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トラック運転手忍法帖

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ninja

トラック運転手の仕事は荷を目的地まで運ぶことです。それも安全、迅速に運ばなければいけません。
シンプルで簡単そうに見えます。ただ運転してりゃいいように見えるからです。
「トラックを運転するだけで給料をもらえるんだから楽なもんだ」「簡単な仕事だから誰でもできる」なんて思われがちです。
確かにそうなんですが、でもそれだけではないんです。
まず、トラックは中型、大型と、車体が大きくなるほど、普通自動車に比べて運転が難しくなります。
それに「ただトラックを運転するだけ」ではなく、積み込んだ荷物を「無事に」届けなければいけません。荷物のことを考えずに運転していては、荷物を傷つけたり、破損してしまうかもしれません。くわばら、くわばら。
実はトラック運転手には、日々の仕事を無事に終わらせるための独自のテクニックが必要なのです。そのテクニックはときとして「おおっ」と驚くような神業だったりします。
今回は、トラック運転手が披露するなかなかな技をご紹介します。トラック運転手にとっては「特別な技じゃないよ。トラック運転手なら誰でも普通にできること」かもしれませんが、トラックを運転したことのない人や、トラック運転手になりたての人にはすごいことです。
トラック運転手は素人ではかなわない秘技を持っているんですねぇ。

1. 細いカーブを曲がる

「あんな細いカーブ、絶対無理」と思えるカーブに進入していくトラックがいます。
トラックは大きいほど死角が増え、また車両感覚がつかみにくくなります。
第一、車体が大きいと、細い道では車体をぶつけたり、こすってしまう危険があります。
ましてやカーブが細いと難しさも倍増です。そんなカーブを、小刻みにハンドルを切りつつ、アクセルとブレーキを何度も踏み、曲り切ると「おおっ」と思います。
そんなカーブを、ゆっくりではあるものの一度も停まらず曲り切るトラック運転手はさらにスゴイです。

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細くて曲がりにくそう

2. 狭い駐車スペースにバックで一発駐車

トラック運転手が日々の勤務中に困るのが、駐車スペースがなかなか見つからないことです。単なる駐車場ではなく、トラックのような大型車が停められるスペースがなければいけないからです。そして、大型車用のスペースを備えた駐車場は少ないのです。
さて、ようやくトラックを停められるスペースを見つけても、狭い日本では、ギリギリのスペースだったりします。左右のスペースが空いていればまだ良いのですが、すでにトラックが停められている場合、空いているスペースがちょうどトラック1台分で、左右に余裕がなかったりします。
そんな狭い駐車スペースに、何度もハンドルを切って、前進させたりバックさせたりしてようやく入れるのではなく、バックから一発で入れちゃうトラック運転手もいるのです。スゴイです。
道路の駐車スペースで、トラックとトラックに挟まれた、ちょうど1台分のスペースにトラックを縦列駐車させるトラック運転手もスゴイです。

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ギリギリなスペース

3. 工場の搬入口にピタリとバックで停める

バックで入れるテクニックは、休憩を求めるときだけに必要なのではありません。実はトラック運転手の本業でも十分重要かつ必要なのです。
荷を下ろすときです。
トラックから荷を下ろすには、後部を搬入口にくっつけるように停めると、とても便利です。これも慣れないと、何度も後方確認しつつ、恐る恐るアクセルとブレーキを繰り返して停めますが、熟練のトラック運転手になると、バックミラーを見ながらすっと、一発で停めてしまいます。

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後方確認

4. 高架をすり抜ける

トラックは車高も普通自動車より高くなっています。4トントラックで約3メートル、10トンは約4メートル近くあります。
これもその感覚を身に着けていないと、街中の看板や標識などにぶつけてしまう危険があります。初心者のトラック運転手が高架で車体をこすってしまったなんて失敗談はよく聞きます。
はたから見ていると「ぶつかるんじゃね」なんて思える高架の下をスーッと通り抜けるトラックは、一瞬手品かと思います。

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くぐれるか?

5. 隙間ない荷積み

トラック運転手の仕事はトラックの運転だけではありません。仕事によっては荷の積み下ろしも行います。
昔は、荷の積み下ろしはそこのスタッフが行っていたそうですが、その後、不景気の影響なのか、運転手が行うようになり、しかし、ここんところは倉庫などのスタッフがやったり、運転手の仕事になっていたり、まちまちだったりします。
とにかく、トラック運転手が行うこともゼロではないわけです。
トラックにはいろいろな荷を積みますが、大きさがバラバラな荷を同じ荷台に積むこともあります。しかし、ただ漫然と積むのではなく、荷の重さ、下ろす順番などを考え、しかも荷積みに時間を取られて納品時間に間に合わなくなると最悪なので、効率的にとっとと積まなければいけません。
そんな難しい荷積みですが、それぞれ違う大きさの荷がお城の石垣のように、隙間なくキレイに積まれていると感動も禁じ得ません。隙間があると、トラックの走行中に荷崩れを起こす危険もあるので、隙間がないことはとても重要なのです。

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隙間なく積む

6. 荷台の奥まで荷物を積む

隙間がないのと同様、トラックの荷はきちんと奥まで積むことが大事です。
トラックの荷台の奥とは、つまり荷台の前方です。前方に置いた荷物と、荷台の間に隙間があると、走行中のトラックがブレーキで停まるたびに、荷が少しずつ前方に移動していくかもしれません。すると、これも荷崩れにつながる危険があります。
フォークリフトで荷積みを行う場合、荷は爪の奥にきちんと乗せて運ぶ必要があるので、なかなか荷台の奥に1回で載せることはできません。そこで、一度荷台の前方に荷を置き、改めて爪の前のほうに荷を乗せ、荷台の奥に送り込みます。または、他の荷で、先に載せた荷を押していくというやり方もあります。爪で押したり、アタッチメントを使うこともあります。

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奥まで積む

7. 荷崩れさせない

トラック運転手は荷を安全に目的地まで運ばなければいけません。荷積みは工場や倉庫などのスタッフが行うこともありますが、運ぶのはもちろんトラック運転手の仕事です。
と言うか、これこそトラック運転手の本分です。
トラックの走行中、荷崩れを起こしたりしないよう、トラック運転手は細心の注意を払ってトラックを運転しなければいけません。
荷積みの仕方でも荷崩れを防ぐことはできますが、積んだ後、さらに結束します。
また、急ブレーキ、急発進、急な加速、急なハンドル操作も荷崩れの原因になります。トラック運転手にはおだやかでていねいな運転が求められるのです。そしてそんなおだやかな運転ができてこそ、一人前のトラック運転手と言えるのです。

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こんな積み方は危ないかも

8. 見た目より力持ち

トラック運転手の仕事は体力仕事です。
荷の積み下ろしを手作業で行う場合は、自然と筋力もついていきます。
荷の積み下ろしをフォークリフトなどの機械で行ったり、別のスタッフが行う場合、トラック運転手に筋力はそれほど必要ありませんが、それでも体力仕事ではあるので、日ごろからの健康管理が大切です。
その健康管理として、体を鍛える人もいます。自然と筋肉がついていきます。
もともと日本人は体が細く、小柄です。それでトラック運転手でも体が細くても少しも珍しくないのですが、その見た目とは裏腹にマッチョ、つまり細マッチョだったりします。

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見た目通りの力持ち

9. トラックで寝泊まりする

トラック運転手は長時間、トラックを運転します。特に長距離の仕事をしていると、トラック車内で過ごす時間も長くなります。
しまいにはトラック車内で食事し、睡眠を取ったりします。そのため、なるべくトラック車内で快適に過ごせるように工夫します。
長時間同じ姿勢で運転席に座っていると肩凝りや腰痛を引き起こすことになりますから、少しでも楽になるよう、自分の体に合ったクッションを持ち込むのは序の口です。
車内に布団を持ち込み、テレビも持ち込み、オーディオも完備し、炊飯器まで用意します。立派な居住空間です。
トラック車内を快適な居住空間に変える。これはトラック運転手の魔法のようなものです。

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快適な居住空間

10. ジャン=クロード・ヴァン・ダムを乗せて走る

ジャン=クロード・ヴァン・ダムは主に90年代に大人気だったアクションスターです。「ユニバーサル・ソルジャー」「ハード・ターゲット」「サドン・デス」などのアクション映画で活躍しました。
ヴァン・ダムが見せるアクションで特に有名なのが開脚の股割りです。
2014年、そのヴァン・ダムが出演したボルボのCMが話題となりました。バック走行する2台のトラックに片足ずつを乗せ、トラックが徐々にそれぞれの間隔を広げていきます。当然、ヴァン・ダムの足はどんどん開脚していきます。
走る2台のトラックの上で微動だにせず開脚していくヴァン・ダムのスゴ技に賞賛の声が集まりました。何しろ、バランスを失って落ちれば大惨事です。
しかし、そんなヴァン・ダムを乗せ、ヴァン・ダムがバランスを崩さないよう慎重にバック走行させ、しかも同じスピードを保って微妙に車間距離を広げていく、2台のトラックの運転手もスゴイ運転技術です。

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アクションスター