
映画やドラマで、過酷な環境で育つ子どもが登場すると「子どもは親を選べない」なんてセリフが出てくることが多いです。「霊界の宣伝マン」を自称していた故・丹波哲郎さんによると「子どもは生まれる前に親を選び、その家の子として生まれてくる」なんて言っていましたが、それはまた別の話。
一方、特別な事情でもない限り、就職先は選べます。
トラックドライバーの仕事は「やればやっただけ稼げるおいしい仕事」と言われていますが、それも選ぶ会社によっては違ってきたりします。
トラックドライバーが就職先として選ぶのは、運送会社が一般的です。トラックドライバーとして働く場合も、どの会社を選ぶかによって、かなりの差が出ます。仕事の内容、福利厚生もさまざまだからです。
運送会社に限らずですが、入社する前にしっかり確認しておかないと「こんなはずじゃなかった~」と後悔してしまうかもしれません。
それに、やはり「従業員がイキイキと働ける職場環境」の会社に勤めたいものです。
1. 女性従業員が多い
「女性がたくさんいたほうが華やいで気持ちイイ」なんてことではありません。
トラックドライバーの仕事はもともと「男の仕事」であり、近年になって女性のトラックドライバーを増やす取り組みが始められました。もともと「男の世界」だったので、そこで女性の活躍を推進するとなると、女性用の更衣室を新設したり、女性用トイレを増やすなどの設備の改修を行わなければいけません。男性従業員たちの意識改革も行わなければいけません。
大勢の男性従業員の中に、女性従業員が少しだけいるのなら、それほど大きく職場環境を変えてないかもしれません。しかし、「多い」と言えるくらい女性従業員がいるなら、大きく職場環境を変えていて、しかもその職場環境に満足できているから、女性従業員が増えていると言えます。
そこまでする経営者は、恐らく従業員の「働きやすさ」を真剣に考えています。実際、男性だけではなく、女性にとっても働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい職場のはずです。

2. 管理職に女性がいる
トラックドライバーの仕事はもともと「男の仕事」であり、職場は「男の世界」だったので、女性従業員が増えたとしても、女性の管理職はまだ珍しいかもしれません。
そんな中、女性の管理職が登場していたら、日本ではかなり「進んでいる」と言えます。また、運送会社に限ったことではありませんが、いわゆる上層部には男性も女性もいてこそ議論が活発になり、会社の経営もうまくいくはずです。

3. 経営が健全
入社したはいいが、すぐに会社の経営が傾いたり、そもそも最初から傾いたりしていたら、最悪、給料が全額もらえなかったり、滞ったりして、不安な日々を過ごすことになります。
トラックの車両整備も不十分にしかできず、交通事故を引き起こすことにもなりかねません。
「俺が経営を立て直してやる!」という強い野望があるなら別ですが、やはり就職するなら健全経営の会社にしたいものです。

4. 社長の責任感が強い
入社するときは経営も健全だったのに、その後、経営が危なくなることもあります。今の世の中、なかなかこの先何が起こるか、読めないことも多いものです。
どんなときでも「俺が必ず社員を守ってみせる」という社長の下で働きたいものです。
そんな社長の下でなら、何かのときも仕事に対して積極的になれます。何が何でも仕事をやり遂げてみせようという気にもなります。
社長の責任感が強いなら、従業員も自分の責任感を強く持つことができます。

5. 福利厚生が充実している
「社長のためにも頑張って仕事する」という精神も大事ですが、精神論だけでは生活できません。人生設計も無理です。
会社の福利厚生が充実していて初めて、生活が安定し、生活が安定してこそ仕事にも打ち込めるというものです。

6. 最新トラックがある
トラックドライバーの仕事の大半はトラックを運転することであり、トラックドライバーにとってトラックは単なる商売道具と言うより、もはや「仕事の相棒」と言っても良いでしょう。
そしてトラックは日々進化しています。バックモニター、衝突緩和装置の他にも、快適な座り心地を追求した運転席なんかも誕生しています。資金が十分とは言えない零細・中小企業では、そうした最新のトラックをそろえるのも難しいかもしれませんが、たとえ最新ではなくても、トラックが充実しているとドライバーも士気が上がります。
中には、このメーカーのトラックに乗りたいからと言って、会社選びをしているトラックドライバーもいるはずです。

7. 下請け過ぎない
トラックドライバーを雇っている多くの運送会社が零細企業、中小企業で、下請け、孫請けだったりします。
孫請けよりさらに下請けの場合もあります。下請けになればなるほど、かなり過酷な仕事を低いギャラで受けたりします。その低いギャラは、トラックドライバーの給与に直接反映されます。多くのトラックドライバーが歩合制で給与を得ているからです。

8. 職場が明るい
トラックドライバーは基本的に1人で仕事をするので、職場での人間関係によるストレスが比較的少ない職業だと言われています。
それでも、職場の雰囲気が良いに越したことはありません。職場の雰囲気が自分に合わないと、やはりあまり長く勤務したいと思えなくなってくるかもしれません。
荷を目的地に運ぶという、同じ仕事を毎日していても、人には幸運と不運の波がありますから、妙に仕事がうまくいく日もあれば、なぜだかうまくいかない日もあります。
たとえ仕事が大変だからと苦しい思いをする日があっても、職場の同僚が温かく迎えてくれると思えば、乗り切ることもできるはずです。
それに同僚と仲良くしていると、ドライバーとして有益な情報を教えてくれたりもします。

9. 運転者職場環境良好度認証制度認定企業
運転者職場環境良好度認証制度は「働きやすい職場認証制度」とも言い、つまり職場環境改善に向けたトラック、バス、タクシー事業者の取組みを「見える化」することで、求職者の運転者への就職を促進し、各事業者の人材確保の取組みを後押しすることを目的とした制度です。
国土交通省によるもので、具体的には「法令遵守等」「労働時間・休日」「心身の健康」「安心・安定」「多様な人材の確保・育成」の5分野について、基本的な取組要件を満たすことで認定されるようです。
2020年から始まったもので、まだまだ普及しているとは言えないようですが、これが就職先を検討するときの1つの目安になるような時代が来ることを期待します。

10. キャリアアップを支援してくれる
トラックドライバーにもキャリアアップがあります。大型運転免許を取って大型トラックを運転したり、けん引免許、危険物取扱者の資格を取って仕事の幅を広げ、給与アップにつなげることもできます。また、管理職に就く道もあります。
こうしたトラックドライバーのキャリアアップの在り方を示し、人材育成に力を入れ、支援もしてくれる会社は、それだけ従業員を大切にしていると言えます。
