のように

10. もともと繊細

トラック運転手の仕事は体力仕事なので、もともとマッチョな人が職業として選びがちです。
しかし、職業として繊細さが求められます。
トラック運転手として長年仕事を続けてきた人たちは、その多くが繊細だったからというわけです。

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繊細な作業