人と仕事、人と会社には相性があります。
そのため「この職業に就いて本当に良かった」という声があるかと思えば、その同じ職業に就いた別の人は「後悔している」なんて感じることも起こります。
誰もがうらやむ職業に就いている人が、実は内心では辞めたくて仕方ないかもしれません。
誰もが大好きなはずのカレーライスだって「好きじゃない」という人もいるでしょう。相性です。
トラック運転手の仕事も「長時間拘束されて過酷」という人もあれば「運転してればたっぷり稼げる楽しい仕事」という人もいます。どちらも本当でしょう。
転職したものの、思っていた仕事と違っていたからとすぐ辞めてしまった人もいるでしょうし、「過酷だなあ。でも良いこともあるから続けよう」と働き続けている人もいるはずです。中には「楽しいことばかり」って人もいるかもしれません。
それはトラック運転手だけではなく、一流企業のビジネスマンでも、学校教師でも、タクシー運転手でも同じです。一度当選すると、必死にその地位だけにしがみつくのは政治家くらいではないでしょうか。
今回は、他の業界からトラック運転手に転職した人が、転職してから感じることを列挙します。
1. 良かった
会社での上司や同僚、取引先の担当者などとの人間関係によるストレスに疲れ、トラック運転手に転職すると、そうしたストレスから解放されたと感じ、とにかく「良かった」と思います。
取引先や上司から休日も関係なく携帯電話への連絡がひっきりなしだった営業職の人も、その「恐怖の電話」から解放され、とても喜びます。
また、学生気分からなかなか抜け切らず、バイトで食いつないできたような人が、トラック運転手になり、平均年収400万円台を手にして思わずガッツポーズを取っているかもしれません。
車の運転が好きだったものの、毎日デスク仕事に従事していた人がトラック運転手に転職して「ようやく好きなことを仕事にできた」と感じてほくそ笑んでいるということもあり得ます。
物事にはメリットもあればデメリットもあります。トラック運転手の仕事のメリットを享受し、喜んでいる人は多いでしょう。
2. 後悔した
トラック運転手の仕事には「長時間で過酷」であったり「ルーティンワークで退屈」であったりするものもあります。
平均年収は400万円台と言われていますが、「過酷」「退屈」を強く感じる人は「それでは割りが合わない」と思うかもしれません。
物事にはメリットもあればデメリットもあります。メリットよりデメリットを多く感じる人は、トラック運転手に転職したことを後悔します。
後悔が勝る人は、トラック運転手という仕事そのものが「合っていなかった」か、就職した先の会社が「合っていなかった」と言えます。
3. 健康状態が気になるようになった
トラック運転手にとって何よりも大切なのは「安全運転」です。
そして安全運転を続けるためには健康管理がとても重要になります。採用時にも健康診断の結果は重く見られ、良くない結果が出ると、面接で気に入ってもらえたのに採用が白紙になることもあります。
採用されて働き始めてからも、朝の点呼で健康状態を確認されます。体調不良では勤務できません。体調不良が続けば収入も減ります。
もちろん、どの仕事でも健康は大切ですが、トラック運転手のように毎回、健康状態を確認される仕事はそれほど多くはないでしょう。
4. 体が鍛えられた
トラック運転手は体力仕事です。
トラックの運転自体はそれほどカロリーを消費しないと言われていますが、安全運転に集中するので疲れます。
また、荷の積み下ろしを手作業で行う仕事は筋力も必要で、カロリーを消費します。疲れます。
トラック運転手に転職すると、健康管理に気を使いながら体力仕事をこなすために体を鍛え始める人もいます。鍛えなくても、手作業の荷の積み下ろしを続けていると、自然と体が鍛えられます。
5. トラックは大きいと実感した
トラック運転手は人手不足が続いているので、未経験者も歓迎している運送業者が多くなっています。
そうした会社では、採用時に中型運転免許や大型運転免許を持っていなくても、採用後に会社の支援を受けながら教習所に通って免許を取得できたりもします。
そこで中型トラックや大型トラックという、普通自動車より大きな車に乗るようになると、改めてその大きさを実感するでしょう。乗った感覚が違うだけではなく、運転する感覚も大きく違います。
車体が大きくなればなるほど、死角も多くなり、内輪差も大きくなります。
6. 自分に自信が持てた
普通自動車より大きなトラックの運転は、普通自動車の運転に慣れていると、とても難しく感じます。
とは言え、中型運転免許や大型運転免許は弁護士や医師の資格を取得するほどには難しくありません。
免許を取得してからも、仕事でトラックを運転しているうちに慣れてくるはずです。
そうやって新しく身に着けた技術の向上を実感できると「やればできるじゃん」と感じて自分に自信を持てるでしょう。
おまけにトラック運転手の仕事は人々のライフラインを支える重要な仕事です。社会に大きく貢献できていると思うと、誇らしくも感じます。
7. 他の車に対して寛容になった
トラックに対して「ノロノロ走っている」と思ってイライラする普通自動車の運転手がいるそうです。
確かにトラックは車体重量が重い上に荷物を積んでいるからか、加速もゆっくりですし、ノロノロ走っているように見えます。前方との車間距離もやけに長く見え、トラックを邪魔だと思う人もいるようです。
しかし、トラックがノロノロ走るには理由があります。
大型トラックの場合、スピードリミッターが付いているので時速90kmまでしか出せません。
また、荷を積んでいるトラックは、荷崩れなどを避けるため、急ブレーキ、急発進、急加速、急なハンドル操作をしない、ていねいでおだやかな運転を心掛けます。前方の車が急停止をしたときにも急ブレーキをしないよう、あらかじめ十分に車間距離を空けておきます。
そしてトラック運転手も、自分たちが他の車の運転手をイライラさせていることに気付いています。気付いていてもどうしようもないのです。
そんなわけで、自分も他の車に道を譲ったり、遠慮したり、いつの間にか寛容な態度でハンドルを握るようになるのです。
8. 他の車に対してイライラするようになった
トラック運転手の仕事は納品時間厳守です。
しかし、道路上には渋滞や事故など、時間通りの運行を妨げるものがたくさんあります。
荷積みに思わぬほど時間が多くかかり、出発するときにすでに時間ギリギリということもあります。
しかし、どんなに急いでいても違反や事故は禁物ですし、荷を守るためにていねいに運転しなければならず、時速も90kmまでしか上げられません。
そんなこんなで、精神的に追いつめられるとイライラしてきてしまいます。
そんな精神状態のとき、十分に空けておいた前方との間に、急に車が割り込んできたら、思わず怒鳴り声を上げてしまうかもしれません。
9. 人生が変わった
トラック運転手に転職すると、人間関係のストレスが減り、やればやっただけ稼げるようになり、何となくマッチョにもなってきて、新しい技術を身に着け、それが上達するのも感じられるようになります。
トラック運転手に限らず、どんな職業でも転職したほとんどの人は「人生が変わった」と感じるものです。
「良かった」と思うこともあれば「しなきゃ良かった」と後悔が頭をよぎる人もいるでしょう。
人生は変わりますが、良いほうに変わったのか悪いほうに変わったのかは、後々振り返ってみて分かることです。ただ、「合わない」と思ったら、なるべく早めにさらなる転職を考えてみることです。
それで「どうしても続けられない」という結論に達したら、違う会社に行くか、違う業界に行くかを考えましょう。
10. ラッキーだった
トラック運転手になって、もし過酷なだけで楽しいことなんてないと思っても、とりあえず今日1日無事に終えることができたら「ラッキーだった」と思ってみましょう。どんな職業でも、今日を無事に終えることができたのは、自分自身の頑張りだけじゃなく、さまざまな要因があってこそに違いありません。
さまざまな要因をひと言で表すと「ラッキー」です。
そんな毎日の積み重ねで、人生は流れていくのかもしれません。